燃料パイプの加工とは? ワンオフ製作や自作のリスクは…
燃料パイプ加工について解説。車高を低くすると、タイヤが燃料パイプに当たる車種がある。原因は、燃料パイプがタイヤハウスの天井側を通っているため。そこで加工やワンオフ製作などで干渉を避けるのだが、気になるリスクも知っておきたい。
燃料パイプ加工とはなにか?
-
ローダウン車の「燃料パイプ加工」。聞いたことはあるけれど、よく分からない、という人も多いと思います。
●レポーター:イルミちゃん
-
車高を低くすると、タイヤが燃料パイプに当たる車種があるので、当たらないように叩いたり、作り直したりするんです。
●アドバイザー:J-LINE 氏家研究員
-
加工するのは、タイヤが当たるから……なんですね。
-
燃料パイプにタイヤが当たる筆頭車種として挙げられるのは、アルファード╱ヴェルファイアですね。
-
上写真(↑)はJ-LINEデモカーの30アルファード。これもノーマルのままだと当たるので、取り回しを変更してあるんですよ。
-
原因は車高と……ホイールが太いせいもある?
-
いや、ホイールの太さは、関係ないケースがほとんど。J-LINEでもあまり太いホイールは履かせていないですし。
-
あれ?
そうなんだ。 -
燃料パイプがタイヤハウスの天井側のほうを通っていて、そこにタイヤが干渉するという話なので。
-
ホイールの奥ではなく上に燃料パイプがあることで、干渉しやすくなっているんですね。
どの程度のローダウンで加工が必要なのか?
-
どういうレベルのローダウン車に、加工が必要なのでしょうか?
-
20アルファードなら、車高調+アクスルを併用してのローダウン。30アルファードなら(アクスルはないので)車高調+J-LINEアームを組んで、アームロックを解除して車高調で落としきろうとすれば当たります。
-
なるほど。
車高調+αまで踏み込んだレベルでの話か。 -
以前にローダウンして車高を下げすぎるとタイヤハウスの天井にタイヤが当たる、という話をしましたよね。
-
だから、タイヤハウス天井を叩き上げるんですよね。
-
しかしアルファード╱ヴェルファイアなどは、その天井よりも、燃料パイプのほうが低い位置を走っています。
-
それでは……天井以前に当たる?
-
そうなんですよ。
天井よりも、先に当たります。 -
上げるって、何センチ位上げるんですか?
-
タイヤハウスの干渉ポイントより上に来るようにします。具体的には2センチとか、そういうレベルの話です。
低車高の20アルファードは典型的な例
燃料パイプを加工するリスクとは?
-
燃料パイプの取り回し変更は、どこででもやってもらえるメニューではないので……そういう意味では、敷居が高い面もあります。
-
J-LINEでは昔からやっていますが、それってどういう作業なんですか?
-
要するにいったん燃料パイプを切って、再溶接し直すんですよ。
-
タイヤが当たらないような、都合のいい取り回しに変えてしまうわけですね。
-
ただ、うかつに燃料パイプの取り回しを変更したら、燃料がうまく入っていかなくなったりとか、そういうトラブルはあり得ます。
-
ガソリンが入らないですって!?
-
ガソリンを入れている途中なのに、パイプの中で逆流してしまうせいで、パツンって止まってしまったり。
-
満タン扱いされているぅ。
-
そう。ちゃんと下に落ちるように燃料パイプを作っていないと、当然そうなります。
-
ヘンな加工はできません。
-
あとはつなぎ方が悪いと、その部分でガソリンが跳ねて、逆流して、同じような挙動が起こったりもします。
-
そう考えると、加工リスクもありますね〜。
ワンオフ製作ではなく完成品に交換できる車種もある
-
なのでJ-LINEでは、アルファード用とかの燃料パイプは製品として出していたりもするんですよ。
-
ローダウンしたときにタイヤが当たらないような取り回しになっているので、コレなら純正パイプから交換すればいいわけです。
-
30アルヴェル用だけですか?
-
上写真(↑)は30アルファードですが、20アルファード╱ヴェルファイア用もありますよ。20系も燃料パイプに接触するのが定番なので。
-
マニアックなパーツだな〜。
-
20アルファードの燃料パイプは、けっこう人気がありますよ。
製品版の低車高向け燃料パイプ!
J-LINEの燃料パイプポジションアップキット。30アルファード╱ヴェルファイア用。
エアコンパイプに干渉するケースもある
-
燃料パイプと似たような話に、「エアコンパイプ」がありますよ。
-
エアコンパイプ?
それって、中に何が通っているんだろう? -
エアコンのガスが通っているパイプのことですよ。
-
ああ、なるほど。
それも……タイヤが当たる? -
アルファード╱ヴェルファイアを例にすると、運転席側にはエアコンパイプがあるんですが、これもタイヤハウス天井よりも低い位置なんです。
-
そこにタイヤを擦っていると、どうなるんだろう?
-
穴が開いてガスを吹いてしまいます。もちろんエアコンが効かなくなります。
-
そんな話が現実に起こるのか……。
-
アルファードとか、ガスを吹いている人多いですよ。50エスティマなどでもよくある話ですね。
-
これもローダウンして当たるか当たらないかは、車種によるんですね。
-
そうですね。
多いのはミニバン系です。 -
それはなぜ?
-
ミニバン系は後席の空調環境を良くするために、リア用の大きいエアコンユニットが設置してあったりするんですが、そんなの置く場所も限られているので、リアタイヤの上に設置してあったりすることも多い。
-
ムムム……。
また余計なところに。 -
そうなると、リアのタイヤハウス内にパイプが通ることになります。
-
で、ローダウンしたらタイヤが当たる……となる。
-
ですね。燃料パイプに干渉する車高になれば、エアコンパイプにも干渉します。なのでこれも、20/30アルファード╱ヴェルファイア用は製品化しています。
-
この位置上げキットを使うと、2センチ上がります。
-
この場合の2センチがいかに大きい数字かは……まあ、言うまでもないですね。
-
「燃料パイプ位置上げ加工」は、以前は製品化まではしていなかったけれど、加工メニューとしてはいつもやっていることですよ。
J-LINEのエアコンパイプポジションアップキット
DIY Laboアドバイザー:氏家淳哉
リアアクスルキットで有名なJ-LINE(Jライン)。足まわり加工に長けたプロショップでもあるので、直接クルマを持ち込めば様々なワンオフ加工も依頼できる。深い知識・高い溶接技術は比類ない。●J-LINE TEL 022-367-7534 住所:宮城県多賀城市町前1-1-13
関連記事