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車の電装DIYに必要な工具は? 選び方を電装のプロに聞く(第2回)
車の電装DIYに必要な工具を、電装のプロに聞く連載。第2回は、おすすめの「ワイヤーストリッパー」と「内張りはがし」と「ドライバー」について。選択基準は使いやすく、なおかつ値段が高すぎないこと。コスパ重視で工具を探している人は、かなり参考になる話。
ワイヤーストリッパーはあったほうがよい?
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前回は電工ペンチについて解説しましたが、今回は?
●レポーター:イルミちゃん
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次は、僕が意外と重要視している工具。ワイヤーストリッパーです。
●アドバイザー:DENKUL 岡本研究員
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配線の被覆を剥き取るための、専用工具ですね。
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しかし、電工ペンチにもワイヤーストリッパー(被覆剥き)なら付いています。必須工具というわけではなさそうなんですが……
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でも配線の被覆剥きは、ワイヤーストリッパーでやるほうが断然やりやすい。それと、車の電装系DIYでは、配線の被覆を剥くという場面は、けっこう多いんですよ。
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端子を使うにしても、ハンダで直結するにしても、配線の被覆は剥く。だから持っていると、電工ペンチ以上に使用頻度が高いのがワイヤーストリッパーなんですね。
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そっかー。
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それと僕の場合は、配線の分岐にはエレクトロタップを使わないんです。
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プロの人は、接触不良が最も起こりにくい「ハンダ直結」を選ぶ人が多いですね。
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ハンダか、またはスプライス端子ですね。で、どっちの場合でも、配線の途中で被覆を剥く必要がありますが……
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この作業は、ワイヤストリッパーがないとやりにくい。
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なるほど。
だから必須工具になっているんだ。 -
そうなんです。
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で、岡本プロのお気に入りのワイヤーストリッパーというのが……、
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使い分けも若干しますけど、基本的にはほぼコレ1本! というのがありますね。それがストレートのワイヤーストリッパー(↓)です。
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車内の狭い空間では、ストレートのこの形はやりやすいのでオススメ。あと細線でも問題なく使えるのがポイント。
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自動車の配線は、最近細線化していますね〜。
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ワイヤーストリッパーの中には、細線が得意ではなくて、芯線がちぎれてしまったりするものもある。選ぶときは、そこに注意ですね。
使い方については、「ワイヤーストリッパーの使い方」で詳しく解説している。
電工ペンチでも被覆は剥ける
このシーンはよくある
配線を合流させる時、途中の被覆を剥く
このあとハンダ付けするのか、スプライス端子をかませるのかで道は分かれる。
ストレートの「ワイヤーストリッパー 12-1016」
内張りはがしは樹脂製と金属製のどっち?
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配線作業においては、内張りを外すという作業は避けては通れません。
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内装の内張りを外すときには、内張りはがしが必要ですね。
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岡本研究員が使っているのは、以下のタイプ(↓)。
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内張りはがしは、僕はストレートとエーモンのを使っています。幅が広い大きいタイプは、広い面積の内張りパネルをバコっと外すときにあるといいですね。
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樹脂製のタイプと、金属製のタイプがありますが、これは両方必要なんでしょうか?
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そうですね。
これは両方使い分けるのがいいです。 -
内張りを外すシーンで、よく見かけるのは樹脂製ですけれど……
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ピン(クリップ)を外すときは、金属製がいいんですよ。
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樹脂タイプの内張りはがしも、先端がUの字で、ピンにかけられそうな形状のものがある。でも実際にその作業で使おうとすると、樹脂製は「しなる」ので、力が逃げてしまって、ピンが抜けなかったりする。
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まあ、樹脂なんだから、当然しなりますよね〜。
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だからピンを抜く用途では、金属製を使ってます。
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だからといって、金属製だけでもダメだと。
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内張り等の樹脂パネルにかけるのは、樹脂製内張りはがしですよね。金属製でやってしまうと、傷が付きます。
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それで両方あったほうがいいんですね。
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内張りをバキバキっと外すときには樹脂製を使い、残ってしまったピンを外すのには、金属製の内張りはがしを使う、という感じです。
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なーるほど。
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それ以外の用途でも、金属製の内張りはがしは先端が薄いので、樹脂タイプでは入らない隙間に入ったりする。1本持っておくと意外と便利です。
例えばこんな場面
「内張りはがしの正しい使い方」も参照。
ドライバーは何番がいるのか?
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次はドライバーについてです。
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ドライバーは、当然必要ですよね。
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そうですね。使用頻度は高い。でも、そんなにいろいろ揃える必要はないですよ。
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そうなんだ。
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サイズについてはプラスドライバーの1番と2番があれば、車のネジのほとんどは外せますので。
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車のDIYでは、それほどサイズをいろいろと揃える必要はない?
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ですね。プラスの2番がほとんどで、それ以上のネジになると、10ミリのボルトが使われている。そこはソケットレンチの出番ですよね。
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なるほど。では、マイナスドライバーも1番と2番があればいい?
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マイナスドライバーは、ドライバーとして使うというよりも、コネクターを外すときにツメを押すとか、こじるとか……そういう用途ですよね。
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そっかー。
ネジとしては、全部プラスなんだ。 -
そして、そういう用途でちょうどいいのは、マイナスドライバーもけっきょく2番(↓)かなと思います。
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ところで、岡本プロがスイスツールを愛用している理由は?
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グリップが握りやすくて、滑らないのがいい。さらに先端部分がネジに対して、かかりがイイからですね。
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確かに。
ネジにピタっと、フィットする感じがありますね。 -
そうなんですよ。
それと、ずっと触っていたいグリップ……みたいな。 -
……。
((((・・;) -
……今、引きましたね?
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……え、ええ、少し。
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でもね、僕が工具を選ぶ基準はそんな感じなのです。使い心地が悪いと、使っていて毎回イラッとしますからね。
✔ ひとくちメモ
ドライバーの番号はサイズを表している。0番、1番、2番、3番……と番号が大きくなるにつれて太くなる。というわけで、この3本があれば十分
岡本研究員愛用のドライバーは、SWISS TOLLS(スイスツール)
DIY Laboアドバイザー:岡本 亮
「カプラーオンで簡単に取り付けできる」をテーマにした電装品を開発するDENKUL(デンクル)代表。車の電装、プログラミングの双方に長けている。工具大好き。●DENKUL(デンクル) http://denkul.jp/
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