工具大好き!
車の電装DIYに必要な工具は? 選び方を電装のプロに聞く(第3回)
車の電装DIYに必要な工具を、電装のプロに聞く連載。第3回は「カプラー外し(コネクター外し)」と「クリップ外し」と「ニッパー」と「結束バンド専用ニッパー」。え、そんなのまでいる? と思いそうだが、揃える理由を知ると、なるほど納得。
カプラー外し(コネクター外し)
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あると便利なのがカプラー外し(コネクター外し)です。
●アドバイザー:DENKUL 岡本研究員
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え?
コネクター外すのって、工具いるんですか?●レポーター:イルミちゃん
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コネクターを外すときって、狭い空間で、ツメを押しながら引き抜く……みたいなアクションになるので、指でやると固くて大変だったりするんです。
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引っ張るだけでは、抜けませんからね〜。
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そうなんです。馴れていないと、特にコツが分からない。意外と抜けなかったりします。
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なるほど、なるほど。
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ツメが固いときもあれば、コネクターの差し込みの端子部分が固いときもあるんですが、とにかく抜けにくいことはよくある。
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だから専用工具があるといいんだ。
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そうですね。ツメを押し込みながら引き抜く、という動作のための専用工具ですね。
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上(↑)は岡本プロ愛用。
メリーのカプラー外しです。 -
車の配線のカプラーはほとんどがツメを押しながら引き抜く、というタイプ。この工具1本でだいたい外せます。
室本鉄工、MERRY(メリー)の「HS175Cカップリングツール」
クリップ外し(クリッププライヤー)
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さっきのカプラー外しと似たような形をしていますが、用途が違うのがクリップ外し(クリッププライヤー)です。
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この工具は主に、外装で使われているクリップを外すときにあると便利なんですよ。
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外装のクリップって……例えば?
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タイヤハウスの内側のピンとか、ボンネットを開けてエンジンカバーみたいな大きい樹脂が固定されているピンを外すとき、ですね。
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こういう場面でよく、真ん中を引き上げてから全体を抜く、みたいな2段階で外すクリップが出てきますが、それを抜くのにも便利です。
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コレって……。
もし持ってなかったら、外せない!? -
まあ、その時はマイナスドライバーとかでこじって外すんですが、ピンがダメになってしまうこともある。クリップ外しはあったほうがいいですよ。
これ(↑)はグリルの固定ピン。
ニッパー
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次は、ニッパーです!
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ニッパー?
また地味な話題ですね。 -
…と思うでしょうが、電装系の作業だと、配線を切ったりなどでバンバン使うのがニッパーです。電子部品の足(LEDや抵抗の足)を切るときも使うし。
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それはそうですが……ニッパーぐらいは改めて紹介しなくても、誰でも家に転がってますよねぇ?
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う〜ん、実は僕も、つい最近までは近所のホームセンターで買った、300円位のやつを使っていたんですよ。
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いいんじゃないですか。
ニッパーなんて、ソレで? -
ただ、やっぱり……使用頻度を考えると、ニッパーはそこそこ良いモノを使いたいなぁ〜、という憧れが昔からあって。
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……ヘンな憧れ。
( ̄。 ̄;A -
つい最近、クニペックスのニッパーを買ったんです。クニペックスはドイツのブランドなんですけどね……
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ほほう。
ドイツ製ニッパー。 -
これがメッチャいいんです。軽い力でパキーン!って切れるとこが。
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やっぱりニッパーにも、善し悪しがあるのか。
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握りもクニペックスと言われてるらしいです。ウワサ通りいいですね♫ 切るのが楽しい。太い配線でも、パーン!
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工具の話をしている時が、一番楽しそうですね……。岡本研究員。
結束バンド・インシュロック専用ニッパー
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次に紹介したいのが、結束バンド(インシュロック)専用ニッパーです。
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ニッパーなら、さっきドイツのを買ったでしょうがッ!! コスパ重視の電装工具選びなのに、買いすぎでは?
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違うんですよ。これはニッパーのカットの面が、フラットになっているんですよぉ。
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切ったときに、結束バンドの出っ張りが残らないんです。
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あん?
なんのこっちゃ? -
普通のニッパーだと刃がフラットではなく、ウチに入っているから、根元ツラで切ってもどうしても結束バンドの出っ張りが残るんです。で、切り方が悪いと、こんな風にもなったりする(↓)。
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こんな風にナナメにカットされたままだと、次に作業するときに手をケガします。これは電装のあるあるですね。
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確かに。
コレは危ないな。 -
まあ、この切り方はさすがにないな、って感じですが。でも普通のニッパーだと、どうしても出っ張りが残るのは避けられない。これは刃が内側に入っているからなんです。
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で、インシュロック専用ニッパーっていうのは、刃がフラット(↓)なんですね。
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それと、押さえがあるから、切断したインシュロックが飛んでいかない。
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へぇ〜。
よく出来てるんですね。 -
結果的に、こういう風(↓)に切れる。
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これなら手をいれてゴソゴソやっているうちに手を切る、という心配もありません。
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そういえば岡本研究員は、「配線をキレイに処理する」のもコダワリでしたね。
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そういうタイプの人には、特にオススメします。
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……というわけで、きわめて実践的な(?)岡本プロの工具選び。「車の電装DIYに必要な工具は?」(第4回)に続く。
FUJIYA(フジヤ)のインシュロック╱結束バンド切断用「キャッチニッパ90CS-125」
結束バンドの危険な切り方
結束バンドを根元から残さず切断
DIY Laboアドバイザー:岡本 亮
「カプラーオンで簡単に取り付けできる」をテーマにした電装品を開発するDENKUL(デンクル)代表。車の電装、プログラミングの双方に長けている。工具大好き。●DENKUL(デンクル) http://denkul.jp/