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車の電装DIYに必要な工具は? 選び方を電装のプロに聞く(第4回)
車の電装DIYに必要な工具を、電装のプロに聞く連載。第4回は「ガス式ハンダごて」と「ラチェットハンドル&ソケットレンチ」と「ワークライト(作業灯)」。実践で作業しているからこそ語れるおすすめの理由も、工具選びの参考になる。
ガス式ハンダごて
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電装のプロが、おすすめの工具を紹介する連載。ひとまず最終回となる今日は、なにを取り上げますか?
●レポーター:イルミちゃん
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エンジニアのガス式ハンダごて、です。
●アドバイザー:DENKUL 岡本研究員
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今日もいきなり、普通じゃない感じの展開ですね。
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ガス式ハンダごてって、普通のハンダごてとどう違うんでしょうか?
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電気ではなく、ガスでコテ先を温めているんです。AC100Vの電源(コンセント)がない場所でも、ハンダ付けができる。
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え?
……どこでハンダ付けする想定? -
車内ですよ。
もちろん。 -
車内でハンダ付け?
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前にも言いましたが、配線をつないだり、分岐させたりといった場面では、一番接触不良が起こらないのはハンダで直結する方法です。
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そういえば岡本プロは、エレクトロタップなどは使わないんですよね〜。
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というわけで、車内でハンダごてを使う、という状況は珍しくないのです。
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そういえば、配線を空中でハンダ付けするコツを以前に教わりましたね。
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例えば、ガレージがあって、車の近くにコンセントがある状況なら、普通のハンダごてでできますが……、
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そうそう恵まれた環境とは限りませんね。
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それに電源があったとしても、ハンダごてのケーブルがつながっていると、やはり車内でのハンダ作業にはジャマなんです。
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なるほど。
確かに。 -
そこでガス式のハンダごてが重宝するんですよ。ガス式なのでパワーも強い。けっこう太い配線にハンダを流すときでも使えますよ。
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岡本プロのように、車内で配線をハンダ付けする人には、おすすめと言えそうですね。
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注意点をひとつ。ガスは、メーカー推奨の専用品を使いましょう。
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え?
そんなの当たり前では? -
実は……ガス代を節約しようとして、安いガスを試してみたら、なんか詰まったりした経験とかあってですね……、いちおう言っておこうかなって。
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ガス式をめっちゃ推してくるわりには、セコイ試みを。……ま、こういうところが、非常に参考になるのですが。
エンジニアの「コードレス半田コテ SK-60シリーズ」
車内で配線をハンダ直結
やり方は、「ハンダで配線同士を接続する方法」参照。
ラチェットハンドル&ソケットレンチ
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次はラチェットハンドルとソケットレンチですね。
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おぉ。
久しぶりに普通の工具が出てきた気がします。 -
電装系の作業に限定して考えると、ソケットレンチの出番は10ミリと12ミリがほとんど。それより小さいサイズも、大きいサイズも、電装DIYではあまり使わないと思います。
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そうなんだー。
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まあ、ほぼ10ミリと考えていいでしょう。車内のボルトは。
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ちなみに岡本プロ愛用のラチェットとソケットレンチ(↑)は、全部ストレート製なんですね。
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指で早回しできるアダプター(※フィンガーチップスピンナー)はストレートがいいんですよ。あとは親指で切り替えできる、アタマの部分の作りがいいですね。この組み合わせは最高にいいです。
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普段は手首のスナップだけで外すことがほとんど。で、もっと力がいる場面で使うラチェットが長いほうですね。
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なるほど。
ラチェットはこの2本の使い分けですね。 -
あとはナビを外す時など、延長用のロッド(エクステンションバー)が必要になったりしますね。車種によっては。
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ソケットに関しては、ディープソケットを揃えておくといいです。
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それはなぜ?
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車体側からボルトが出っ張っていて、それに対してナットで固定されているケースが意外と出てきます。そういうのは普通のソケットではナットに届きません。
エクステンションバーとディープソケット
ワークライト(作業灯)
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作業灯については、かなりのコダワリがありまして。
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配線作業では意外と重要ですよね。車内って、けっこう暗いから。
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そうなんです。で、今僕が使っている作業灯は、車用のやつじゃないんですよ。
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車用ではない?
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ノートPC用のデスクライトなんです。キーボードを照らすやつ。
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このLEDが明るくて、フレキシブルに曲がるのがいいんです。コレとモバイルバッテリーの組み合わせは、最強に使いやすい。
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足元の奥のほうとか、エンジンルームの奥とかも……照らしにくかったりしますよねぇ。
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そういう場面では、普通の作業灯だと、その照射角度を保持しにくい。
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照らしたまま、配線作業ができない。
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そうなんです。作業灯から手を離した状態で、照らしてほしい場所を照らし続けてほしいのです。
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なるほど。
それでフレキシブルライトか。 -
この細さもいい。
狭いところにも入っていけます。 -
確かにこういうのは、車用に限らずで、使いやすいモノを探すほうがいいかも知れませんね〜。
DIY Laboアドバイザー:岡本 亮
「カプラーオンで簡単に取り付けできる」をテーマにした電装品を開発するDENKUL(デンクル)代表。車の電装、プログラミングの双方に長けている。工具大好き。●DENKUL(デンクル) http://denkul.jp/
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