内張りはがしの正しい使い方
「内張りはがし」は一般の人には馴染みのない工具だが、自動車のドレスアップやカスタマイズの世界では、何をするにも必須の工具。カー用品店に行けばすぐ手に入る定番のエーモン製を例に、内張りはがしの正しい使い方を解説する。
内張りはがしには金属製と樹脂製がある
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内張りはがしの使い方を教わります。
●レポーター:イルミちゃん
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内張りはがしを選ぶときの注意点ですが……
●アドバイザー:エーモン 中塚研究員
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内張りはがしには、いろいろな形状のものがありますからねぇ。
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形状もそうなんですが、樹脂製か金属製かという違いがあります。
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まず、材質の違い。
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ドア内張りや、パネルなどをこじって外すときは基本的には樹脂製の内張りはがしがオススメです。
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こういったタイプ(↓)の、金属製の内張りはがしもあります。
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この金属製の内張りはがしは、クリップなどを外すときには便利ですよ。
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確かにこのタイプは、ドアの内張り外しには、あまり使うイメージがないですね。
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金属製は内張り側を傷つけやすい。だから内張りをこじるときは、樹脂製の内張りはがしがオススメなんです。
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なるほど。では次に内張りはがしの正しい使い方を紹介します。
樹脂製では定番の内張りはがし
ここで使っているのは【Amazon.co.jp 限定】エーモン 内張りはがし(1427)
金属製の内張りはがし
金属製の定番モデル。詳細はAmazonの内張りはがしDX(1423)
ドア内張りの外し方
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今回はC26セレナを例に、ドア内張りを実際に外す工程を紹介します。
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より実践的な内張りはがしの使い方が分かりますね!
セレナのドア内張り
内張り上部の三角パネルを外す
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まずは前方側の三角のパネルを外します。
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ちょっと待ったぁ! 今日は内張りはがしの使い方の勉強なのに、イキナリ手で外してどうするんですか!!
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いや、手で外せるモノは手で外すのが基本です。わざわざ内張りはがしでこじるのは、それこそ傷を付ける原因になりますので。
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ふーん。かたっぱしから内張りはがしでこじるわけじゃないのか。
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この三角パネルはたまにネジで固定されている車種もあります。いずれにしてもこのパネルを先に取っておかないと、下のドア内張りを外した拍子に割れてしまいます。
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順番には気をつけないといけませんね。
手で引っ張って取る
ネジ類を外す
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次はネジで固定されている箇所を全部外す。ネジ固定が残っていると、内張りをいくらこじっても外れませんので。
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え?
ネジなんてどこにあります? -
肘掛けのポケット部分を上から覗き込むとネジがある。この位置は定番です。
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C26セレナの場合はネジはここだけですが、隠しネジの位置は車種によっていろいろです。
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ネジ固定が残ったまま内張りを無理に外そうとすると?
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割れる可能性があります。注意しましょう。
肘掛けポケット底にネジ発見!
ドアハンドルの枠を外す
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ここでいよいよ内張りはがしが登場しますが、こじり方にはコツがあります。
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外側から内張りはがしを差し込んでこじるんですよね?
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いや、セレナのこの部分(↓)は外側からこじっても外れません。
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え!?
こんな風にこじるの? -
外れた状態を見ると分かります。奥のほうにツメがあって、内側から外側方向にツメがかかっているのです。
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こういうツメのかかり方をしているので、内側から外側に向かって広げるような力を加えないと、ツメのロックが外れないのです。
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こじるというより、広げるような感じでやると上手くいくんですね。
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そうなんです。日産車のドア内張りに、わりとよくあるパターンです。
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エーモンの緑の内張りはがし(パネルはがしロング)は、先が薄くなっているので、こういう場面で最適です。
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ドアハンドルには、隠しネジがあるパターンも多いです。その場合はネジも外しておきましょう。
こんなふうにこじる
一足先に外れた状態で見れば、分かる
同じやり方で他のツメも外せば、取れる
エーモンのパネルはがしロング
詳細はAmazonのエーモン パネルはがしロング(1499)
パワーウインドウスイッチのパネルを外す
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セレナの場合は、内張りを外す前にパワーウインドウスイッチ周りのパネルを外します。
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手で引っ張り上げて外せるなら、内張りはがしは使わないで取ります。
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内張りが全体が外れてから、内張り裏でパワーウインドウの線を抜く車種も多いですよ。
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そのへんは車種ごと、ですね。
ココも手で引っ張って外す
裏側につながる配線のコネクターを抜く
ドア内張り全体を外す
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ドア内張りを外しにいくときは、まず内張りはがしを差し込んで少しスライドさせてみるのがコツ。
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スライドさせる?
こじるんじゃなくて? -
スライドさせて探ると、よりボディ側の鉄板と強くくっついている場所というのが感触で分かります。
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フムフム。
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そういう場所はピンで固定されている付近なので、そのあたりで内張りはがしをひねると、パンっとピン固定が外せます。
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固定箇所の近くをこじるのがコツなんですね。
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そういうことですね。固定ピンと固定ピンの中間地点とかだと、内張りはがしでこじっても内張り自体がしなって、力が逃げてしまいます。
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外す前の段階ではピン位置が分かりませんが……それを感触で探すわけですね〜。
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そうですね。そして内張り下部のピンが外れたら、手で内張り全体をつかんで引っ張ります。
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下部がフリーの状態になったら、上方向へスライドさせるとドア内張りが外れます。
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こんな感じで内張りを外します。内張りはがしの使用は必要最小限なんですね。
強く固定されている付近をこじる
内張りは無数のピンで固定されている
内張り下部の固定が外れる
バコッ
ステップなどを外す場合
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ステップなどを外すときは、太めの内張りはがしを使うといいです。
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それはなぜですか?
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細いタイプでこじると、1点に力が集中する。傷つけたりしやすいです。
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なるほど〜。
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この場合も内張りはがしを差し込んだら、少しスライドさせてみると、コンと当たる感触でピン位置が探れます。
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そうしたらそのポイントのところで、内張りはがしをひねればいい。
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そうですね。
それが内張りはがしを使うときのコツです。
DIY Laboアドバイザー:中塚雅彦
カーDIY用品メーカー・エーモン広報担当で、エーモンの顔と言える人物。端子や配線コードの仕様など細かいところまで深い知識を持っているので、DIYラボでは「電装DIYのきほん」に関する記事を担当。中塚ハカセ、とも呼ばれている。
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