板金塗装をもっと身近に
マットシルバー塗装をするなら知っておきたい知識
上写真はメッキからマットシルバー(ツヤ消しシルバー)に塗装したエンブレム。これを見るとやりたくなる人が多そうだが、マットシルバー塗装は、マットブラックよりも難しい問題があるという。それはどういうことなのか?
マットシルバー塗装には、マットブラックとは違う事情がある
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「マット塗装(ツヤ消し)の種類とその違い。どの塗り方が理想なのか?」の続き。
●レポーター:イルミちゃん
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前回は「マットカラー」にもいろいろな種類があるよ、という説明をしましたが……ここからが本題です。
●アドバイザー:ほんだ塗装 本多研究員
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今までのは前置きだったんだ。
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今回なぜ「マット塗装の種類」を解説してきたかというと、DIYラボ読者の方から頼まれた、ある案件がきっかけだったのです。
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ホー。
それってどんな塗装依頼? -
エンブレムをマットシルバーで塗装してほしいというリクエストを受けました。
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定番のマットブラックではなくて、マットシルバーか。
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実際にマットシルバーで塗装したエンブレムがこちら。
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ツヤ消しシルバーというのもカッコいいですねぇ。
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……そうなんですけれど、マットシルバーにはマットブラックとはまた違った問題がありまして、そこは重要なので説明しておかないといけない。
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ベースの色が違うだけではないの?
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シルバーはブラックと違ってキラキラしている色ですよね。
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ふむ。
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シルバーという色は、カンタンに言えば「グレーの上にメタリックのキラキラが載っている」イメージです。
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「シルバーメタリック」ってやつですね。
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そうです。そしてその上からクリアを吹いて仕上げます。
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フムフム。
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通常のシルバーはクリアでコートされている。つまりメタリックの粒々が守られている状態です。
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メタリックの粒々を、クリアが守っている。
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ここでいつものマットブラックと同じように、クリアをかけないタイプのマットシルバーにするとどうなるか?
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……あ。メタリックを守るクリアがない!
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メタリックがむき出しの状態なので、時間の経過とともにどんどんメタリックの粒々が飛んでいってしまいます。
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もしかしてグレーになってしまったりして…?
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極端に言えばそういうことです。何回も洗車したりしているうちにメタリックがなくなっていき、シルバーの輝きを失って、やがてグレーになってしまいます。
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ではクリアを吹かないマットシルバーは、長持ちしないんだ。
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そう。メタリックがからんでくるシルバーは、本来はクリアをかけたほうがいいのです。
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しかし単にクリアをかけたら、普通のツヤ有りのシルバーになるだけよね。
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そうですね。
マットシルバーにはならない。 -
確かにマットシルバーって、矛盾するっていうか、実現が難しい色なんですね。
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ここで前回マットカラーの種類で説明した「ツヤ消しクリア」の存在を思い出してほしいのです。
マットシルバーに最適なツヤ消しクリアの存在
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メタリックが飛ぶリスクを抑えながらマットシルバーにするためには、例の高価なツヤ消しクリアを使う手法が、一番いいのです。
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そっか。
その手があったか! -
ただし前回言ったように、この手法にもデメリットがあります。
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塗料が高価だから……塗装代が高くなる、でしたね。
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例えば、クリアをかけないマットシルバーだと2500円で塗装できるエンブレムがあったとして「ツヤ消しクリアを使う」と、5000円の塗装代がかかるイメージです。
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だいたい倍になるのか。
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これが「通常のクリアの中にフラットベース(ツヤ消し剤)を混ぜる」やり方だったら、そんなに高くはならないけど……
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でもクリアにツヤ消し剤を混ぜる塗装方法は、ほんだ塗装ではやらないんでしたね。
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そうです。通常のクリアにツヤ消し剤を混ぜる塗り方だと、くすんだ印象のマットカラーになるから、ほんだ塗装としては採用していません。
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つまり、ほんだ塗装における選択肢は2つ。
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クリアを吹かないマットシルバーと、ツヤ消しクリアを吹くマットシルバーのどちらかですね。
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そして後者だと値段が約倍になる、ということね。
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ただシルバーの場合は、どうしてもメタリックが飛んでいくデメリットがあるから、前者はオススメできません。
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……その理屈でいうと、マットガンメタだってメタリックが飛ぶデメリットは同じなのでは?
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その通りで、マットガンメタもマットシルバーと同じデメリットがあります。だからこれも理想はツヤ消しクリアを吹く方法です。
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エアロパーツの塗り分けでも、マットガンメタは定番と聞いたことがありますが……
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その場面でもツヤ消しクリアを使うのが理想的ではありますが……塗装代を下げたい人が多いので、エアロパーツの塗り分けで使う人は少ない気がしますね…。
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とはいえクリア無しのデメリットや、ツヤ消しクリアの存在は、知識として持っておきたいところです。
ツヤ消しクリア(クリアーマット)とその硬化剤。
サイドステップをマットガンメタで塗り分けた例。
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Laboアドバイザー:本多 順
ワンオフ加工と塗装のスペシャリスト。エアロパーツ取り付けも仕上がりにとことんこだわるタイプ。超がつくキレイ好きでもあり、安心して車を預けられる。●ほんだ塗装 TEL:0564-58-5808 住所:愛知県岡崎市坂左右町堤上101-3 営業時間10:00~21:00 水曜定休 メールはこちら
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