テールランプの修理
テールランプ内部に水が入る状態を放置するとサビだらけに! 修理は可能?
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テールランプ内部に水が入った。そんな状態をそのまま放置したら、どうなってしまうのか。水が入る原因と修理について、サビだらけの水没テールの実例を元に解説する。
テールランプ内部の基板が水没してしまい……
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「ヘッドライト内部に水滴がつく原因と修理方法。そして修理費用は…?」の続き。
●レポーター:イルミちゃん
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今回は、宅配便でテールランプだけ送ってもらって修理した事例です。
●アドバイザー:イルミスタ 野本研究員
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フムフム。
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ブレーキランプは点灯するけど、スモールランプが点灯しない、という症状での修理依頼でした。
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球切れ?
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いや、LEDの球切れだったら、ブレーキ/スモールの両方とも点灯しませんからね。こういうパターンは「回路」に原因があるだろうなという予測はつくんですが……
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なるほど、なるほど。
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ただレンズ越しにライト内部がかなり汚れているのが見えたので、嫌な予感がしました。
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内部が汚れている?
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テールランプはヘッドライトのようには熱分解できないので、超音波カッターで切り開けてみると……
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なにこれ……砂? ドロ?
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錆(サビ)ですね。錆びだらけの状態。ようするに水没した痕です。
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水没……。
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すでに完全に乾ききった状態になっていたので、水は入っていませんでしたが。
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これはヒドイ。
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内部の基板も水没したようで、抵抗やダイオードが錆びだらけで朽ちていました。
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うわーッ! スモールランプだけ点灯しなかったのは、コレが原因か。
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スモール回路の抵抗が、サビで朽ち果てていたようです。基板の裏側もこんな状態。
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逆によくブレーキランプは点灯してたね、っていう。
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ブレーキランプ側の回路までは、水没していなかったんでしょうね。
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この茶色い錆ラインが、水没ラインね。分かりやすい。
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正直、今までいろいろなヘッドライトやテールランプを修理してきましたが、一番ヒドイ状態でした。
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ナンバーワン認定、頂きました。……でもコレ、修理なんてできるの?
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基板の回路が完全に剥がれてはいなかったので、なんとか修理は可能でした。
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どういうふうに修理したというのでしょうか?
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ワイヤーブラシで錆を削り落とし、抵抗などの部品は全部新しいモノに交換しました。
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しかし、何オームの抵抗を付けたらいいのかも分かりませんよね?
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純正の抵抗のサビを取ったら、かろうじて書いてある抵抗値(Ω数)を読み取れたので。
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……それはよかった。
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容量は3Wの抵抗が使われていましたので、同じ抵抗値の3W抵抗を付け直してみました。
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市販の抵抗で代用できたんですね。
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整流ダイオードも付け直しました。これはサビを削っても記載が見えなかったので、ある程度は予想で容量を決めて、実際に点灯させてテストしました。
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〈イルミスタ〉が修理が得意なのは知ってるけど、水没テールランプまで復活させるとは。
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プリント基板の回路そのものがダメになってしまったら、修理は難しいですね。
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そこまでではなかったんだ。
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錆を落としてみると、プリント基板は無事であることが確認できたので。
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なるほど。
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最後に「ハヤコート(※)」を塗布してコーティングしました。

テールランプ内部の水没痕。



修理してスモール点灯するようになったLEDテールランプ。

※湿気、塩害などから基板を守る防湿防錆コーティング。基板で有名な「サンハヤト」製品のひとつ。
テールランプ内部に水が入る原因は…?
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前回の「水槽ヘッドライト」でマックスかと思ったら「水没テール」の修理例まであるんですねぇ。
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テールランプも古くなると、内部に水が入るケースはありますね。車種によってはそんなに古い年式でもないのに、そういう症状が出ることもあるみたいですし。
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テールランプの場合は、どこから水が入るの?
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一般的にはレンズとハウジングの溶着部の問題だと思われます。しかし、今回はレンズとの溶着部分から水が入った形跡がありませんでした。
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そんなの判断できるものなの?
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テールランプを水に浸けて調べてみたので。
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あ〜!
あの方法ですね。 -
今回の原因は溶着部分ではなかったので、裏側ウインカーバルブソケットや、配線が通っているゴムパッキンの周りから水が浸入したと考えられます。
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ゴムパッキン?
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配線がテールランプ内に入っていくところは、ゴムのキャップのようなものが付いています。それがちゃんとハマっていなくて、そこから水が入ったりとかあり得ます。
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フムフム。
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バルブのソケットがしっかりハマっていなかった、なんていうケースもよく見かけますからね。
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DIYでいじる人は要注意ですねぇ。
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ちなみに僕はバルブの取り付けとか、防水のゴムキャップみたいのを付け直すときは、歯医者さんが使っているような鏡を使って、下側・裏側がしっかりハマっているかどうかを確認しています。そういう小道具もオススメ。
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ほぉ。
歯医者さんミラー! -
手の感覚だけで「はめ込めたからOK」では、ちょっと怖いですね。
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プロでもそこまで慎重になるくらい、ヘッドライトやテールランプに水が入るのは「ありがちで怖い」ということですね…。

DIY Laboアドバイザー:野本貴之
光ドレスアップの専門店・イルミスタ店長。LED加工や打ち替え、アンダーLEDを得意とする特殊なプロショップ。仕事ぶりは極めて職人気質で丁寧。部品のみの販売も行っている。●イルミスタ 住所:埼玉県三郷市上彦名540-3 営業時間12:00〜21:00 月曜定休(祝日の場合翌日)
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