足まわりコラム
インチアップのデメリットまとめ
ここではあえて、インチアップすることのデメリットをまとめてみた。扁平率の低い細身タイヤを履いて、結果、乗り心地が悪くなる……というのは当然予想されることだが、それ以外にもいろいろあり。事前に知っておこう。
ホイールが重くなるので燃費が悪くなる
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今日はあえて、インチアップのデメリットについて触れておこうと思います。
●レポーター:イルミちゃん
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まあ、カッコ良くなるのがメリットなら、当然デメリットもありますからね。
●アドバイザー:スパイス 佐藤研究員
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デメリットを知らないで、あとから驚く人だっていますよねぇ?
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中には、「思っていた以上に燃費と乗り心地が悪くなった」という人はいますね。ドレスアップとはそういうものだ、と理解している人もいれば、知らない人もいるので。
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燃費は悪くなるんですね?
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ホイールが重くなるので。ストップ&ゴーが多いと、燃費が悪化しやすくなります。なので街中の走行が多い人ほど、純正との差が出ると思います。
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インチを大きくして、J数も太くして……重くなりますよね。当然。
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このデメリットをなくすために軽量ホイールを履く手もあるけれど、選べるデザインが大幅に限られます。また、そういうホイールは1ピースで、サイズの選択肢も少ない。
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……なるほどぉ〜。
J数アップも重量増の要因
ホイールが重くなってブレーキの効きが悪くなる
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ホイールが重くなることで、ブレーキの効きが悪くなる面はあります。でもこれは、車種によって感じ方がだいぶ違うかな。
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と言いますと?
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例えばセダン。純正でビッグキャリパーを付けている車種も多いのですが、そういう車はあまり気になりません。
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ところがもともと軽量コンパクトな車は、純正ブレーキもそれなりに貧弱。なので大径ホイールを履くと、ハッキリとブレーキの効きが悪くなったりします。軽自動車の17インチ履きなどが、顕著な例ですね。
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対策はあるんでしょうか?
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ブレーキパッドをスポーツパッドに交換するとか。それで十分回復するとは思います。
純正でビッグキャリパーなら有利
走っていて気を遣う場面は多い
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インチアップするということは、タイヤが薄くなるということ。走行中、段差などには気を遣う必要があります。
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段差にドーン! と突っ込んだりはするのは……、
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タイヤがダメになったり、ホイールが歪む可能性があります。コンビニに入るときの段差なども、勢いよく入るのはNG。
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ワイルドな運転をする人には、不向きってことか。
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キャッツアイなどでもホイールを傷付けたりするので、注意が必要です。踏まないようにしましょう。
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でも工事中とかで、どうしてもキャッツアイをまたぐ場面はありますよ?
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そういうときは、そーっとまたぎます。とにかくドンドンとは行かないことです。
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なるほど。あらゆる段差で、気を遣う必要があるということですね。
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偏平率の低い、薄くて細いタイヤになればなるほど、こういった気遣いが必要になりますね。
偏平率の低い細身のタイヤ。ドレスアップ的には有利だが…
タイヤのセパレーションも起こりやすい
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インチアップしつつ車高も低くする場合は、細めのタイヤを引っ張るのが定石ではありますが……、
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引っ張りタイヤは、インチアップとセットな面がありますね。
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そうなんですが、そもそも荷重指数も足りてない状態なので、段差とかでは何も気にせずのっかったりすると、タイヤが負けてセパレーションを起こしたりしやすいです。
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タイヤが壊れてしまう。
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セパレーションの問題は、乗り方や、タイヤ銘柄、サイズによって変わるので、一概にインチアップしたら起こるとは言えませんけどね。
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セパレーションのことなんて知らない人も多いから、気づかない人も多そうですね。
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そうですね。タイヤを内外入れ替えしようとして、店で外すまで気がつかない人もけっこういます。
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気をつけていれば分かるものでしょうか?
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症状として、ロードノイズがすごくうるさくなったり、ハンドルもブレたりし出します。気をつけていれば普段との違いに気づけると思います。
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そうなったら、タイヤは交換するしかないですよね。
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そのまま乗っていたらバーストするのでタイヤ交換は必須。そういえばインチアップするとタイヤ代も高くなるので、その点もデメリットと言えばデメリットですね。
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サイズが大きいほうが、純正交換サイズより高くなるのは当然ですね〜。
タイヤの加重指数は、サイズ表記の後ろのロードインデックスで分かる
インチアップしたら内減りするのか?
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インチアップしたら、やはりタイヤも内減りするのでしょうか?
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いや、インチアップと内減りは直接的には無関係ですね。内減りと関係があるのは車高、つまりローダウンのほう。それとアライメントが取れているかどうか、という問題。
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ホイールを交換したからといって、アライメントが狂うわけではない?
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ですね。アライメントが狂うのは足まわりをいじったり、車高を変えた時です。ホイールを換えただけなら、アライメントまで取る必要は基本的にはないです。
✔ アライメント調整が必須なタイミングについては、「アライメント調整するべき場面とは? タイヤ交換時の必要性は?」参照。
デメリットを気にしすぎると逆に失敗することも
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……というわけで今日はあえてミミの痛い話ばかりを聞いてきたわけですが……、
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とはいえ、あまりにリスクを取ることに慎重姿勢になりすぎても、かえってホイールの買い直しにつながるケースもあります。
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ほほう。
と言うと? -
乗り心地を気にして、1インチアップにとどめたものの、タイヤも肉厚。ボッテリとした見た目に満足できず、ホイールを買い直す人もいたりします。
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う〜む。1インチアップのほうが、デメリットは少ないのでしょうけど……
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まあそうですね。ホイールのインチが大きくなるほど比例してデメリットも大きくなるので、単純にはインチをあまり上げないほうが有利ではあるんですが……、
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見た目に納得できないと、そもそもドレスアップする意味がないですね。
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そうなんです。デメリットばかり考えて消極的になりすぎた結果、逆の意味で後悔する人も少なくないのです。
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なーるほど。
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ある程度は、「こういうものだ」という割り切りもないと、カッコ良くドレスアップするのは難しい面もありますね。
DIY Laboアドバイザー:佐藤峻一
元カスタムガレージスパイス代表。足回りに強く、得意技は勝負ツライチだが、実用性重視のセッティングも高いレベルで実現。ドレスアップ全般に明るく、不思議な包容力があってDIYユーザーにも人気。
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