リレーアタック対策講習⑨
リレーアタックを自動で防ぐ「スマートガード」取り付け方法
リレーアタックを防ぎ、車上荒らし対策にもなる「スマートガード」の、DIY取り付け方法。まず取り付けに入る前に「どんな作業内容なのか」「取り出す配線の種類は?」などを解説。先に全体像をつかんでおくと、実作業がやりやすくなる。
スマートガードの取り付けってどんな作業?
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「リレーアタックガードとスマートガードは、どっちがいいの?」の続きです。
●レポーター:イルミちゃん
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ここからは、自動でリレーアタックを防ぐ、スマートガードの取り付け方法です。
●アドバイザー:CEP 服部研究員
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以前に解説した「リレーアタックガード」に比べると、取り付け難易度は上がるという話でしたが……
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とはいえ、スマートガードも、DIY取り付けは可能ですよ。
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まずは、どういう作業内容なのか、全体像を把握しておきましょう。
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工程を大きく分けると、以下の3つですね。
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ふむふむ。
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まずは、受信機の取り付け作業です。
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これがつまり、本体ユニットみたいなものですね。
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そうです。この受信機に対して、車両側から電源や信号線を取る、という作業ですね。
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車両側から取り出す必要のある、配線の種類は…?
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以下の通りです。
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おや? 難しいと言うわりには、それほど多くはないような気も?
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そうですね。
線の種類としてはそんなに多くはないです。 -
できそうな気がしてきた。
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ただし、ドアカーテシ線に関しては、5本取らないといけないので……そういう手間はありますけどね。
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ウッ。
なんでドアカーテシ線が5本もいるの? -
この線を取るのは、ドアの開閉をユニットが検知して、アラームを鳴らすためです。
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ええっと、つまり車上荒らし対策機能ですね。リレーアタック対策ではなくて。
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そうです。もしも運転席のドアカーテシ線しか取らなかったら、助手席側を開けられた時には、反応しないことになりますので。
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それは……困る。
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というわけで、セキュリティ面からはバックドアも含めて全ドアから取っておかないといけません。
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……なるほど。
ここで手を抜くと…… -
それだけ防御力が下がってしまいます。
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とはいえ、バックドアから配線を引いてくるのは、けっこう大変そうだなぁ。
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あ、でも実際の作業では、バックドア付近から取る必要はないんですよ。
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と言うと?
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実際の配線作業は、BCM(※コンピューター)付近でまとめて行います。
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ほお。
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確かにドアカーテシ線は、各ドアのスイッチ裏から取ることもできますが……
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1本ならともかく、全ドアから集めてくるのは、作業的に効率的ではありません。
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確かに。
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ですので、スマートガードの取り付け時は、セキュリティ取り付けなどと同様に、BCM付近で取る方法を推奨しています。
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実際、フロントまわりで全部取れる車種が多いです。
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コムエンタープライズで配線情報が公開されている車種は、この方法でラクができそうですね。
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そして、そのときBCM付近で、常時電源やIG電源(またはACC電源)なども、すべていっしょに取り出してしまいます。
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一網打尽系…!
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あとはボディアースと、ヒューズ電源を指定ヒューズにつなぐ……ぐらいですね。
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情報さえあれば、ここまでは、それほど大変ではないと思われます。
コムエンタープライズのスマートガード
① 受信機(本体ユニット)の取り付け
② アンテナの取り付け
③ サイレンの取り付け
✔ 常時電源
✔ ボディアース
✔ IG電源またはACC電源
✔ ドア開閉検知線(ドアカーテシ線)
✔ ヒューズ電源の接続
※車種ごとに指定ヒューズが決まっている
✔ ドアカーテシ線の基本的な知識は、「カーテシ線(ドアカーテシ線)とは? どこから取るのが正解か?」参照。
自動でリレーアタック対策を発動するためにアンテナ設置が必要
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スマートガードの取り付けで一番手間がかかるのは、アンテナを設置しないといけないことです。
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アンテナは4つ付属していますが……4つとも、必ず付けないとダメ?
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ハイ。
フロントとリアの左右、つまり車の四隅に付けます。 -
ふむふむ。
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このアンテナによって、「オーナーが車から離れた・近づいた」を検知しているので、必ず4つとも付ける必要があります。
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……ここは物理的に、車内四隅から配線を取り回す手間がかかりますね。
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そうですね。
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あのう……。
フロントだけしか付けないと、どうなりますか? -
例えばバックドアを開けようと後ろから近づいても、ガードが解除されず、純正スマートキーが反応しないということになってきます。
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手を抜くと、使い勝手が非常に悪くなりそうです。
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あとはサイレンの取り付けですね。
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サイレンはエンジンルームに付けるので、車内への配線引き込みの手間はかかります。
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サイレンを付けないと、どうなりますか?
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なんだか、さっきからサボることばかり考えてませんか?
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まさか。
いちおう聞いてみた、だけで。 -
スマートガードは、リモコンを持って離れることで自動的にリレーアタック対策モードに移行しますが、そのことが「音」で分からなくなるので、使い勝手が悪いです。
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……なるほどね。
サボれるポイントは、なさそうだな。 -
……というわけで、「スマートガード」取り付けの作業内容は、簡易的なセキュリティに近いノリです。
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次回からは、具体的な取り付け手順を解説していきます。
DIY Laboアドバイザー:服部有亨
キーレス、オートライトをはじめとする車の電装カスタマイズで有名なコムエンタープライズ(CEP)で製品開発を担当。車の電装、プログラミングの双方に長けている。配線図大好き。●コムエンタープライズ TEL 079-230-2323 住所:兵庫県姫路市大津区天神町2-78
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