DIYトラブルの原因
車のDIY作業でハイブリッドシステムチェックエラーが発生する原因は…
ハイブリッドシステムチェックエラーが出る原因。もしもDIY作業中に「ハイブリッドシステムチェック」の表示が出たら、こわいし焦る。今回はDIYラボ読者の実際の体験を元に、なぜそうなったのか仮説を立てて推理したが、見えてきた真相は予想外の展開に……
バックカメラを取り付けしたらハイブリッドシステムチェックエラーで走行不能!? なぜ???
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DIYでバックカメラを取り付けたところ、思わぬトラブルに見舞われたDIYラボ読者「芋助さん」の体験談をお届けしたいと思います。……これは本当に恐い。
●レポーター:イルミちゃん
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バックカメラを取り付けたら走行不能って……パニックになりますね。
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う~ん……。
●アドバイザー:ビートソニック ワタナベ研究員
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おや? バックカメラメーカー・ビートソニックのワタナベ研究員でも、これは原因が分からない?
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いや。
そんなことあるのかな、と思いまして……。 -
大丈夫ですよ!
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……え?
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この話には続きがあって、実はもう、質問者の芋助さん自身が、解決してしまったんですよ。
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あ、そうなんですね。
では原因は何だったのでしょうか? -
アースポイントだったそうです。
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……アースポイント?
はて、それはどうだろう。 -
後日、こんな報告メールが届きまして。
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ちなみに、写真まで送って頂いたのでもう少し詳しく解説すると、まずバックカメラの電源はバックランプから分岐しました。
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これは、ビートソニック・ワタナベ研究員も推奨している電源の取り方(※)です。
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そうですね。
それで、最初に使ったアースポイントは? -
バックランプすぐ左上に突き出ていたボルトにボディアースしたそうです。ココが近いしね。車種は30プリウスです。
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ところが、イグニションをONにすると警報アラーム音とともに「ハイブリッドシステムチェック」のエラー表示(↓)が発生!
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ここで、シフトをドライブに入れても走行できなくなりました。
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……。
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そこで内装をもっと奥までめくりまして、左後輪タイヤハウス上あたりに絶好の場所を発見。そこにアースすることで解決したもよう。
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ということで、トラブルは解決はしているものの、バックカメラのアースポイント選びの注意喚起にもなるのかな、と思ってワタナベ研究員のアドバイスを……
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いや、これ、原因はアースポイントではない気がするんですけどね。
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……うえぇ???
そこから話をひっくり返すの???
■ 質問
DIYラボを見て、30プリウスにバックカメラを取り付けました。電源はバックランプのラインから取り、シフトをリバースに入れるとナビにカメラの映像が映ります。
しかしディスプレイに「ハイブリッドシステムチェック」のエラー表示が現れ、シフトをドライブにいれても走行できません。そこでカメラの配線を全て取り除いたところ、元に戻り、エラー表示が消えて走行できるようになりました。
配線ミスであるなら、どこが悪かったのでしょうか? アドバイスを頂けると幸いです。
質問╱ 芋助さん
調査をしていただき恐縮です。
誠に申し訳ないのですが、この件については、実はボディーアース線をつなぐ位置が悪かったことが判明しました。
私としてはしっかりボディーアースしたつもりだったのですが、他のボルト部にアース線をつなぎ直したことで解決しました。
※芋助さんの〈報告メール〉より、一部を抜粋
でも、最初にアースしたポイントも「塗装されていないネジ」だったので、何故ダメだったのか、よくわかりません。
※芋助さんの〈報告メール〉より、一部を抜粋
システムチェックエラ-はアースの見直しで消えたわけではなかった…
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今回の話は、最初のアースポイントがアース不良だったってことでしょう?
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いやいやいや、もう一度、最初の質問者の方の話を思い出してくださいよ。
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あん?
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「シフトをリバースに入れるとナビにカメラの映像が映った」っておっしゃってますよね。
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でも、ハイブリッドシステムチェックエラーで車が動かないんですけど? 画面が映ったところで、それどころでは……
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カメラの映像が映るということは、アースは取れている、ということです。
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あ! そっか。
……これはいったいどういうこと? -
30プリウスはかつてビートソニックもデモカーで保有しておりましたが、アースポイントはどちらを使っても問題ないはずですし、そもそも、バックカメラのアース不良で走行不能になるほどのエラーが出るとは考えにくい。
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まあ、確かに、厳しすぎる気はいたしますが……。
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バックカメラやバックランプは、走行不能なエラーが出るような要件ではないはずです。
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では真犯人はいったい……?
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あくまでも推測ではありますが、見解を述べさせていただきます。
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……ごくり。
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ようするに、システムチェックエラーが出た原因はコネクターのつなぎ忘れだったけど、その後アースポイントを変え、いろいろ配線し直しているうちにコネクターもきちんと接続され、その結果エラーが消えたのではないかと。
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……な、なるほど。
探偵みたいだ。 -
ちなみにその世代のハイブリッドですと、エンジンスタートボタンをIGオンまで3回入れるとエラー表示が消えて運転できるようになる(「Ready」状態になる)ケースもある。何回かエンジンONを試している間に、エラーが消えた可能性もあります。
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つまり、アースポイントを見直したタイミングと、エラーが消えるタイミングがたまたま重なっていただけ!?
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その可能性が高いような気がいたします。
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探偵さん、それがもし本当なら、アースポイント君はえん罪ということになりますが……。
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ええ、だと思いますよ。記事にしたかったであろう意図とはだいぶズレてしまい、申し訳ありませんけども。
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このままでは最初のアースポイント君が悪者になってしまう。芋助さんに知らせなければッ!!
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その結果、何の問題もなくカメラは映り、システムチェックエラー表示も出なかったそうです。
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……ふぃ~。予想外の展開になりましたが、芋助さんも「言われてみれば」思い当たるフシがあったもよう。
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紛らわしかったのは、その後のこの展開。
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この展開だとアース不良を疑うのも無理はない……。でも実際には、アースポイントを見直す前にエラーは消えていたんだ!
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どうやら私の仮説が正しかったようで……何よりです。
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最終的にはオチの心配をして頂いているという……。
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アハハ……。
良かった良かった。 -
しかし、よく考えてみると、この地雷はハイブリッド車でDIYをやっている人は誰でも踏む可能性がありますから、そのままネタにしておきましょう。
仮説 ①
ナビ回りを外した時に、パーキングスイッチのコネクターをつけ忘れたのではないか。
仮説 ②
「エンジンがかかっている状態で、どこかのコネクターを外したときのエラー」が1回目のエンジンONで出てしまった。その後、2回目のエンジンONの時にはコネクターがもとに戻っていたため、エラーが出なかったのではないか。
ここまでの経緯を、質問者╱芋助さんに知らせたところ、さっそくアースポイントを元のボルトにつなぎ直して、検証を行ってくれました。
確かにおっしゃる通り、最初にナビを外すために周囲のパネルを剥がし、パーキングスイッチのコネクターも外し、カメラを配線してカメラの動作確認をしました。
そこでカメラの映像は映り、「ハイブリッドシステムチェック」の表示が出る、という状態になりました。
※芋助さんの〈検証後の報告メール〉より、一部を抜粋
何度かメインスイッチのON/OFFを繰り返し、バックカメラの配線を全て外して「ハイブリッドシステムチェック」のエラー表示が出ることがなくなりました。
その後にボディーアースを別のポイントつなぎ換えたときには、何の難もなくカメラは映り、エラー表示が出ることはありませんでした。
※芋助さんの〈検証後の報告メール〉より、一部を抜粋
いやはや、まさかそんな原因だったとは……。
私一人でいくら考えても絶対に答えはみつかりませんでした。こちらとしては、おかげさまで謎が解けましたというところですが、大変なお手間をとらせてしまったようで、本当に申し訳ありませんでした。
しかも、これでは記事にしたところで、読んだ方のお役に立てるようなオチかどうかも怪しいですね。
※芋助さんの〈検証後の報告メール〉より、一部を抜粋
芋助さん、撮影・検証のご協力ありがとうございました。またの「ネタ」をお待ちしております。 (DIYラボ編集部)
DIY Laboアドバイザー:渡邊悠二
カーエレクトロニクスの雄、ビートソニックにおける技術部のホープであると同時に、同社の「顔」としての活躍も期待される人物。プログラマー出身で、ITにも車にも強いが、いちばん得意なのは料理という説も。●ビートソニック TEL 0561-73-9000
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