ランプのQ&A
H16フォグランプ(19W)には何WまでのLEDバルブを入れても大丈夫?
純正ハロゲンのフォグランプから、LED化するつもり。この場合、LEDフォグランプバルブは何ワットまでいけるのか? LEDも消費電力が上がってきているだけに、この問題は気になるところ。
今の時代は、H16の消費電力を超えるLEDフォグバルブもあるけど、入れてもいいのか?
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この企画は、読者の方から届いた、「なるほど!」な質問を元にしています。
●レポーター:イルミちゃん
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この質問、実はけっこう奥が深い話につながります。
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なるほどね。
難しい質問が来るなァ。●アドバイザー:IPF 市川研究員
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まずおさらいから入ると、純正フォグランプの消費電力は、バルブタイプによっていろいろです。
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H11バルブなら55W、H8なら35W、H16なら19Wという具合ですね。
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つまりH16フォグランプは、消費電力が小さいエコなフォグランプ。
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そうですね。
そして最近の主流のタイプでもある。 -
問題は、もともと消費電力の小さいハロゲンバルブを使っているだけあって、灯体自体の耐熱性もそれなりだということ。
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H16フォグランプはリフレクターも樹脂製、レンズ面も樹脂製。だから軽量だけど熱には弱いんです。
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そのあたりは、「フォグランプの〈LED化〉〈HID化〉を比較」で教わりました。だから「HID化するとリフレクターが溶けるなどの問題が起こる」というお話でしたが……
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そうですね。H16フォグランプは(HIDではなく)LED化が無難です。
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でも、そう言っている間に、LEDバルブ自体の消費電力もどんどん上がってきている側面がありまして。
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確かに。
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アッコさんの質問は、この側面を突いてきているんですね。「LED化なら大丈夫」といっても、19Wを超えるLEDバルブならどうなのか?
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参考までに、IPFのフォグLEDバルブは12Wなので、まったく問題ありませんが……
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しかし、市場にはそれ以上の消費電力をうたうLEDフォグバルブもありますよね?
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そうですね。そもそもヘッドライト用とフォグランプ用を兼用にしているバルブも多いです。そういうものの中には、30W前後まで選択肢がありますよね。
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30Wだと、すでに25Wのフォグ用HIDなどを、消費電力で上回っています。
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そうなりますね。
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そんなのフォグに入れていいの?
■ 質問
純正のハロゲンフォグランプから、LEDに交換しようと思っています。車種はトヨタのヴィッツです。ハロゲンのH16(19W)が装着されていますが、LEDの何W(ワット)まで、交換可能でしょうか。
質問╱アッコさん
H16フォグランプの純正バルブ
フォグLED化のきほんは、「LEDフォグを買う前に、知っておくべきこと」参照。
同じ消費電力なら、ハロゲンバルブよりLEDのほうが発熱が少ない
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まず、熱の心配の話から。現状のLEDフォグバルブであれば、HID化のときのような「リフレクターが溶ける」という問題が起こるとは考えにくいです。
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19Wを超える消費電力だったとしても? 30Wクラスのバルブだとすれば単純計算で、純正バルブの1.5倍の消費電力ですよ?
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そうなんですが、同じ消費電力同士で比較したときに、ハロゲンバルブとLEDバルブでは、発生する熱量が全然違うからです。
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ほー。
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そもそも電気は「熱」と「光」に変わるんですが、この変換効率がハロゲンとLEDでは全然違います。
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へんかんこうりつ……か。
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実のところ、白熱球やハロゲンバルブなどの電球は、大部分が「熱」に変わってしまうんです。「光」に変わっている分は少ない。
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LEDのほうが「光に変わる率」が高いので、同じ19Wでも「熱」は少なく「光」は多いということになります。
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同じ消費電力でも、LEDバルブのほうが明るくなるっていうのは、そういうコトか。
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そうです。
ということはつまり、「熱」は少ない。 -
なるほど、なるほど。
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ちなみに、光への変換効率が良い順は LED>HID>ハロゲンの順。ただしHIDはスポット的にかかる熱が大きかったりするので、また別の問題がありますが。
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では、H16フォグランプ(19W)に、30WクラスのLEDバルブを入れても大丈夫?
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いや。今お話したのは、あくまでも「熱が灯体に影響を与えるかどうか」という話であって、これとはまた別の問題が残ります。
✔ ひとくちメモ
●一般的な白熱球の場合は、電気エネルギーに対して光に変わっているのは数パーセント程度とされている。
それでも無難なのは純正と同じ19WまでのLEDフォグバルブ。…なぜか?
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熱の問題は起こりにくいとは言いましたが、それでも、H16フォグランプに入れるLEDバルブは、最大でも19Wまで、というのが基本回答になりますね。
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えーッ!?
なんでそうなるのォ! -
理由は、配線です。
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配線……?
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純正で19Wの消費電力ならば、フォグランプの配線もそれに合わせたものになっています。
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ムムム。
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純正フォグランプがH11であれば55Wなので、配線の許容量も大きいのですが……
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H16だとそれより配線が細い……。
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そこに30WのLEDフォグバルブを付けるということは、純正が想定している1.5倍以上の電流が流れることになります。
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あー。
配線まで交換しないですよね。 -
安全で無難なのはけっきょく、純正の消費電力である19WまでのLEDフォグバルブということになってしまいます。
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純正配線にも、多少のマージンはあるんでしょうけどねぇ……
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まあね。例えばハロゲンバルブの19Wっていうのも、12V時の消費電力ですからね。
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フムフム。
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走行中は14V程度まで上がるので、そういう意味では25W位までが現実的な限界なのかな〜という見方はできますけども。
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お!
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しかし、純正配線のマージンがどの程度なのかが正確に分からない以上、無難なのは純正と同じ19Wまで、ということになります。
LEDフォグバルブへの交換はカプラーオン。つまり配線は純正を流用する。「LEDフォグランプバルブのDIY取り付け方法」参照。
フォグランプをLED化するときの注意点についてはDIYラボ〈動画部〉がYouTubeでも解説しています。
DIY Laboアドバイザー:市川哲弘
LEDやHIDバルブでお馴染みのIPF企画開発部に所属し、バルブ博士と言ってもいいほど自動車の電球に詳しい。法規や車検についても明るく、アフターパーツマーケットにとって重要な話を語ってくれる。
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