バッテリーメンテナンスの知識
バッテリー交換時にショートさせる原因と、その防止策
バッテリー交換時に、注意するべきはショート。なおバッテリー周りの配線作業をする時でも、ショートの恐れはある。なぜバッテリーをいじる際に、ショートが起こりやすいのか。理由がわかれば、防止もできる。
バッテリー交換時になぜショートが起こりやすいのか?
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エーモン製品を使った〈バッテリーメンテナンスガイド〉4日目です。
●レポーター:イルミちゃん
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今日はバッテリー交換時の、ショート対策についてお話しておきましょう。
●アドバイザー:エーモン 中塚研究員
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電気のショートについては、こちらの記事(↓)で中塚研究員に教わりましたね〜。
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ショートさせる場面はいろいろありますが、バッテリー交換時……あるいは交換まではしなくても、バッテリー周りでの配線作業時は注意が必要です。
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……ナゼでしょうか?
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ショートとは、プラスとマイナスを直接つなげてしまうことによって起こる、という話を以前にしましたよね。
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その場合は、抵抗(電装品)がないから過電流が流れてしまうっていう。
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そうです。金属製の工具は電気を通しますから、スパナやメガネレンチが、バッテリーのプラスとマイナスに同時に接触したら……
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これは、非常に分かりやすいショートですね。
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そうなんです。
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上のようなマネを、わざわざする人はいないと思いますが……
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しかし、バッテリー交換時はウッカリこれが起こりうる。例えばバッテリー交換などでマイナスターミナルのネジをゆるめているとき……
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レンチの反対側がプラスターミナルに接触したら、即ショートが起こります。
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フムフム。
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まあ、レンチを回す方向にプラスターミナルがなければ接触の心配はないのですが……
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それは、バッテリー(ターミナルの向き)によりますね。
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いっぽう、マイナスターミナルがつながっている状態で、プラスターミナルのネジに工具をかけたら、その工具が車体金属に触れただけでも即ショートです。
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車体金属=マイナス線と同様なので、プラスターミナルに工具をかけているときは、なお危険なのか。
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これを防ぐために、バッテリーを外すときはマイナスターミナルから先に外すということが重要なのです。
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その順番にはちゃんと意味があるんですね。
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そうです。
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テキトウにやってショートしたら「バチッ」ってなりますよ〜。
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そんなものでは済まないかも知れません。
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……どうなるの?
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過電流が流れて、一瞬で工具が異常発熱します。ヤケドするかも知れないし、危ないです……。
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う〜ん……バッテリー交換をDIYでするのは、止めておきましょう。
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いやいや、そうじゃなくて、ショート対策を万全にしておきましょう、というのが今回のお話です。
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対策って?
バッテリーターミナルをカバーで絶縁しておく。必ず先にマイナスから外す
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前々回、エーモンのバッテリーターミナルを紹介しましたよね。
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実はバッテリーターミナルだけでなく、その上にかぶせるターミナルカバー(↓)も出したんですよ。
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純正でも、赤いカバーがプラスターミナル側にだけ付いていたりしますが……
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エーモンのターミナルカバーは、赤と黒がセットになっているので、プラスターミナルとマイナスターミナルの両方をカバー(絶縁)できます。
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それならどっち側のターミナルをいじっていても、反対側との接触を気にしなくてすむ。
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ただし、マイナスをつなげたまま、プラスターミナルのネジをゆるめて、車体金属と接触するショートは防げないですけど。
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そこは、必ず先にバッテリーのマイナスを外す……ということを徹底しましょう。
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なお、ターミナルカバーを両方の端子に取り付ける目的は、ショート防止だけでなく、ターミナルの腐食を防止する意味もあります。
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そういえば、ターミナルは錆びたり腐食したりしやすいという話でしたね。
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バッテリーターミナルを新品に交換した際に、セットで付けておくと良いですね。
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ナルホド。
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ターミナルには形状の種類があることは解説しましたが……
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ターミナルカバーも、バッテリーターミナルの形状に合わせて選べるよう、2種類あります。
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フムフム。
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挟み込みタイプや、ボルトタイプのバッテリーターミナル用のカバーがコレ(↓)
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いっぽう、蝶ねじタイプのターミナルなどはボコっと出っ張るので、こちらのターミナルカバーを使います(↓)
バッテリー交換はマイナスから先に外す
予備解説
外すときはマイナスが先。
付けるときはプラスが先。
……という順番だけ丸暗記すると「付ける時は、どっちが先だっけ?」なんてことになりかねない。暗記より意味を理解しよう。
ようするに、「バッテリーのプラスを触るときは、マイナスが外れている」ということが重要なのだ。
✔ バッテリーターミナルの種類は、「バッテリーターミナルとは? 交換する目的はなに?」参照。
Amazonでも販売されているエーモン ターミナルカバー(8857)
詳細はAmazonのエーモン ターミナルカバー(8858)
絶縁された工具を使うのが、最大のショート対策
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バッテリーターミナル交換時のショートを防ぐ、という意味ではそもそも絶縁された工具を使う手もあります。
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つまり、電気が流れない工具?
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そうですね。エーモンの「ショート防止2Wayレンチ」はまさにバッテリー交換用の工具です。
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樹脂コーティングがしてあるので、仮にプラスとマイナスのターミナルに同時接触しても、ショートしません。
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こういう工具を使えば、どう接触してもバッテリー交換時のショートは防げますね。
詳細はAmazonのエーモン ショート防止2Wayレンチ(8863)
DIY Laboアドバイザー:中塚雅彦
カーDIY用品メーカー・エーモン広報担当で、エーモンの顔と言える人物。端子や配線コードの仕様など細かいところまで深い知識を持っているので、DIYラボでは「電装DIYのきほん」に関する記事を担当。中塚ハカセ、とも呼ばれている。
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