電装DIYの知識
LEDテープをカットしたときの防水処理方法
アンダーLEDやグリルイルミなど、車外でLEDテープを使う場合、防水タイプを選べばそれで安心……とはいかない。防水LEDテープの防水部分はLEDテープ本体のみ。カットして付け直した配線部分には、防水処理が必要だ。いろいろな方法を試したアンダーLED職人が、現時点でベストな方法を教えてくれた。
防水LEDテープと言えど、配線を付けた部分は「非防水」
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防水LEDテープを扱うときの注意点です。
●レポーター:イルミちゃん
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防水のLEDテープを使っているとしても、配線を付けた部分も含めて、全てが防水なわけではありません。
●アドバイザー:イルミスタ 野本研究員
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水中使用が可能なレベルの、防水テープLEDというのもありますが……、
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それにしても、防水なのはLEDテープ本体部分だけです。
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……ん?
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5メーター巻きで売られているLEDテープを使う場合は、自分で好きな長さにカットして使えますが……、
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こうして切り出されたLEDテープには、自分で配線を付けないといけません。
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そして、この部分だけを見れば、完全に「非防水」状態ですよね。
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言われてみれば……。
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だから、その周辺を丸ごと防水処理しておく必要があるのです。
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考えてみると、アンダーLED用に貼ったLEDテープも……
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配線を付けた部分が防水になっていなかったら、その部分が水にやられてしまいますよね。
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そうなんですよ。そこで今日は、この部分の防水処理方法を紹介しておきますね。
エルパラの全灌(ぜんかん)防水テープLED
5メーター巻き
ハサミでカット
配線をハンダ付け
LEDテープの末端防水処理に使うアイテム
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用意するのは、透明スミチューブとバスボンド。
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この2つのアイテムを使って、防水処理するんですね。
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このバスボンドはいわゆるシリコン製コーキング剤ですが、DIYだとガンタイプのコーキングまではいらない(余る)人も多いと思うので、少量で買えるコーキングとして狙い目。
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あ、なるほどね♪
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スミチューブは、2センチ位の長さで切り出して使います。
エルパラで販売している「スミチューブ A 透明」。3ミリ幅、6ミリ幅、8ミリ幅、10ミリ幅とサイズがあり、LEDテープの幅に合わせて選べる。
カットしたLEDテープの防水処理方法
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まず、切り出したLEDテープに配線(電線)を付ける前のシーン。
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ぜんかん防水テープLEDとか、防滴テープLED(クリアドーム)といったLEDテープは、基板表面がシリコン樹脂で覆われています。
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基板ムキ出しではないんですね。だから防水なんだ。
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そうなんですが、そのままでは配線をハンダ付けできないので、好きな長さにカットした後で、末端部のシリコン樹脂をカッター等で切り取るんです。
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そしてハンダ付けのために基板を露出させた末端部分にバスボンドを盛ります。
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先に通しておいたスミチューブをかぶせます。
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スミチューブが熱で収縮することで、先に盛っておいたバスボンドも圧縮されて、内部で完全に密着するんです。
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なるほど〜。
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バスボンドが完全硬化するまでは1日かかりますので、その点は注意しましょう。
防滴LEDテープをカットした際の断面。基板にシリコン樹脂が盛られている。
先に透明のスミチューブを通しておく
露出させた電極に、配線をハンダ付け
熱で収縮させる
ターボライター等を使うとラク。
防水スミチューブとの違いは?
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あの〜、野本研究員の技で防水処理できるのは分かったんですけど……
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はい。
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それなら、最初から防水収縮チューブを使えばいいのでは?
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それなら、僕も使うことはありますよ。使い分けの問題です。
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ほう。
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防水スミチューブは、中にノリみたいのが入っていてそれで防水される仕組みなんですが……
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今回のようにカットした防水LEDテープに配線を付けた時に使うと、LEDテープ側のシリコン樹脂と付きが悪いという問題が残る。
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ムムム。
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ようは素材が違うので完全にはくっつかない。わずかな隙間は出来る。
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それでは、水が入る可能性が残る。
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そうなんです。バスボンドなどのシリコン製コーキングの場合は、LEDテープの表面に使われているシリコン樹脂と同じ素材なので、くっつく(一体化する)のがポイント。
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な、なるほどねぇ〜。
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防水スミチューブは、車外の配線をスプライス端子でつないだ箇所とかでは便利ですよ〜。
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使い分けをしているのかー。
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そうなんです。
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防水チューブだって言ってるのに、過信しないところが、プロらしいとも言える。
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それと、今回透明のスミチューブを使った理由がもうひとつ。透明だからこそ、端のほうにあるチップLEDにかぶせても、光を通します。
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このように広範囲にかぶせていくことができる。
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ようは、1個目のLEDも含めて覆ってしまう。
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そうです。色付きの熱収縮チューブだとLEDにかぶせるわけにはいきませんから、もっと短い部分しか覆えません。それはそれで、防水性は甘くなる。
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だから透明スミチューブをシリコンコーキングと組み合わせるんですね〜。
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そういうことです。いろいろな方法を試してきていますが、現時点ではコレがベストな方法だなと思ったので、ラボでも紹介しておこうと思って。
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アンダーLED職人が編み出した防水テクだけに、車外イルミ全般で役立ちそうです♪
エルパラで販売されている防水型スミチューブ。スミチューブSA2(防水型 熱収縮チューブ)
DIY Laboアドバイザー:野本貴之
光ドレスアップの専門店・イルミスタ店長。LED加工や打ち替え、アンダーLEDを得意とする特殊なプロショップ。仕事ぶりは極めて職人気質で丁寧。部品のみの販売も行っている。●イルミスタ 住所:埼玉県三郷市上彦名540-3 営業時間12:00〜21:00 月曜定休(祝日の場合翌日)
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