ドラレコ取り付けの知識
ドラレコDIY取り付けのリスク① 本体の取り付け位置に潜む〈罠〉
ドラレコ本体の取り付けは「フロントガラス上部に貼ればよい」とは限らない。例えばワイパーの払拭範囲外に付けて、肝心な時に雨粒映像になってしまうなど、痛恨のうっかりミスは避けたいところ。特にDIY取り付けを考えている人・取説を読むのが苦手な人が、取り付け位置を決める前に確認すべきポイントを解説する。
ドラレコ取り付けは初心者向きと言えるのか?
-
最近は「工賃を浮かせる」目的で、DIYでドラレコなどを取り付ける人も多いと聞きますが……
●レポーター:イルミちゃん
-
そりゃそうでしょうよ、お金ないもん。
もちろん私も。●DIYラボ 別館:ユキマちゃん
-
しかし、DIYに慣れていない人のドラレコ取り付けには、意外と罠がいっぱい。
-
〈DIYラボ〉のクセに脅す気かッ!
-
いやいや、だからこそ、ですよ。
-
あん?
-
ドラレコは定番なだけに初心者の人が手を出すケースも多いけれど、内容が「DIY初心者向き」と言えるかどうかは、かなり微妙かなと…。
-
あー。ペタっと貼ってプスっと挿すだけではないぞ、と言いたいのね。
-
ドラレコの取り付けって、知らず知らずのうちにリスクを取ってしまうポイントがけっこう多いよ。
-
ふむ。最近はシガーソケットではなく電源を裏取りするのが前提のパターンも多いし、怪しいのは電源取り出し周りかな?
-
それもあるけれど、実は「ドラレコの本体貼り付け」から、DIYで罠に落ちる人もたくさんいますので。
-
本体取り付け……って、両面テープで貼るだけでしょ?
-
そういう考えで貼り付けて、あとから剥がし直す人も多いんです。
-
む!?
なんで剥がすのよ? -
「ドラレコの取り付け位置」を間違えたからよ。ココが意外と単純ではないのです。
意外とシビアな、ドラレコの取り付け位置
-
取り付け位置を間違えた……というのは、単に「ちょっと曲がってしまった」とか「見栄えが悪かった」とか、そういう話ではありません。
-
「気泡が入った」という話じゃないの?
-
あはは。それもよくあるけれど、それについては別記事(↓)で解説しているので、ここではもっと重要度の高い問題を取り上げます。
-
じゃあ、どういう間違いなのよ?
-
まず大前提として、ドラレコはフロントガラスの好きな場所に貼っていいわけではありません。法令で、取り付けられる範囲が決められています。
-
それは知っているぞ。ドラレコの設置場所は、フロントガラスの上から20%以内……だったよね?
-
そうそう。有名なのは「上縁から20%以内」という条件ね。
-
つまり、ガラスの上のほうに貼ればいいだけじゃないの? どのみちそうするのが自然だし。
-
……という理解で終わっている人も多いと思うけど、正確には「上から20%以内」だけが、法令上認められている唯一の範囲ではありません。
-
ほかにもあるの?
-
あるよ。例えば、フロントガラスの下縁から150ミリ以内という範囲も規定されているし。
-
え? フロントガラスの下縁から150ミリ以内だとしたら、フロントガラス下方に付けろってことにならないか?
-
そうですけど。
-
「上部20%ルール」とメチャクチャ矛盾してない?
-
同時に満たせ、とはいってないでしょうがッ!
-
ああ、そういうこと。
-
上側には「上縁から20%以内」という許容範囲があり、それとは別に、ガラス開口部の下側にも「下縁から150ミリ以内」という許容範囲がある、ということです。
-
ほほう。上側だけでなく、下側にも法令的に取り付けが許されている場所があるのね。
-
そういうこと。
-
つまり上側でも下側でも、法令の範囲に入っていれば、空いているところへ貼ってよし。
-
……ちょっと待て。
-
なによ?
-
今説明したのは、あくまでも「法令上、貼り付けが認められ得る範囲」の話です。
-
認められ……得る? まどろっこしい言い方するわね。なにが言いたいのよ?
-
法令の範囲に入っているからといって、そこがドラレコの取り付け場所として正解とは限らないってことよ。
-
どういうことよ???
-
法律上の範囲のルールには収まっていても、実用上はダメかもしれないし、ほかの安全条件を満たさないかもしれないじゃないの。
-
そんなことあり得るのぉ???
-
いくらでもあり得るだろッ!!
-
どうしろと?
-
次に確認しないといけないのは、運転者の視界や車の操作を妨げないかどうかです。
-
ドラレコなんて小さいし、そんなに邪魔になる?
-
本体だけを見れば小さく感じるけど、ブラケットまで含めると意外と高さがあります。運転席に座ったとき、視界に入る位置に付けてしまう可能性はあるでしょう?
-
まあ、目の前に黒い箱が浮いていたら気にはなるね。
-
ルームミラーの向きを変えるとき、本体やブラケットが当たらないかも確認が必要です。
-
ミラーを動かせなくなったら地味に困る。
-
それから取り付け直後は問題がなくても、配線の固定が甘くてコードが垂れてくるケースも考えられます。
-
ああ、それならよくある! 天井裏に隠したはずの配線がプラーンと……ね。
-
危ないわねぇ。走行中に落ちてきた配線に気を取られたり、手がからまったりしたらどうすんのよッ!
-
大変なことになるね……。
-
実際、ドラレコメーカーの取扱説明書にも、本体や配線が運転者の視界や車両機能を妨げない場所へ取り付けるよう注意が書かれていたりするよ。
-
メーカーもそこまで書いているんだ。
-
ユキマちゃんは読んだことないから、知らないだろうけれど。
-
……。
-
とにかく、まずはドラレコ本体を貼る前に運転席に座って確認しましょう。
-
いきなり両面テープの剥離紙を全部剥がさず、手始めに取り付けを予定している位置に、仮に当ててみればいいね。
-
その段階で「運転席からの視界」「ルームミラーの可動範囲」「本体の操作性」「配線を通す方向」……このあたりを先に確認しておくのが良いかと。
-
それなら、やっぱりルームミラーの裏がよさそうね。
-
ほう? どうしてそう思ったの?
-
運転席から見えにくいし、ミラーの陰なら本体も目立たなくて視界の邪魔にならない。法令にも「ルームミラーで遮られる範囲」と明確に書いてある。ドラレコ取り付け場所として最強では?
-
うーん。年式によっては、その最強説で話が済んだケースも多かったかもしれないが……
-
……と言うと?
-
最近の車では、ルームミラー周辺に別の重要な装置が付いていることもあるから要注意。ここからが本題です。
※前面ガラスに取り付けられるカメラの範囲は、国土交通省「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」および、自動車技術総合機構の審査事務規程に定められています。一般に知られる「上縁から20%以内」のほかにも、「下縁から150ミリ以内」や「ルームミラーで遮られる範囲」などが規定されています。適用条件は車両の区分などによって異なり、本記事は「一般的な乗用車のルール」に沿ったものです。

ミラー裏なら安心、とは限らない
-
ルームミラー周辺の重要な装置って、なに?
-
衝突被害軽減ブレーキや車線認識などに使われる、前方カメラやセンサーのことよ。
-
ああ、そういうやつか。
-
車種によっては、ルームミラーの裏側や、その周辺に取り付けられています。
-
ドラレコを隠したくなる場所と、思いっきり重なるわけね。
-
そこだよね問題は。
-
純正カメラを塞がないように注意しよう!
-
う~ん。それだけじゃ足りないかも?
-
え? 映像にドラレコが写り込むかどうかだけの問題じゃないの?
-
運転支援カメラの周辺には、車種や年式ごとに、機器を取り付けてはいけない禁止エリアが設定されている場合があります。
-
カメラそのものを避けるだけでは足りないのか〜。
-
そうなのです。ひとつ例を挙げると、スバルはEyeSight(アイサイト)搭載車に市販のドラレコを取り付ける場合、禁止エリアを避けるよう公式FAQで案内していたりするよ。
-
自動車メーカー側が、ドラレコを名指しして注意喚起しているんだ。
-
しかも、EyeSight搭載車なら全部同じ位置という話ではない。車種や年式に合った取扱説明書で、禁止エリアを確認する必要があります。
-
ふーむ。確かに知らずにドラレコを取り付けていたら恐いね。
-
ここでは、具体的に公式FAQで案内しているスバルを例にしたけれど……
-
スバル車だけの話なわけないよねぇ。
-
「一部の運転支援システムを搭載した車では、ドラレコの取り付け位置による影響を確認する必要がある」というような注意喚起は、ドラレコメーカー側からも出ていたりするよ。
-
当然そういう流れになってくるか。
-
車両の取扱説明書を確認して、衝突被害軽減ブレーキ用カメラなどの禁止エリアを避けるよう案内されていたりとか……ね。
-
要するに、自動車メーカーとドラレコメーカーの両方が「車側の説明書を見ろ」と言っている。
-
そういうことね!
-
説明書を2冊読むDIY。
-
なんか言いたげだけど……ユキマちゃんなんて、そもそもドラレコの説明書自体も読んでなかったクセに。
-
それがいかに無謀かは理解したわ。
-
付け加えて、法令も考えないといけないので、ドラレコの取り付け位置は意外とシビアなんですよ。
-
では気を取り直して話を整理すると……ドラレコの取り付け位置は、法令上の範囲に入れる。
-
はい。
-
運転者の視界やミラー操作を妨げない。
-
はい。
-
車種ごとの運転支援カメラ禁止エリアも避ける。
-
そうです。
-
これでようやく取り付け場所が決まった!
-
まだです。
-
まだあるのォ!?

雨の日に映らない場所では意味がない
-
ドラレコを取り付けるなら、その場所がワイパーの払拭範囲内かどうかも確認しないといけません。
-
払拭範囲?
-
ワイパーを動かしたときに、実際に雨水を拭き取ってくれる範囲のことよ。
-
ああ。フロントガラスなら、どこでもワイパーが届くわけではないものね。
-
そうなのです。特にガラスの上側や端のほうは、ワイパーが通らない場所もあります。
-
そういえば……例の「上部20%以内」を満たしつつ、フロントガラス助手席側の上部に付けたらどうなるの?
-
ワイパーの払拭範囲外にカメラを付けると、レンズの前にあるガラスに雨滴が残ります。
-
雨粒が邪魔で前方が映っていないかもぉ!
-
そういうこと。雨滴の付き方や明るさなどにもよるでしょうが、肝心なときに映像が不鮮明になる可能性がある。
-
誰よッ! 上部20%の範囲ならどこでいい、なんて言ったのはッ! 「カドはリスキー」と一言添えなさいよッ。
-
だから、その範囲は「法令上、貼り付けが認められ得る範囲」に過ぎないって、「あいまい」に言ったでしょう?
-
ぐぬぬ……。
-
とにかく事故の瞬間だけ、雨粒にピントが合っていました……ではシャレにならない。
-
ドラレコは雨が降っている日に付けたほうがいいってこと?
-
取り付け前に、ワイパーを一度動かして確認すればいいでしょ?
-
それにしても、「取り付け位置を決める」までに考えることが多すぎる印象…。
-
法令上の取り付け範囲、運転者の視界、ルームミラーなどの操作、運転支援カメラの禁止エリア、そしてワイパーの払拭範囲。
-
メンドクサイなんてもんじゃない!
-
これらを確認したうえで、「ドラレコの説明書が指定する角度や位置」も満たす場所を探す必要があります。
-
ドラレコ側からも注文があるのォ?
この期に及んで! -
そりゃあるわよ。ドラレコ側が「前方車発進警告」「車線逸脱警告」「前方車接近警告」などの機能を持っている高機能モデルだったら、機種によっては「フロントガラス上部・中央」と限定されていたりするから。
-
え?
ドラレコ側にそんな機能があるの? -
あるわよ。たとえばユピテルの人気モデル「Y-119d」には、前方車発進警告・車線逸脱警告・前方車接近警告が搭載されています。
-
録画するだけじゃなくて、前の車が動いたとか、車線をはみ出したとかまで見てるの?
-
あくまで運転者の判断を補助する機能だけどね。そしてY-119dでは、この3機能を使う場合は「フロントガラス上部・中央」に取り付けるよう、取扱説明書に書かれています。
-
高機能になったぶん、取り付け場所の自由度が減っている……。
-
こういう安全運転サポート機能を持つ機種はY-119dだけじゃない。同じメーカーでも、機種ごとに取り付け位置や設定条件を確認しないとダメなの。
-
もはや、説明書を見ないで取り付けするなんて、不可能じゃない!
-
当たり前だろッ! なんでいつまでも「説明書見ないDIY」が前提なのよッ!! 今どきのDIYはもう、ノリでやるもんじゃないの!
-
しかもまだ、本体取り付けの話しかしていないのに。
-
はい。『ドラレコDIY取り付けリスク旅』は、まだ始まったばかりです。
●「Y-119d」はフロント4K・リアFULL HDの前後2カメラを搭載した、2025年発売のWeb限定モデル●駐車監視機能や安全運転サポート機能も標準装備し、ユピテルのラインアップでは機能面で上位寄り、価格帯では中上位クラスに位置する高画質重視の機種●2026年最新型モデルではないが、それだけに価格はこなれていてコスパの良さがネット上での高評価につながっているもよう。
詳細はAmazonのユピテル Web限定 Y-119d参照。
>>> 次回に続く
関連記事
- ドラレコの電源はどこから取るのが正解か?
- ドライブレコーダー取り付け方法。配線を隠すプロの付け方
- ACC電源はどこから取るのが一番いいのか?
- ひとつのヒューズ電源からETCとドラレコ用の電源を取る配線方法について
- ドライブレコーダーのUSB電源を見えない場所から取る方法
- ACC電源の容量の疑問。どれだけの電装品をつなげるのか?
- シガーソケット裏から、分岐でIG電源/ACC電源を取り出す方法
- ヒューズボックスの「空きスロット」から電源取り出しするのはNG
- 常時電源をヒューズから取り出す方法
- 常時電源を「配線」から取り出すリスクとデメリット。「常時電源線」探しは意外と手強い!
- ドラレコの電源取り出し╱今どきの最短ルートを知っておきたい
ニュース&コラムの記事一覧へ