車を便利にする電装DIY
12Vから5Vに変換するUSB充電器やUSB電源の、ノイズという〈闇〉
USB電源が取れるUSB充電器は、シガーソケットにさせば即使える。しかし一方で、ACC電源やアースを取って使用するUSB電源ユニットもあるのはなぜなのか。12Vを5Vに変換するUSB電源(USB充電器)には「ノイズが発生しやすい」宿命がある…というところから、わかりやすく解説する。
シガーソケットからUSB電源を取ること自体、ノイズがのりやすい
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先日「定番のUSB電源ユニットがモデルチェンジして〈UCH3E〉が登場! 旧作との違いは?」というニュースをお伝えしましたが……
●レポーター:イルミちゃん
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今日はUSB電源ユニットについて、深掘り解説しておきたいと思います。
●アドバイザー:ビートソニック ワタナベ研究員
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そもそもスマホを充電するだけなら「シガーソケットからUSB電源を取る充電器」が普通に売られていますよね。
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そうですね。
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その手の充電器ならシガーソケットにプスっとさすだけで終わるのに「UCH3E」は、ACC電源を取ったりアースを取ったりしないといけないでしょう?
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……そうですね。
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つまり同じUSB電源なのに、少なからぬ手間がかかる。こういった箱型の、わりと大きなUSB電源ユニットを使うイミはどのあたりにあるのでしょうか?
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まず車のシガーソケットの電源は、ノイズがのりやすいという問題があります。
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ムムム……。
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これはUSB充電器とかUSB電源と呼ばれる製品の、性能以前の問題です。シガーソケットの場合、もともとノイズが多くて電源としてキレイとは言えません。
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ですからオーディオ機器やミラーリングなどの映像機器の電源を取るときは、シガーソケットは避けたほうがいいのです。
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スマホ充電やLEDを光らせたる電源とは違って、オーディオ系はノイズについてシビアに考えたほうがいいと?
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そうですね。音や映像の信号にノイズがのってしまうので。
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そうなるとシガーソケットに挿し込む前提の充電器は使いにくい。
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ということで、シガーソケット以外のところからDC12V電源を取り出し、それをDC5V電源に変換するUSB電源ユニットの出番です。
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ここから先は、USB電源ユニット自体の性能が問われてきます。
Amazonでも販売されているビートソニックのUSB電源ユニット UCH3E
12Vから5Vに変換するUSB電源(USB充電器)にノイズが発生しやすい理由
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まずはそもそも論として、DC12VからDC5Vに変換するスイッチング電源は「微弱なノイズ」は出るものではありますが……
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あのー。
質問! -
どうぞ。
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スイッチング電源とは、なんのことでしょうか?
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電源のオンオフを高速で繰り返して、目標とする電圧を作り出す電源のことですね。
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なんのこっちゃ???
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例えば車の電圧は12Vですが、これを1対1の時間比率で繰り返し出力すると(擬似的に)6Vの電源が作れます。
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ほう……12V→0V→12V→0V……の平均で6Vになるようなイメージ?
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そうですね。これと同じ考え方で、時間比率を調整することで、DC12VからDC5Vを生成します。
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でも、12Vをオンオフさせるだけでは、12Vの山と、0Vの谷ができるだけでは?
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そこで12Vの山を削って、谷を埋めるような作業をするわけです。
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これを具体的にどうやるかといえば、「コイル」や「コンデンサー」といった部品を使うことで実現します。
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ふむ。
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ここではカンタンに説明しますけれど、「コイル」は変化を嫌うので急に12Vがドンってくると、反発したりするんですよ。
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フムフム。山を止めるような動きですね。
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いっぽうで12Vが来なくなると、今度は逆に12Vを起こそうとする方向に働いたりします。
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なるほど。それが谷を埋める方向の動きになる。
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それから「コンデンサー」は一時的に電気を溜めておく部品です。これらを組み合わせて、12Vと0Vの谷を平坦化していくイメージです。
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うまいことやるもんですなぁ。
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しかし、こういった部品の動きにはタイムラグもあるため「リプル電圧」が発生してしまい、それがノイズになって一定周期で現れます。
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ノイズは高速にスイッチして目標電圧を作るスイッチング電源の宿命と言えますが、これをどう抑えるかが電源作りのノウハウです。
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ようするにUSB電源ユニットを作るメーカーの、企業努力の問題になってくるのね。
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ビートソニック社のUSB電源ユニット「UCH3E」では、このリプル電圧の発生を最小限に抑えた設計がなされております。つまり電源として「キレイな電源」と言えます。
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逆にそのあたりをあまり煮詰めないで、この手の電源ユニットを作ると……
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ノイズだらけの波形になってしまいます。電源としては「汚い電源」ということになります。
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USB充電器なんて安価なものがいくらでも売られていますが、そこには〈闇〉もあるもようです。
DIY Laboアドバイザー:渡邊悠二
カーエレクトロニクスの雄、ビートソニックにおける技術部のホープであると同時に、同社の「顔」としての活躍も期待される人物。プログラマー出身で、ITにも車にも強いが、いちばん得意なのは料理という説も。●ビートソニック TEL
0561-73-9000
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