新型アクアのドア内張りを外してみて分かった溶着の問題点
新型アクアのドア内張りに、アンビエントライトなどのLEDカスタムはできるのか。その可能性を探るべく、ドア内張りを外してみたレポート。検証したのは新型アクアだが、内部構造は最近の車で増えてきた「溶着」なので、他車種でも参考になる話だ。
新型アクアのドア内張り裏側は、溶着だらけでネジがない…
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「新型アクアの内装にはLEDカスタムする余地がいろいろありそう」では、あくまでも表側から見ての、初見を述べましたが……
●アドバイザー:球屋 森田研究員
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新型アクアのドア内張りを外してみました。アンビエントライトは後付けできるかな?
●DIYラボ:イルミちゃん
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新型アクアのドア内張り内には、ねじが全然使われていませんね。溶着ばかりの構造になっています。
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溶着(ヨウチャク)とは、溶かしてパーツ同士が接着されていることですね。
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溶着ポイントをアップで見るとこんなカンジ(↓)。溶かした痕がよく見えると思います。
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ハイラックスのときにも言いましたが、溶着されているパーツは基本的には外せない(外したくない)と思ったほうがいいです。
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なぜかと言うと……
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溶着を外してしまうと、元の純正のような強度でくっつけられません。まず接着剤がくっつかない。これはいろいろな接着剤を試しましたが、いずれもダメでした。
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それは素材の問題でしたね。
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そうです。PPやPE素材は、接着が難しい。施工の直後は大丈夫だとしても、長期的に見たらいずれ外れかかって「カタカタ音」が出だす可能性が高いと思います。
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カタカタ音はイヤだなぁ。
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特に、新型アクアのドア内張りにはクッション材なども貼られていなくて、シンプルな状態ですよね。
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ということは、ちょっとでもパーツが浮いたりしたら、すぐにカタカタ音が出だしそうです。
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では、純正と同じように、溶かして溶着し直すことはできないのかな。
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溶着を外す時点でもう、すでに潰されているものを外すことになるので、改めて潰す突起がない状態です。
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そっか。
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外した溶着を再利用する手はありますが、元よりは絶対強度が落ちるでしょうから、オススメできません。
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じゃあ、ネジ留めすればいいのでは? 小さーいネジで……
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そうはいっても、この反対側はすぐに表面のパネルです。
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ふむ。
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仮にネジ留めするとしたら、貫通しない浅いねじしか打てません。それでは部品を留められない。
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あー。そういう場所だからこそ、溶着が使われているという事情もありそうですね。
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それを含めて考えると「ドア内張り裏側の溶着ポイントを外す」選択肢はそもそもないかな、と思います。
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で……では、アンビエントライト後付けの件はどうなるのでしょうか?
溶着された部品を外さないとできないLEDカスタム案はボツ…?
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表側から見て、アンビエントライトを入れたいね、と言っていたのは、アームレストの下(底)あたりです。
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表側から見るとレザーが貼ってあるアームレスの裏面が、ここですね。
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こういう部品を外して、その隙間から光が漏れるようにする、という手法でアンビエントライトを作ったりもするんですけど……
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例の溶着ポイントが立ちはだかっています!
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つまりこのパーツを外すのは無理ですね。
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ではアンビエントは難しいってことか。
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ちょっと怪しいんじゃないかな、と思います。
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普通の車だったら外せるのでしょうか?
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外れる車種も多いです。ネジ留めだったら、ワッシャーをかませたりして、意図的に隙間を増やして、漏れる光の量を調節したりできますし。
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なるほどね~。そうやって純正風のアンビエントライトを作っているんだ。
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しかし、新型アクアではそういう方法は取れません。
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せっかく、ドア内張りの表側のデザインはアンビエントライト向きなのになぁ。
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表側から見た形状ではいけそうでも、裏側の構造をみたら、やめたほうがいいっていうことはよくあります。
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まさに裏事情だ。
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ただ、新型アクアの場合はこれで諦めるのも惜しい気はしますね。溶着されているとはいっても、パネル裏は見えているので。
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裏側から切り込んでスリットを入れて、アクリルとLEDを仕込むという手は?
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「裏から開けられる範囲で開けて、表側から整えられる範囲で整えて」という風に、出来なくはないんですけど、分解できる内張りと違って、キレイに作るのには限界があります。
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そんなに細かいことを気にしない人だったら……
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できるとは思います。アンビエント兼ドアポケットの照明にもなりそうですしね。
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溶着を外さず、できる範囲で加工するか、キレイに作れないなら諦めるか。ここは人によって分かれそうですね。
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球屋としては、「消灯時を見ても問題ありません」と自信をもって言えるクオリティで出せるかどうかが、LEDカスタムメニューにするか否かの判断基準だったりするので。
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……球屋の場合は厳しい判断がくだされそうだなァ。
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ひとまず、デモカーで実験してみるしかないですね。
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ということで、最近増えつつある溶着の何が問題点なのか? というレポートでした。
DIY Laboアドバイザー:森田広樹
LED加工専門店・球屋代表。最先端かつデザイン性の高いライト加工技の探求者にして、アクリルづかいの若き老練者。純正風で分かりにくいまでにさり気ない、内装LEDイルミも精力的に提案。派手さより「完成度と質感」を重視する。
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