80系ハリアーのリアウインカー移設に成功…!
80系ハリアー登場時、ネット上で物議をかもした「リアウインカーの位置が低い問題」。そのため当初から「リアウインカーをテール内に移設したい」声が挙がっていたが、それがついに実現したもよう。
80系ハリアーの赤いテールレンズ越しに、アンバー色は出せるのか?
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以前の記事(※)で「新型ハリアーのリアウインカーの位置問題」を取り上げましたが、その後、球屋で大きな進展があったもよう。
※「新型ハリアーのリアウインカー位置は、カスタムで移設可能か?」参照。
●DIYラボ本館:イルミちゃん
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新型80系ハリアーのリアウインカーを、上部のテールランプ内に移設できましたので、ご報告いたします。
●アドバイザー:球屋 森田研究員
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おおぉ……!
本当にできてしまった!! -
なにこの80系ハリアー!? これを待っていた人は多いのではないでしょうか…!
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経験則で言うと難しいだろうな、と思っていましたが、なんとかここまで来ましたね。
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森田研究員の重たい様子からして、てっきり〈やらないシリーズ〉だとばかり踏んでいましたが……
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……。
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だって、80系ハリアーの赤いテールレンズ越しだと、ウインカーのアンバー色を出すのは難しいという話だったのでは?
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事実、球屋がいつも使っている日亜化学のウインカー用パワーLEDで試作したときには、やはり赤レンズに阻まれる結果になりました。
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そうなんだ。ウインカー用のLEDとしては、鉄板だったはずなのに。
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そのときは、ほぼ「赤い点滅」といっていい状況でした。
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……アメ車のウインカーのような状態ですね。
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そうです。なぜそうなるかというと、最近の国産車のウインカーで使われているLEDの色は、淡いんです。
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極端に言うと、肌色に近いというか、黄色っぽい。
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オレンジより、黄色に寄せた感じ。
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そうですね。昔ながらのオレンジのウインカー色に比べると薄い。
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フムフム。
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で、白が混ざるような薄めのアンバーだと、赤いテールレンズの影響をモロに受けてしまうことになります。
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白LEDが赤レンズを通して、赤に光る、みたいな?
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まさにそういうことですね。それで最初の実験は、見事に真っ赤っかなウインカーになってしまった、という結果でした。
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そこまでは、まあ、予想通りですが。その後いったい、何があったのか…。
80系ハリアーのフロントウインカーに使われている極小サイズのLEDチップ。デイライト用の白と、ウインカー用のアンバーが同じ場所に収められている。
緑のLEDを入れれば、赤いレンズ越しにオレンジに光る……説を検証
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それで、どうしたのでしょう?
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そこまでの途中経過を球屋のブログでも公開していたので、それを見たお客さんから「緑のLEDも試してほしい」という意見も出ました。
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緑LEDを、赤いレンズ越しに光らせると、オレンジ発光になる……という話はけっこう聞きますよね。
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そうなんです。それで、こんな実験をしてみることにしました。
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赤・黄色・緑のLEDを並べたところです。
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これって、全部同じLEDで、色違いってことですか?
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いいえ。緑色のLEDだけ3チップなので、緑が一番明るい状態です。
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あー。
比べてみれば、緑が一番明るい。 -
ここに80系ハリアーの赤いテールレンズを重ねると、どう見えるか。
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緑……。
暗すぎますね。 -
あっれぇ!? レンズを通す前は一番明るかった緑が、一番暗くなってる。
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確かに、色だけ見ればオレンジ色にはなるんですけど……
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しかし、異様に暗くなりますね。
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暗いどころか、ほぼ光っていないレベルまで光が喰われてしまうんです。LEDの素子が見えるほど。
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……赤レンズを透過すると、こんな現象が起きるんだ。
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ということで、緑のLEDを使う案はボツです。
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いちおうオレンジになるのはウソではないけど、明るさ的にまったく無理でしたね。
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こうなるともう、オレンジのLEDで頑張ってみるしかありません。
80系ハリアーのウインカー移設はどうやって実現した?
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そしてその後の頑張りにより、最新作の80系ハリアーのデモカーは、赤レンズ越しでもオレンジ色にウインカー点滅しています!
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これはCREE(クリー)のパワーLEDを使っているんですよ。
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ほう。
クリーも有名なLEDメーカーですよね。 -
しかも、出力は抑え気味にしています。
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それも色と関係あるのでしょうか?
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出力をあげると熱量が増えますよね。オレンジのLEDが熱を持つと、どんどん色が濃くなるんです。結果的にレンズ越しの光が赤に寄ってしまう。
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なるほど。
その意味でも熱を持たせたくない。 -
だから、定格よりだいぶ少ない電流……現状でいうと半分以下の電流で駆動させています。それでも明るいLEDなんです。
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少ない電流値でも明るいLEDを使う。これもポイントですね。
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それで今回はクリーのパワーLEDに行き着いたんだ。
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それによって、意外と赤レンズ越しでもアンバー色が出たなと。
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これならどう見ても、オレンジのウインカーですね。
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日中、直射日光を当てながら純正ウインカーと比較してみても、明るさ的に劣る印象はありませんでした。
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ナルホド。
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80系ハリアーの場合、リアウインカーについては、純正状態がそんなに明るくない、というのもありますけど。
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このように、下にあったリアウインカーをテールランプに移設することはできましたが……「ウインカーだけ移動しておしまい」とはいかなそうですね?
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はい。今回ウインカーを移設したラインの外側部分は、元は純正ブレーキランプがあった場所ですので。
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ブレーキはどこに行ったんだ?
DIY Laboアドバイザー:森田広樹
LED加工専門店・球屋代表。最先端かつデザイン性の高いライト加工技の探求者にして、アクリルづかいの若き老練者。純正風で分かりにくいまでにさり気ない、内装LEDイルミも精力的に提案。派手さより「完成度と質感」を重視する。
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