カスタムする人には関係ある、ヤリスクロスのヘッドライト内部事情
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ヤリスクロスのヘッドライトを研究中の、球屋・森田研究員からの「重たい」中間報告。これはヤリスクロスに限らず、ヘッドライトカスタムを考えている人に、広く関わる可能性のある話。
ヤリスクロスのヘッドライトは、80ハリアーにもなかった「カスタムへの障壁」がある
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LED加工専門店・球屋では、80ハリアーの研究を終えて、現在はデモカーのヤリスクロスで、カスタムメニューを開発中なんですが……
●DIYラボ:イルミちゃん
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その中でちょっと、DIYラボで触れておきたい話があったので、ご報告したいと思います。
●アドバイザー:球屋 森田研究員
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ふむ。
どんな話題なんでしょうか? -
ヘッドライト内部の事情が、他のトヨタ車とは違うんですよ。
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え~っと、同じ2020年の近い時期に登場した、80ハリアーとも違うってこと?
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そうなんです。ヤリスクロスはグローバル展開車種なんで、生産事情の違いもあって、普通のトヨタ車とは違う構造になっているのかも知れませんが。
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今までのトヨタ車と、何が違うと?
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今までの車は、ヘッドライトを分解すると、ハウジング側に制御基板があって、そこから各ランプ(ヘッドランプやウインカーやスモールなど)につながっていました。
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80ハリアーのヘッドライトも、各ランプを制御している基板がいくつもありましたね。
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しかし、ヤリスクロスのヘッドライトは、殻割りしても、見えるところに制御基板がないんです。
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ない……って、どういうこと?
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ヘッドライト内にはなにも回路の基板がない、という状況なんです。
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回路がないと、そもそもLEDは光りませんけど?
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つまり、そういった制御基板が、すべてコンピューター(開けられないブラックボックス)の中にしまわれている状態なんですね。
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ほう。ヘッドライトのコンピューターというのは、ヘッドライトの外に付いているモノですよね?
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ハイ。その点はヤリスクロスも同じで、ヘッドライト下に制御コンピューターが付いています。
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コンピューター制御である点では同じだけど……ようするにヘッドライト外のコンピューター(箱)から、直接ランプ類に配線がつながっている状態?
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そういうことですね。ヘッドライトの各LEDが、コンピューターに直結されているような状況です。
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どちらも「コンピューター制御」であることに変わりはないけれど……そうなるのと、ヘッドライトカスタムにどういう影響があるのでしょうか?
80ハリアーのヘッドライトを殻割り(分解)したところ。右がレンズで、左がハウジング(土台)。
80ハリアーのデイライトとウインカー用の制御基板。
ヘッドライト底面にコンピューターが付いている。写真は80ハリアー。
ヘッドライトをカスタムする上で一番問題になるのは電源の確保
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まず、「ヘッドライト内では電源は取れない」ようになります。コンピューターで制御されて、コンピューターが出力したあとの線しか触れないので。
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コンピューターの出力線からは取れないの?
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コンピューターが出力した線を触る、っていうのは最後の手段であって、できればそれはしたくないですね。
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まあね。それをやったら、どんなトラブルが起こるか分からないですもんね。出力制限とか、あるかもだし。
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ヘッドライトの裏側でイルミ電源(スモールランプ電源)などが取れなくなったのは、もう何年も前からの流れですけれど……
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ヤリスクロスでは、ヘッドライトを分解した中でも電源を取ることは基本的にできない、ということです。
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なるほど。では、カスタムで後付けしたLEDの電源はどうするの?
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必要な電源は、外から持ってくるしかありませんね。
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外っていうのは……
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ヘッドライトの外です。
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しかし、ヘッドライト裏でも電源は取れませんが?
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そうですね。だから、車内側で必要な電源を取り、それをエンジンルームへ通して、ヘッドライト内部まで持っていくしかない。
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そういうことかぁ。
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イルミ電源にしても、IG電源にしても、そういう手法になってきますね。ヘッドライト外側も内部もふくめて、ヘッドライト周辺では電源がまったく取れなくなる、ということですから。
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そうなんだ。
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それから、すべてがコンピューター内部に隠されてしまったことでの問題はもうひとつ。
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ふむ。
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ヘッドライトを開けても、回路が分からない・触れない、ということです。いよいよ「いじらせないぞ!」という感じになってきたなー、と。
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やっぱり、森田研究員らしい、重たい報告ですね、これは!
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……。
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しかし……どうせ、カスタムはするんでしょ?
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それは……もちろん。
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どうなされる、おつもりでしょうか?
DIY Laboアドバイザー:森田広樹
LED加工専門店・球屋代表。最先端かつデザイン性の高いライト加工技の探求者にして、アクリルづかいの若き老練者。純正風で分かりにくいまでにさり気ない、内装LEDイルミも精力的に提案。派手さより「完成度と質感」を重視する。