86前期の純正LEDスモール(ポジション)をデイライト化する方法
トヨタ86(ハチロク)前期および、ヘッドライト加工に興味がある人に朗報。86前期のヘッドライトは、純正のLEDスモール(ポジション)を生かしてデイライト(強発光)化できる。殻割りは必要だが、打ち替えは不要。思いのほか簡単だ。
純正ヘッドライトに隠されたデイライト機能を引き出す
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86前期のヘッドライトに搭載されている純正スモール(ポジション)ランプを、配線加工でデイライト化する方法について解説します。
●アドバイザー:球屋 森田研究員
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86前期の純正スモールランプ部はこちら(↓)。
●レポーター:イルミちゃん
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これをデイライト化するんですね。つまり、常時点灯させるということ?
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それだけじゃない。
もっとずっと明るくなります。 -
LEDを打ち替える…?
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いや、今日紹介する技は、そういうのじゃないんです。
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?
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あくまでも純正LEDのままで、ちょっとしたことをするだけで光量や光り方が変わるよ〜という話なんです。
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なんですか?
それ? -
純正のスモールランプ部に注目です。横長のリフレクターの奥が細かくくり抜かれて、各窓にひとつずつチップLEDが搭載されています。
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ところがこのLED、日本仕様では意図的に減光点灯させてスモールで使っていますが、本当はもっと明るく点灯することができます。
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……え?
純正はわざと暗くしている? -
そうなんですよ。海外仕様では、デイライトとして使えるように設計されているんです。
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ほほう。
じゃあ、純正の基板を加工する気ですか? -
いや、86前期の場合は、そうする必要もなく簡単にできてしまう。ただしヘッドライトの殻割りは必要です。
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ここでは殻割り方法は省略します。別記事の「ヘッドライトの殻割り方法」などを参考にしてください。
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最近の例では、「50プリウスの殻割り方法」と同じようなやり方で開けられます。86のほうが、少し時間はかかりますが。
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で、開けたら次は?
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純正スモールのリフレクター部分の奥を除くと、基板が見えますよね。
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この基板が、スモールランプ用のLEDを制御しているんですが、見えにくいのでもっとバラしてみましょう。
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スモールランプ部分だけ、取り出せました〜。
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で、改めて基板を拡大して見てみましょう。この基板の隣に純正配線がつながっていたカプラーがありますが……、
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このカプラー、基板側は3ピンになっているのに、純正配線は2ピンしかつながっていないのです。
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あー!
本当だ。 -
この空いているところが、なんなのかと言うと、ご丁寧に「DRL」と書いてあります。
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DRL……。
つまりデイタイム・ランニング・ランプぅ! -
そうなんです。
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まんまじゃーないですか♫
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ですね。それで、ここに電気を流したらデイライト点灯(強発光)するよ〜、ということなんです。
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ほ、本当に……?
いつも重たい話なのに、今日はウマイ話? -
実験してみれば分かりますヨ。
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これが純正の点灯状態(↑)でした。
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ほんのりな光。……スモールランプなので、そんなに明るさは必要ないですからね。
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ところが! つなぎ方を変えて、「DRL」(デイライト)と「GND」(グランド=つまりアース)に電気を流すと……
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うわッ!!
めちゃくちゃ眩しい!! -
電気を流すピンを変えただけで、こんなに明るくなってしまうんですね。
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なるほどぉ。
こんな裏技があるとは……。 -
配線を1本用意して、それを基板上に直接ハンダ付けすれば、今、実験したのと同じことになります。
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配線は、(ヒューズをかまして)IG電源を取っておけば、デイライトとして光りっぱなしになります。
スモール部のアップ
まず殻割り(レンズとハウジングの分解)
純正LEDの制御基板
リフレクターの固定ネジを外す
スモールのリフレクター部分
このカプラーに注目!
純正配線を外す前の状態に注目
一番左にDRLと書いてある!
純正配線と同じ2ピンに電気を流せば……スモール点灯する
DRLとGNDに配線をつなぐと……
比べ物にならない明るさのデイライト発光
コネクター裏面にハンダが見えるのでDRLの裏に直結
デイライト機能を引き出せるかどうかは作りによる
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それにしても不思議な基板だ。これはもしや、純正が、「カスタマイズの余地」を残して、若者のクルマ離れを止めようとして……
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違うと思います。
だったらいいんですが。 -
ですよね。
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今どき車は、世界中で売りますよね。だからヘッドライトも、国ごとの事情に合わせて、仕様を変えられるようになっているわけですよ。
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そういえばデイライトの明るさの規定も、日本の法規だと300カンデラ以下(その他の灯火類の扱い)ですが、欧州だと逆に400カンデラ以上だったりするので……
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海外でデイライトとしても使えるようにするには、かなり明るいLEDを搭載する必要が出てきますよね。
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だから日本仕様は、わざわざパワーを抑えているのか。
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それを解放するわけですね。あ、86前期ほど簡単にできる車種は珍しいですけど。
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全車種、こんなに簡単だったらステキなんですが。
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86後期になると、基板自体が違うものになっているので、同じやり方は通用しませんしね。
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でも、愛車の海外仕様での光り方の違いなどに目を向けてみると、新しい技のヒントにはなりそうですね♪
DIY Laboアドバイザー:森田広樹
LED加工専門店・球屋代表。アクリルづかいを筆頭に、最先端のライト加工技の探求者。実際にお客さんの10台中9台はアクリル加工をする、というほどのエキスパートだ。派手さよりも「完成度と質感」を重視。デザイン性の高さでも全国屈指。
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