タイヤ交換コラム
DIYでのタイヤ交換における注意点をおさらい② ジャッキ編
タイヤ交換をDIYで行う注意点の続き。まずは作業前のジャッキアップだが、ここは気をつけるべきポイントが非常に多い場面。タイヤ交換初心者ならずとも、改めて押さえておきたい。
タイヤ交換を行う場所についての注意点
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「DIYでのタイヤ交換における注意点をおさらい①〈最初の罠〉編」の続き。
●レポーター:イルミちゃん
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今回は、ジャッキアップ時の注意点を整理していきます。
●アドバイザー:スパイス 佐藤研究員
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けっこういろいろあるんですよね。
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まず、ジャッキアップする場所なんですが、平坦かつ下がコンクリートの場所で行います。
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坂道では行わないこと。あるいは平坦であっても、砂地や砂利の上ではダメです。
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坂道だと車が動くのは分かるけど、砂利だとどうなるのか?
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ジャッキが地面に埋まっていきますので、非常に不安定です。いつ倒れるか分かったもんじゃない。
輪止め、パーキングギア、サイドブレーキの3点セット
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それから、ジャッキアップするときは輪止めを置きます。
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前輪を持ち上げるなら、後輪を輪止めで止める。
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ギアはパーキングに入れます。
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MT車だったら?
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1速か、バックに入れておきましょう。
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ニュートラルだと転がってしまうから危険ってことね。
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それからサイドブレーキをかけること! これを忘れる人がいるので注意。
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FFのオートマ車の場合は、パーキング+サイドブレーキで、前輪も後輪もロックされることになりますが、それでも輪止めは念のため入れましょう、ってことでしたね。
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いっぽうFR車の場合は、ギアをパーキングに入れてサイドブレーキをかけても、ロックされているのは後輪だけなので、なおさら輪止めが必須となります。
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このあたりの理屈がよくワカラン、という人は、下記記事(↓)でおさらいしましょう。
パーキングギア | 駆動輪をロック |
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サイドブレーキ | 後輪をロック |
ジャッキを当てるときの注意点
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続いて、ジャッキポイントの注意点。
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ジャッキポイントを目で確認してから、確実にジャッキを当てること。
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ジャッキポイントを目で見ないで当てる人なんていますかね?
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いますよ。というのも、最近の車はサイドステップ(エアロ)が付いてる車が多く、覗き込まないと見えない車が増えています。
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あー。
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「この辺じゃん?」と安易に上げると、ジャッキポイントが潰れ、サイドシル下部の歪みなどで、修理代が高くつきます。
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そもそも危険だよね。
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そうですね。車体がジャッキから落ちる可能性もあります。必ず目視で、ジャッキが正確に当たっているのを確認しましょう。
ジャッキアップする前に少しだけホイールナットを緩める
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それからジャッキでタイヤを浮かせる前に、少しだけホイールナットを緩めておく。これはポイントです。
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少しだけ……ですね。
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そうです。まだ浮かせていないのに緩めすぎたら、ハブボルトに負担がかかるので絶対NGです。
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ではなぜ、最初にちょっとだけ緩めるのか?
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ホイールナットを緩め始めるときだけは大きな力を必要とします。
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ふむ。ホイールナットの規定トルクはけっこう強いです。
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ということは、タイヤを完全に浮かせてから緩めようとすると、その揺れでジャッキが倒れる危険性があります。
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だから先に、固い状態を解除しておくんだ。
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そうです。そうすれば、ジャッキアップした状態で強い力をかける必要がなくなります。
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特に車載ジャッキは、前後方向の力にとても弱いです。上げれば上げるほど、不安定になりやすいので、タイヤが浮いてから緩めようとするとジャッキが倒れる可能性がありますよ。
タイヤ交換中は、フロア下にタイヤを入れておく
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それから車載ジャッキを使ってタイヤ交換をしようとしている場合、ウマを当てる場所がありません。
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ふむ。
こういう状況(↓)ですので。 -
万が一、ジャッキが外れたときはブレーキ周りや足回りの破損、それからタイヤが外れているので車体も接地してしまい、再びジャッキで上げるのも困難な状況になります。
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考えてみると、フロアジャッキに比べるといろいろ怖い面がありますね。
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なにより、大けがにもつながりかねない。
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……でも、フロアジャッキとウマの組み合わせを持っていない人だって、スタッドレスタイヤとノーマルタイヤの交換ぐらいはしますよね。
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だから、最悪ジャッキが外れた場合を想定に入れて、フロアの下に外したタイヤ等を入れておくのがポイント。
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こうしておけば、少なくとも車体が地面に落ちるのは防げる。最悪の事態は避けられます。
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次回は、タイヤ脱着時の注意点をまとめます。
DIY Laboアドバイザー:佐藤峻一
元カスタムガレージスパイス代表。足回りに強く、得意技は勝負ツライチだが、実用性重視のセッティングも高いレベルで実現。ドレスアップ全般に明るく、不思議な包容力があってDIYユーザーにも人気。
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