色替えできるRGBフルカラーLEDだが、デメリットもある
RGB LEDのデメリットについて、あえて言及してみる。RGBフルカラーLEDのメリットは、いろいろな光色が楽しめることだが、逆にデメリットは何か。基本的にRGBを使わないLED加工専門店・球屋で、RGB LEDを使わない理由を聞いてみた。
球屋は基本的にRGBフルカラーLEDを使ってこなかったが…
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LED加工専門店・球屋では使うLEDの色はだいたい決まっていて、純正風の青(クリアブルー)、または白がほとんどです。
●DIYラボ:イルミちゃん
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そうですね。できるだけ後付け感をなくす、というのがコダワリなので。
●アドバイザー:球屋 森田研究員
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ましてや、色替えできるRGBフルカラーLEDなんて森田研究員は絶対に使わないはず!
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……まあ、そうですね。
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それなのに! なぜか80ハリアーのデモカーには、RGBフルカラーLEDを付けているという……
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以前はクリアブルーだったはずなのに……これはどういうことだね?
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お客さんからはときどき「RGBでできないんですか?」と要望を頂くので……実験していただけです。
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ふむ。今後はRGBにチカラを入れます、という話ではないのか。
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そういうことではありません。ただ、頼まれた場合に対応するかどうかの検討も含めて、テストしてみたんです。
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えーっと、ということは今までは、RGBでやりたいというリクエストは断っていた?
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そうですね。
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森田研究員は、派手なの好きじゃないからなぁ。
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それもそうなんですけど……でも、球屋としてRGBを基本的に採用してこなかったのは、僕の好みのモンダイだけではありませんよ。
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……と言うと?
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色を変えられるのがメリットだとはいっても、当然デメリットもありますので。
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ホー。聞きましょう。RGBフルカラーLEDのデメリットを。
「白」がキレイではない、というのはRGBフルカラーLEDのデメリット
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RGBフルカラーLEDは、R(レッド)・G(グリーン)・B(ブルー)の掛け合わせで色を作っています。
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そうですね。3色のチップを内蔵した3チップLEDの構造になっています。
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この3つのチップの明るさのバランスを変えて、色を作っている。
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そういう仕組みなので、どれかひとつのチップが切れても、色は作れなくなります。
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ふむ。
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例えば、内装のLEDを全部RGBで組んだとして、カップホルダーだけ白にできない……なんていう現象が起こることになる。
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しかし、LEDが切れたときのことを言うなら、単色だって切れたら終わりでしょ? どのみち修理しかない。
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それはそうなんですが、3チップ内蔵型のLEDはそもそも切れるリスクが高めです。
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そうか。
普通のワンチップLEDに比べれたら切れやすい。 -
特に、自作用途などで使えるRGBフルカラーLEDは選択肢が限られるんで。
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ふむ。
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「自作だから自分で直せる」人ならまだいいと思いますが、球屋には遠方から来てくれるお客さんも多い。LED切れのリスクは、きょくりょく下げないといけません。
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そうはそうですねぇ。
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というわけでまず、RGBフルカラーLEDは、部分的なものも含めて球切れのリスクが高いのはデメリット。
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フムフム。
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それからもうひとつのデメリットは、どんな色も作れるとはいっても、単色と同じように見えるとは限らない点。
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どういうことなんでしょう?
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まず、RGBで作る白は、あまりキレイではありません。
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ちなみに全チップが全点灯すると「白」になるのですが……
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しかし、白に設定している状態でも、見る角度によっては青っぽく見えたり、赤っぽく見えたりもします。
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まあ、青と赤と緑を混ぜて作っている白ですからねぇ。
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これは使う場所によっても変わる話だと思いますが、球屋デモカーの実験でも、白で点灯させたときにフットランプだけはちょっと緑が強く見えたりしました。
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内装のLEDカスタムに使う場合は、使う場所によって照らす角度なども変わってくるので、結果的に「こっちはキレイに見えても、こっちはキレイに見えない」なんていう現象も起こります。
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LEDを付けた角度とかによって、色の見え方にバラつきが出るんだ。
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そうなんです。だから例えばドアハンドルとフットランプで、色味が違って見えたりする可能性はある。
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統一感にこだわる人は気になるかも。
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そして「普段は白で使うつもり」という人には、RGBはオススメできないですね。
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それならやはり、単色の白色LEDのほうが断然キレイってことね。
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「青が好きだけど赤も好き」という人なら、RGBフルカラーLEDを使うメリットもありますけどね。
RGBフルカラーLEDは、配線の取り回しに手間がかかる
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球屋がRGBフルカラーLEDを使わなかった理由は分かりましたが、デモカーで実験しているってことは「今度からは頼まれたら対応する」でいいんですよね?
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……ただ、同じLEDカスタムでも、工賃は上がりますよ。これはユーザーさんにとってデメリットかと。
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ムッ。なんで森田研究員の好き嫌いが工賃に反映されるのよッ!?
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いや。そうではなくてRGBフルカラーLEDは、配線の取り回しの手間もぜんぜん違いますから。そのへんを測るためのデモカー実験でもあったのです。
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そっか。
配線の数は増えますね。4本になるのか。 -
問題は本数というよりは、その4本がすべてRGBコントローラーとつながっていないといけないことが大きい。
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RGBコントローラーで色を制御するから、当然そうなりますね。
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どのLEDに対しても、全部4本線を取り回すことになる。普通のLEDのように取れる場所から電源を取って、マイナスはボディアースで……という配線方法もできません。
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単純に2本が4本に増えた、という話ではないのか。
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全然違いますよね。例えばリアインナードアハンドルを光らせるためだけに、4本の配線を、室内側フロント(コントローラー位置)からリアドア側へ渡さないといけないわけですから。
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取り付け工賃という面だけでいうと、普通のLEDに比べて数倍になると思われます。
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それは明確にデメリット……。
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これらのデメリットを全部お伝えした上で、それでもRGBフルカラーLEDを使ってほしい、というお客さんならば対応しますが、それでも遠方のお客さんだとすると難しいですね。
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遠方の人はあくまでもNGっていうのは、LED切れのリスクがあるからか。
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そうです。「修理するから来てください」とは、なかなかいきませんので。
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いろいろ考えると、球屋のRGBフルカラーLED対応は、かなり限定的なものとなりそうです。
RGBコントローラーの仕様がアノード・コモン(プラスを共有する)だった場合には、R、G、Bの各マイナス線と、共通の電源線がある。
DIY Laboアドバイザー:森田広樹
LED加工専門店・球屋代表。最先端かつデザイン性の高いライト加工技の探求者にして、アクリルづかいの若き老練者。純正風で分かりにくいまでにさり気ない、内装LEDイルミも精力的に提案。派手さより「完成度と質感」を重視する。
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