タイヤサイズ入門③

---

30扁平タイヤ（20インチ）を履いてもいい人と、履かないほうがいい人

30扁平タイヤ（または35偏平タイヤ）を履ける・履けないの物理的なマッチングの話ではない。履ける車だとしても、やめておいた方がいい人もいる。後悔しないタイヤ選びのための、転ばぬ先の杖（つえ）コラム。

• 

  「DIYユーザーが、ネット通販でタイヤ＆ホイールを買うときの注意点」の続き。

  ●レポーター：イルミちゃん

• 

  前回は、車の仕様によって、同じ車種でもタイヤサイズの選び方は変わりますよ～という話をしましたが……

  ●アドバイザー：スパイス 佐藤研究員

• 

  ふむ。

• 

  今日は「タイヤサイズは人の性格によっても変わる」話をしたいと思います。

• 

  ……はい？

• 

  例を挙げましょう。下の写真は、20インチ・30扁平の超扁平タイヤ。



タイヤサイズ・225/30-20。30扁平の中でも、特に細身で薄いサイズ。

• 

  こういうタイヤは、履いてもいい人と、履かないほうがいい人がいます。

• 

  差別する気デスか？

• 

  いやいやいや。そうじゃなくて、ご本人の身の危険に関わる話ですので。「この人にこのサイズのタイヤを売って、大丈夫だろうか」と思うことはあります。

• 

  では30扁平を履いたらダメな人ってどんな人？

• 

  一言で言えば、ズボラな人には絶対オススメできません。僕も私生活はズボラなので履きません。

• 

  ズボラって……具体的には？

• 

  ようするにマメな空気圧管理のできないタイプの人は、超扁平タイヤは避けたほうがいい、ということです。

• 

  そういう意味か……。

• 

  それから、段差にドーンっと元気よく突っ込むタイプの人も向いてません。

• 

  セパっちゃう。

• 

  そうです。普通の一般的なタイヤサイズに比べると、セパレーションも起こりやすい。



✔ 基礎知識は、「セパレーションとは？ 引っ張りタイヤとの関連性は？」参照。

• 

  言いたいことは分かるけど、見るからにズボラそうな人が「20インチを30扁平で履きたいんだよね」って来たらどうなさるおつもりで？

• 

  「2週間に1回ほど空気圧チェックしないとだめですけど、本当にできますか？」と念を押します。

• 

  2週間に1回か……。前回のチェックはいつだったか、ちょうど忘れそうなスパンだな。

• 

  引っ張り具合によっては、もっと短いスパンで見たほうがいいかも知れません。

• 

  そうは言っても、ご自分の車はその頻度で見ているのでしょうか？

• 

  え？ 僕は無理ですよ？ ……さっき言ったように、自分のことになるとズボラなんで。

• 

  そんな佐藤研究員が、自分の車の空気圧チェックを行う頻度はどのくらい？

• 

  う～ん。
  自分の車では、1ヶ月に1回くらいかな。

• 

  1ヶ月に1回でも「ズボラ」と言われるとか厳しいわ～。レベル高っか。

• 

  そう感じるなら、扁平タイヤは履かないほうがいいですよ。本当に危ないから。

• 

  ちなみに今回は20インチ・30扁平を引き合いに出しましたが、35扁平だとしても細めのサイズは同じことが言えます。

• 

  同じ扁平率でも、細いタイヤほど薄くなりますからねぇ。

• 

  そうなんです。20インチの225/35とか235/35あたりは、35扁平とはいっても30扁平に近い感覚です。

30偏平タイヤ

サイズ	厚み	外径
225/30-20	67.5ミリ	643ミリ
235/30-20	70.5ミリ	649ミリ
245/30-20	73.5ミリ	655ミリ

35偏平タイヤ

サイズ	厚み	外径
225/35-20	78.75ミリ	665.5ミリ
235/35-20	82.25ミリ	672.5ミリ
245/35-20	85.75ミリ	679.5ミリ

※上の表は計算上の数値。実寸はタイヤ銘柄によって多少変化する。

• 

  じゃあ、もう少し安心感のあるタイヤサイズを選ぶとしたら……

• 

  40扁平あたりが安心レベルですよね。それでも「空気圧管理」と「段差」には注意が必要ですけど。

✔ なお、同じ35扁平でも265とか275クラスの場合は、それなりに厚みも出てくるので話が別。

---

※「前後のタイヤ外径の揃え方。どこまで厳密にやるべきか!?」参照。

• 

  なるほど。

• 

  今回の話は、軽自動車の17インチ履きに使う35扁平などでも同じことが言えます。

• 

  ズボラな人には、軽自動車の17インチは向いてないってことね。

• 

  けっきょくのところ最適なタイヤサイズ選びは、オーナーの性格や乗り方によっても変わるのです。これは事実。

• 

  そういうタイヤを履いても大丈夫なのかどうかは、一度、自分を客観的に見て、判断したほうがいいいかも知れませんね。

>>> 第4回に続く