純正パーツ補修の疑問
PP製やABS製の純正パーツの補修はできるの?
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PP(またはABSなど)でできた純正パーツの補修はできるのか? できるなら補修方法を知りたいという読者からの質問がたまにあるので、板金塗装のプロに聞く。実際にPP製やABS製の純正パーツの補修に使っているという、接着剤についても教わった。
PP製やABS製の純正パーツを補修するのに便利な接着剤
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読者の方からときどき質問のある、この問題についてプロの意見を聞きます。
●レポーター:イルミちゃん
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PPなどの柔らかいプラスチック製バンパーの修理相談は、ほんだ塗装にもよくありますね。
●アドバイザー:ほんだ塗装 本多研究員
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FRP製のエアロパーツは補修できても、PPやABS素材の純正パーツは補修が難しい……という話を聞いたことがあるけれど、どうなんでしょう?
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補修自体はできるんですよ。
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ほう…?
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実例を挙げると、つい先日「純正のドアミラーカバーに穴が開いてしまったから修理してほしい」と頼まれまして。
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このカバーもPPのようなプラスチック製です。
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なんだ〜、修理を受け付けているんじゃないか。
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でも最初は、修理は止めたほうがいいって言ったんですよ。
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……へ?
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「修理代と再塗装に2万円弱はかかる(※ケースバイケース)から、新しい塗装済みのカバーを買ったほうが安い。そうしたほうがいいですよ」って言ったんですよ。
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良心的というか、なんというか……まあ、でも言っていることは正しい?
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ところがこのドアミラーカバーは、カバーだけでは部品として買えないらしくて。
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あらま。
そうなんだ? -
アッセンブリー交換で丸ごと買うしかなくて、6万5000円位するらしいんですね。
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……高くつくなァ。
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だから「2万円弱で修理できるならそっちのほうが全然安いんでお願いします!」って。
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ごもっともだね。
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それで補修することになりました。
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PP製の純正パーツって、どうやって補修するのでしょうか?
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こういう場面で、ほんだ塗装が現状使っているのはメグミックスの接着剤です。
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メグミ……?
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メグミックスっていう、2液を混ぜて使う専用の接着剤があるんですよ。
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PPやABSのような、柔軟性のあるプラスチック素材でも接着できる接着剤です。
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ほぉ~、こんな頼もしいアイテムがあるのか。
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専用のガンとノズルを使うことで、2液が混ざりながら出てきて、混ざると即・反応して硬化を始める接着剤です。
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2液が混ざって出てくるので、ノズル部分はすぐに固まってしまいます。だからノズルは使い捨てタイプですね。
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なんか本格的な接着剤だァ……。
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さらにFRPで使うマットと同じような、アミ目のマット(※専用補強シート)もあるんですよ。
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これを使って実際に純正のPP製パーツを補修した手順を紹介しましょう。
Q
PP(ポリプロピレン)やABS素材の、純正パーツの補修はできる?
Amazonでも販売されているメグロ化学工業のメグミックス万能成形接着剤。充填ガンがセットになったメグミックス スターターキットのほか、接着剤・シート・ガンは、それぞれ単体でも買える。
メグミックスの関連用品ラインナップは公式サイトを参照。
PP製(またはABS製など)の純正パーツの補修方法
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まずはFRPパーツを補修するときなどと同じで、オモテ側からフタをします。溶剤が漏れないように。
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穴に接着剤をブチューって出しても、向こう側に落ちてしまうもんね。
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そうそう。だから薄いアルミ板みたいなものでフタはしておきます。
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薄いアルミ板は、FRP加工のときにも使っていましたね。
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ホームセンターで売っているアルミ板か、薄い鉄板でもいいと思います。
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なるほど、なるほど。
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オモテ側からフタをしたら、穴のところに2液の接着剤みたいな溶剤を流し込みます。
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さらにアミ目の補強マットを貼り付けて、グチュグチュ押して馴染ませます。
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固まってから、ひっくり返すと、オモテ側はこのように黒くなって穴が埋まっています。
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穴が塞がった~!
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補修のやり方自体は、FRP製パーツとそんなに変わらないですよ。
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フムフム。
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FRPの樹脂を使って塞ぐのか、このような2液の溶剤を使うのかの違いはありますが、塞ぎ方としては同じような作業ですよね。
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なるほど。それでこのあとはどうするのでしょう?
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今回のような穴の補修では、ただ接着剤で埋めるだけでは段差は残ります。
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あー。青と黒の境目には、段差がある。
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その段差をなくすように、ゆるーくおわん状に削らないといけません。
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しかし、そうすると周辺がヘコむわけです。
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確かに。
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ですのでヘコみに薄くパテを付けて、それを削ってならす、という作業が必要になってきます。
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やっぱりパテはいるんですね。
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そうですね。接着剤で埋める、というよりフタを作るイメージです。最終的な表面はパテで整えます。
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つまりこのあたりからは、FRPパーツの補修と同じような感じだ。
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パテで表面が整ったらサフェーサーを吹きます。
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そして色を塗装して完成です。
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PP製とかABS製の純正パーツでも補修はできる!
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修理すること自体はできますよ。できるけど……
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……けど、なにか?
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これはFRP製バンパーの補修にも言えることですけど、補修したら完全に元通りになるか、といったらそれは違いますよ。これは言っておかないと。
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……ほお?
FRP編については「FRPに穴が開いたらどうやって補修(穴埋め)するの?」参照。
溶剤の色にはグレーもあるが、ここではブラックを使用している。
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Laboアドバイザー:本多 順
ワンオフ加工と塗装のスペシャリスト。エアロパーツ取り付けも仕上がりにとことんこだわるタイプ。超がつくキレイ好きでもあり、安心して車を預けられる。●ほんだ塗装 TEL:0564-58-5808 住所:愛知県岡崎市坂左右町堤上101-3 営業時間10:00~21:00 水曜定休 メールはこちら
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