ドアスピーカーの疑問
車のドアスピーカーにはエンクロージャーを組んだほうがいいの?
車のドアスピーカーを交換するなら、エンクロージャーまで組んだほうがいいのか? という疑問。エンクロージャーとは何か? をおさらいしつつ、最近の傾向も含めてオーディオプロショップ〈カーデン〉で聞いてみた。
車のドアスピーカーにエンクロージャーを組むのはカンタンではない
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車のドアスピーカーを交換するときって、純正スピーカーを外して、土台となるバッフルボードを付けて、社外スピーカーを取り付けますよね。
●レポーター:イルミちゃん
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……これだけなら、単にスピーカーを交換しているだけなんですけれども、ときどきこういう質問が寄せられます。
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まずはエンクロージャーとはなんなのか? からおさらいします。
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エンクロージャーはようするにスピーカーボックスと同じです。例えば家庭用のスピーカーは、ボックス(箱)に付いていますよね。
●アドバイザー:カーデン 佐伯研究員
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ふむ。家庭用のスピーカーは基本的に箱型ですね。
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スピーカーは、スピーカーボックスがないとしっかり鳴りません。だから車のドアスピーカーにも、理想を言えば箱がほしい。それが「エンクロージャーを組む」という意味です。
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でも、普通の車はそんなことをしていないのが大半ですよね?
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そうですね。それは物理的に難しいからです。でも中には、質問にあるように自作でエンクロージャーを組んでいるDIYユーザーさんもいたりしますよ。
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塩ビパイプとか使ったりしてボックス化する人もいるし、自作の世界はユニークです。
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そうそう。パイプの長さを変えてみるなど、いろいろと試したり。
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やっぱり、スピーカーをポンって付けるだけよりも、エンクロージャーがあったほうがいいんですかね?
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うーん。まあ、ドア内にそれを作れるスペースがあるのであれば、あったほうがいいのかも知れませんが……
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ふむ。
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ただ、エンクロージャーを組む場合、けっこうなサイズ(容量)の箱を作らないといけない。最適なボックス容量は、スピーカーにもよるとはいえ…。
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車のドア内側は薄っぺらい空間しかないですけどね。
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だからこそ、ドア内部のスペースを増やすために、ドアの内張りまで加工(ごっそり切る)したりします。いわゆるアウターバッフル加工が必要になる。
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室内側に内張りが出っ張っていいなら、エンクロージャーを組むこともできますよ。
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えーっと、当たり前のことを聞くようですが、そうすると室内側が狭くなりませんか?
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室内側に出っ張ることになりますから、足元スペースが狭くなるデメリットは当然あります。
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それは覚悟の上でやっているのか…。
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しかし最近はそこまで加工するお客さんは少ないです。ほとんどいないと言ってもいい位。昔は僕もよくアウターバッフル加工などやりましたが。
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今どきはやっぱり実用性重視ってことなのかな。
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それもあるし、一番大きな理由は「車を売るときのこと」を先に考える人が多くなっているので、ドア内張りを切ったりするのに抵抗感があると思います。
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ああ、そういう理由もあるのか。
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まあ、ドア内張りの場合は、ドア内張りだけ単品で買えるので、純正状態に戻すことはできるんですが…。
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ふむ。
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ただ、そういう時代背景もあって、インナー側(ドア内部)だけで処理したい、という人が多いですね。
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そうなると、エンクロージャーを組むのは難しい?
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「ドア内部(インナー)だけで」を前提に考えると、エンクロージャーを組むっていうのはほとんどの車では現実味がないです。
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できる範囲の小さめのエンクロージャーで、インナーに収めきるっていうのはダメなんでしょうか?
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エンクロージャーを組むなら、スピーカー毎の規定容量を確保しないとダメなんです。容量が足りないボックスを作るくらいなら、デッドニングでドアをスピーカーボックス化するほうがいいと思います。
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ああ、そうか。ドアデッドニングの目的は、①制振 ②ドアスピーカーのボックス化にあるって話でしたね。
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そうです。デッドニングの場合は、エンクロージャーを組む代わりに「ドア内部全体をボックス化する」発想です。
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ドア内に箱を作るのがスペース的に難しいからこそ、ドアをデッドニングしている側面もあるわけですよ。
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なるほどね~。
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ただし、ドア内側の状況や容積は、車種によってまちまちです。
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そういえば、結果的にボックス化されたドア内部の容積もバラバラですよね。
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ハイ。同じスピーカーを付けて、同じようにドアデッドニングしても、条件が変わってきますが、これは当然です。
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同じスピーカーでも付ける車によって音は変わるってことね。
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そうですね。本物のエンクロージャーを組んだスピーカーなら条件を統一できるのに対して、ドアデッドニングでは箱の条件がバラバラ、ですので。
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そっか。そのへんはドアデッドニングの限界ですかねぇ。
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ただ、同じスピーカーでも車によって結果が変わるのが、カーオーディオの面白いところでもあるし、車のスピーカーを選ぶときの醍醐味でもあると思うので、考え方次第な面もありますね。
Q
ドアスピーカーのエンクロージャーはあったほうがいいですか?(エンクロージャーを作ってインストールしている人なども見かけるので…)
アウターバッフル加工まで行う目的は「スピーカー位置を外側にオフセットさせる」「通常では付かないサイズのドアスピーカーが取り付けできる」といった点などもあるが、「エンクロージャーを組みたい」という理由の場合もある。
スピーカーを増設するときは単純な配線分岐ではNG!…その理由についてはDIYラボ〈動画部〉がYouTubeでも解説しています。
DIY Laboアドバイザー:佐伯武彦
コワモテだけど優しく謙虚な佐伯(さえき)研究員。オーディオイベントでは数々の賞を取っている、腕利きインストーラーだ。●カーデン TEL:0561-35-5015 住所:愛知県みよし市黒笹町西新田1205-1 営業時間9:00-18:00 火曜・水曜定休
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