BCMのコネクターの抜き方(外し方)を知っておくと、作業効率が上がる
BCM付近はコネクターを外した方が、配線作業が断然やりやすくなる。しかし、BCM付近の大型コネクターは、抜き方(外し方)を知らないと絶対に抜けない。ここは挫折ポイントになりがちなので、やり方を解説。
BCM付近での配線作業は、工具が入る隙間もない
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電装品の取り付けで、たびたび登場するBCM(※)
●レポーター:イルミちゃん
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BCMにはあらゆる配線がつながっています。配線情報さえあれば、必要な線がまとめて取れるのがメリットです。
●アドバイザー:CEP 服部研究員
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コムエンタープライズの電装品取り付けは、BCM付近で取る指定が多いですよね。
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そうなんですが、そんなときに役立つのが、今回紹介する「配線作業のコツ」です。
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コツ?
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BCM付近で配線をつなぐときって、配線数が多くて、エレクトロタップをかませるのも大変なんですよ。
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エレクトロタップをあてがうことができても、工具が入らなかったりします。
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あー。
確かに。 -
しかも、エレクトロタップが何個も登場したら……
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無理がありますねぇ。
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ハンダ付けでやるにしても、非常に作業がやりづらい。
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危なっかしいですね。
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どの車種でも似たような状況ですが、特にハイエースとかだと、イヤになるほど狭いです。
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……電装のプロが、配線作業でイヤになるレベル。
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そこで対策。配線の分岐作業をするときは、いったんBCM本体からコネクターを外した方がやりやすいです。
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上の例でも、コネクターを外して、手前に持ってきてからエレクトロタップでつないでいます。
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なるほど。大きいコネクターだけど、抜くことはできるんだ。
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しかし、この部分のコネクター(カプラー)って、他の部分とはちょっと作りが異なる、特殊な形状をしているんですね。
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ふむ。
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なんの知識もなしで外そうとしても、外れません。
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とりあえず引っ張ってみるか。
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手前方向にグイグイ引っ張っても、抜けませんよ。
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どうすればいいの?
※ ボディ・コントロール・モジュールの略で、ようするに車のコンピューターの一種。
エレクトロタップをかませるのも一苦労……
BCMにつながるコネクターの抜き方(外し方)
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BCMにつながる、大型コネクターの抜き方(外し方)を教わります。
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上の部分にツメがあるので、内張りはがしなどを使って、ツメを下方向に向けて押さえます。
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下方向への力を加えたいので、ツメの上側に内張りはがし先端を差し込むわけです。そうすれば自動的に下方向に押されますね。
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ふむふむ。
それで? -
ツメを押しつつ、コネクターの黒いカバーだけを引っ張って浮かせるのです。
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コネクターの一部だけが浮いた。
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そうなんです。カバーの部分だけが、ナナメに浮きます。下側を支点にした回転運動ですね。
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このとき、白いコネクター本体を持って引っ張っても動きません。あくまでも黒いカバーの上端だけを持って、引っ張るのがポイント。
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コネクター自体は、まだささったままですね。
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カバーがナナメに浮くところまでいったら、ロックが外れているので、引っ張ればコネクター全体が取れます。
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段階を踏まないと抜けないんだ。
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知らないと絶対に抜けないでしょう?
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間違いない。
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ちなみにこのタイプのコネクターが使われているのは、BCMだけではないんですよ。
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他の場面で、こんなやっかいなコネクターが登場したこと、ありましたっけ?
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例えばキックパネル裏にある、大きい中継コネクターによく使われています。
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BCM専用というより、ピン数の多い大きいコネクターに使われているのです。
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そうなんだ。
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ただ、普通は外すことがないので、知らなくても支障はなかったのですが……
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BCM付近で「壁」にぶつかるんだ。
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ハイ。BCM付近だけはそもそも配線がしにくいうえに、コネクターを抜こうと思っても抜けない。ここは挫折ポイントのひとつなので、解説しておきました。
✔ ツメは1箇所だけで、上下にあるわけではない。横向きにささっているなら、左右どちらかにある。
✔ 回転運動なので、中心に近い位置を持っても動かない。外側(上側)だけをつかんで、浮かせる。
DIY Laboアドバイザー:服部有亨
キーレス、オートライトをはじめとする車の電装カスタマイズで有名なコムエンタープライズ(CEP)で製品開発を担当。車の電装、プログラミングの双方に長けている。配線図大好き。●コムエンタープライズ TEL 079-230-2323 住所:兵庫県姫路市大津区天神町2-78
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