電装DIYの知識
カプラーオンとは? そもそも車のカプラーってなに?
- 1
- 2
カプラーオンは、取り付けがラク。車の電装DIYで、そのメリットは大きい。しかしカプラーオン取り付けの特長は、それだけではない。
カプラーオンをウリにする製品は、何がメリットなのか?
■電装ユニットAは、4000円
■電装ユニットBは、7000円
「電装ユニットB」はお値段高めですが、「カプラーオン取り付け可能」と書かれています。この場合、どちらを買うのが正解でしょうか?
-
というわけで、今日のテーマは「カプラーオン製品」VS「カプラーオンではない製品」です。
●レポーター:イルミちゃん
-
戦わせるんだ。
でもそんなの、カプラーオンの勝ちに決まって……●アドバイザー:DENKUL 岡本研究員
-
近ごろの岡本研究員は、「カプラーオン、カプラーオン」って連呼している気がするんですが……
-
デンクルの場合、ブランド全体としてカプラーオンがコダワリですからね。
-
カプラーオンって、そんなにいいものなんでしょうか?
-
……ム。
-
だって、取り付けカンタンなのは分かるけど、付いてしまえば同じでは??
-
どうやら、まだカプラーオンの良さが100%分かっていませんね。それでは初心者向きに、「カプラーオン」を解説していきましょう。
そもそも自動車のカプラーってなに?
-
カプラーオンの前に、カプラーの説明から。そもそも、「カプラーってなに?」
-
カプラーとは、純正配線の途中に使われている脱着式のコネクターのことですね。
-
車の配線の要所・要所で、このようにカプラーが使われています。
-
あちこち脱着可能になっているんですね。
-
そうです、そうです。
-
それはなぜ?
-
車は、さまざまな部品の組み合わせで出来ています。運転席の前を見ても、メーターがあって、ステアリングがあって、シフトノブがあって……と全部別々の部品です。
-
車は部品の集合体ですね。
-
そこで、それぞれを配線でつなぐ必要がある。車両にはコンピューターが搭載されていて、そのコンピューターと各部品が配線でつながっているのですよ。
-
フムフム。
-
しかし、各部品に対して配線を直結してしまったら、部品が壊れて修理する時などに外せなくなってしまいます。
-
部品の交換とか修理ができませんね。
-
だから、配線の途中に抜き差しできるコネクターが使われているのです。これがカプラーの役割ですね。
-
なるほど。
-
カプラーには、いろいろな形、いろいろなピン数(配線の本数)のものがありますよ(↓)
カプラーオン取り付けのメリット
-
さて、ここからが本題。後付け電装品の「カプラーオン」とは、何を意味しているのか。
-
純正配線の途中にカプラーが使われている仕組みを利用して、後付けの電装品を取り付けできるということですよ。
-
どうやって?
-
純正のカプラー形状に合わせたカプラーが付いていて、付け替えたり、割り込ませたりできるようになっています。
-
改めて、カプラーオン取り付けの良い点についてですが……
-
メリットはいろいろありますよ。まず第一に、取り付けのカンタンさです。
-
カポッと、差し込むだけだから。
-
もっと言うと、「誰が付けても同じ結果になる」のが重要ですね。
-
普通は同じ結果にならない?
-
カプラーオンではない電装品は、ようするに配線を1本ずつ接続していく作業になりますよね。
-
電源取り出ししたり、とか。
-
1本1本接続するわけですから、接続する線を間違えたり、接触不良を起こしたり……などの問題が起こる可能性もありますよね。
-
……カプラーオンだと、そのような問題が起こらない?
-
基本的に起きませんね。
-
カプラーを逆向きに差し込むかもしれない……とか。
-
逆向きには、差し込めない形状なんです。
-
でも、カプラーだってつなぎ間違える可能性はあるのでは? たまたまそばに同じ形状のカプラーがあれば……
-
そういうことが起きないように、車のカプラーって近所に同形状のカプラーが存在しないようになっているんですよ。よく出来ているんです。
-
ほー。
-
例えば、シート下のカプラーと、テールランプ裏のカプラーが同一形状だったりすることはありますよ。でもそれは離れた場所だから、という前提でそうなっている。
-
なるほどー。
-
そのへんは、自動車の純正がよく出来ているんですね。
-
ということは、あるカプラーにつなげるように作ってある後付け電装品の場合……
-
結果的に、差せるようにしか差せないから、間違えようがないのです。これは大きなメリットだと思います。
純正配線を加工したり傷つけたりしなくて済む
-
あと、電装品を付けるために純正配線を切ったり、エレクトロタップで被覆に傷付けたりするのに抵抗を感じる人は多い。新車で車を買った人などは特に。
-
あー。
そういう声は聞きますね。 -
エレクトロタップを使っても、外した後ビニールテープで保護しておけば問題はないんです。それでも、気持ち的に「あー車の配線に傷ついたな〜」とか思うわけですよ。
-
新車だとなおさらですね。
-
カプラーオンは、そういった配線加工をしないので、製品を外せば完全に純正の状態に戻る。これも大きなメリットと言えます。
エレクトロタップを外すと、配線の被覆が剥けている(↑)。ショートを防ぐために、なんらかの保護をしておこう。
カプラーオンのデメリットは?
-
なんか、岡本研究員のお話を聞いていると、カプラーオンにはメリットしかないように聞こえますけど……
-
うーん。実際、取り付け面ではメリットしかないと思いますよ。
-
そうは言っても、デメリットもありますよね?
-
強いて挙げると、カプラーのコストがあるので、バラ線でつなぐ製品よりは価格が上がる面は出てきますよね。
-
それと、車種ごとにカプラー事情は全然違う。カプラーオンで製品を開発するということは、つまり車種専用設計になります。
-
それはユーザーにとってはメリットですよね?
-
そうですね。ユーザー側にとってはメリットです。取り付け説明書も車種専用のものが用意できるから、ますます取り付けしやすくなります。
-
ただ、メーカー側にとっては、在庫管理なども複雑になるので、やっぱりコスト増の要因にはなりますね。
-
いろいろなコスト増が、ユーザーには値段で跳ね返ってくるってこと?
-
それはメーカー毎の戦略や考え方もあるので、なんとも言えませんが……同じ会社が、同じ機能の製品を作って、車種専用設計のカプラーオンと汎用品を両方出すとしたら、カプラーオンのほうが値段は高くなるでしょうね。
-
なーるほど。
それは確かに。
当たり前だが、切りっぱなしの配線のほうがコストは安い。
カプラーオンにこだわるデンクルの製品は、どれもが車種専用設計となっている。
DIY Laboアドバイザー:岡本 亮
「カプラーオンで簡単に取り付けできる」をテーマにした電装品を開発するDENKUL(デンクル)代表。車の電装、プログラミングの双方に長けている。工具大好き。●DENKUL(デンクル) http://denkul.jp/