熱で殻割りできないライトの開け方【第4回】
溶着タイプのヘッドライト殻割り╱最後の難関
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溶着タイプのヘッドライトは、刃を一周させただけではまず開くことはないです。
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ホント、Mな森田研究員にピッタリな作業ですね……。
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超音波カッターは振動で溶かしながら切っています。で、溶けた樹脂同士が再びくっついてしまう部分が、どうしても出てきます。
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あらま。
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そして切れていないところがあるのに、無理矢理レンズを開けにいくと割れます。
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どうするんですか?
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ヘラなどを使って、切れていない場所を調べていきます。
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太すぎるヘラを使うと、テンションがかかってレンズが割れてしまう。薄っぺらいヘラを使いましょう。
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このヘラでレンズを割ったら……シャレにならない。
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黒くなっているところは、熱がかかりすぎて溶けて再溶着した部分。なので、もう一度切る必要があります。
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なお、間違ってもヘラでこじったりしてはいけません! ヘラで開けるわけじゃないです。
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ヘラで「えい!」ってやりたくなるのは罠ですね。
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ヘラが通らない部分を見つけたら、超音波カッターで切ります。
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ちなみに、ちょっとだけくっついている部分を超音波カッターで切るときが一番危ないので要注意!!
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え?
そうなんですか? -
なぜなら溶着している部分が切れた瞬間に、勢いあまって刃が飛びやすいからです。
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そういうことか〜。
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しっかり脇を締めて、刃が余計な方向に動かないように身を固めて切りましょう。
ヘラを入れて調べる
溶けてくっついて部分
切るのはあくまでも超音波カッター
境界が切れていても、開かないケース
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ハリアーの場合の話なんですが、周囲は全部キレイに切れたあとも、実はそれだけでは殻割りできないんです。
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切れてるのに開かない? どういうことですか?
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少し奥の部分で、レンズ側のインナーとハウジングがツメでくっついている部分があるんです。
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内部でまだつながっているところがあるのか〜。
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全周完全に切れているのに、なぜか開かない、という場合はこういう事態も疑いましょう。
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では、また超音波カッターで……、
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いや、内部なので超音波カッターは届きません。大型のハサミなどを使うしかないと思います。
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溶着タイプのヘッドライトは、開ける前提の作りではない。だからこういう箇所もあります。
切れているのに、開かない謎
内部でインナーとハウジングが固定されている
隙間からハサミを入れてツメを切る
切ったツメの痕がコレ
ついにレンズとハウジングが分離!
パカッ
配線がつながっているのでコネクターを抜く
今度こそついに、溶着タイプのヘッドライトが殻割りできました!
この記事の実践アドバイザー
球屋・田中宏信サン。森田研究員に輪をかけたドM。働き者。
DIY Laboアドバイザー:森田広樹
LED加工専門店・球屋代表。アクリルづかいを筆頭に、最先端のライト加工技の探求者。実際にお客さんの10台中9台はアクリル加工をする、というほどのエキスパートだ。派手さよりも「完成度と質感」を重視。デザイン性の高さでも全国屈指。
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