熱で殻割りできないライトの開け方【第4回】
溶着タイプのヘッドライト殻割り╱最終工程
熱で分解できない、溶着タイプのヘッドライトの殻割りの最終工程。超音波カッターで切り進めるうち、切れ味が悪くなったら惜しまずに刃を替えること。なおライトには多様な形状があるが、凹みがあって2重レンズっぽくなっている部分の切り方のコツも紹介。
超音波カッターの刃は惜しまずに交換
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超音波カッターを使った殻割りも、ようやく決着が付きそうですね〜。
●レポーター:イルミちゃん
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今日こそは! 一気にゴールを目指しましょう!重たい話も、気持ち軽めで。
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……というふうに、焦ってやるのはよくないです。
●アドバイザー:球屋 森田研究員
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マイペースだなぁ。
進行管理の気持ちも知らないで。 -
殻割りで失敗しないコツは、とにかく焦らない。慌てない。時間なんていくらかかったっていいんです。
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今日も開かなかったらどうしよう。夜食はココイチのカレーにしようかな。
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今日はまず、超音波カッターの刃を替えましょう。
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あのぉ〜。わざとゆっくりやってませんか!? ドMなのに、Sっ気もあるからな。森田研究員。
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切れない刃で無理に切ると、超音波カッターに負荷がかかりすぎる。本当に注意が必要なんです。もう半分以上まで切っているし。
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だからって、なにもライトやテールを切ってる最中に交換しなくても……、
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いや、僕らはライト1個を切るのに、刃は2〜3枚は使っています。
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ほぉー。
そうなのかっ。 -
切れ味が悪くなると、力も必要になってくる。すると刃が滑って、ライト表面を傷つけるような事故の元にもなるんです。それに、切れたとしても断面も汚くなってしまう。
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確かに。ヘッドライトをキレイに殻割りするためには、刃を惜しんでいる場合ではない。
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そういうことですね。切れ味が悪くなってきたり、刃先がこぼれていたりしたらすぐ交換しましょう。
前回記事までに切った部分
途中で刃を交換するのがコツ
レンズが凹んでいるところの切り方
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さて、今日は最終段階としてグリル側の上ラインを切っていきますが、ハリアーの場合はここのレンズ形状が少しやっかいです。
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というと?
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レンズが凹んで、谷みたいになっているんですよ。こんな場合、外側から刃をいれても、内側まで刃が届かず、つながったままになります。
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ホントだ。
2重レンズみたいな状態になってますね。 -
こういうときは、超音波カッターの刃をナナメ上から当てて、内側を狙って切ります。
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どのみち内側を切らないといけないなら、外側を切る必要はないわけです。この切り方なら、V字の溝をシーリングで埋めれば防水できますしね。
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なるほど。
前回教わった防水を考えた切り方の応用ですね。 -
このあたりはず〜っと、刃をナナメに上から入れて谷の向こうを切っています。
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理想を言えば、なるべく谷の下を目がけて切ります。表面を手で触っても、断面が触れないくらい凹んだところを切れれば、防水の面では一番都合がいい。
この切り方では内側が切れない
凹んだレンズの内側に刃を当てる
内側だけを切っていく
そのまま内側のレンズだけを切り進む
途中で仕切りの壁があっても、そのまま切り進む
指で切り口が触れないのが理想
一周してもまだヘッドライトが開かない!?
超音波カッター、とうとうレンズを一周しました〜!
ついに一周した
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そうなんですけど……、
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いよいよ!
レンズが開きますっっっ!! -
いや、まだ開かないです。
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え、なんで?
……ナゼかはよくわからないけど、次ページへつづく。