殻割り(カラわり)だけをプロに頼むのはアリ?
その場合の工賃はいくら位かかるの?
分解のみなら球屋は2万円〜(税別)で対応しているらしいが…
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殻割りのやり方については前回の記事までで解説してきましたが、今日は読者の方からの質問です。
●レポーター:イルミちゃん
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はい。僕にお答えできることなら、なんなりと。
●アドバイザー:球屋 森田研究員
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「ヘッドライトの殻割りの工賃はいくら位でしょうか? また、殻割りだけをプロに依頼し、加工は自分でやりたいのですが、そういうのはアリでしょうか?」
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なるほど、なるほど。工賃は確かによく聞かれます。
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なんか高そうなイメージありますからねぇ。
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球屋の場合は、まずヘッドライト加工自体を注文して頂いているお客さんの場合で、殻割りと殻閉じをセットにした分解・組み立て工賃として3万円〜(税別)となっています。例外はあるものの、熱分解できる車種であればだいたいが3万円で受けています。
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ああ、そうか。殻割り(分解)だけでなく殻閉じ(組み立て)もセットになっているんだ。
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そうですね。だからこの分解組み立て工賃3万円というのは、殻閉じのときの防水処理なども含めた値段です。
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今回の質問は、あくまでも「殻割りだけ」をお願いするときの工賃なのですが、その場合はどうなんでしょう?
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その場合は、閉じる手間はかからないわけですから、2万円〜(税別)としています。これも熱分解できる車種での工賃ですが。
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ほほう。そんな料金設定があるってことはつまり「殻割りだけ」をお願いしてもいいということですね?
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もちろんOKですよ! ただ、商売抜きで「個人的なアドバイス」を言ってしまうと、「殻割りだけをプロに頼む」という手法はオススメしないです。
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出た! 商売っ気のない重たい話がまた出そうな予感。
開けるときだけのリスク回避はあまり意味がない!?
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そもそも、DIYユーザーの人が殻割りだけをプロに頼むっていうのは「リスク回避」が主な目的ですよね? きっと。
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まあ、開けるときにレンズを割ったらなんにもならないですから。実際のところ「ヘッドライト加工に興味はあるけど殻割りは敷居が高い」というユーザーは多いです。
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なるほど。でもヘッドライト加工のリスクが最大限に大きいのは「防水」、つまり「殻閉じ」のほうなんですよ。
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ムムム……。
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開けてあげることはできますが、加工をユーザーさん自身で行う場合、閉じるときは自分でやるしかないわけで……お金をかけたからってリスク回避にならないんですよ、けっきょく。
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……言われてみれば確かに。
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「入り口だけがリスク」っていうのならともかく、ライト加工をDIYでしようということ自体が全体的にけっこうなリスクを取る話ですからね。
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あの〜、だとすると「殻閉じ」のときはまた球屋に頼むっていうのは?
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それは無理です。「殻閉じ」は単独メニューでは受けてません。
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ほほう。何か理由がありそうですね。
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なぜかというと、「殻閉じ」は防水の問題がからんできます。
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球屋さんは防水にはとことんこだわってますもんね。
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もちろんです。どんなにキレイでカッコいいライトを作っても、水が入ったら意味ないですから。
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そう聞くとなおさら殻閉じ、お願いしたくなりますが。
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殻閉じの場合は、単に閉じればいいという話ではなく、「加工後に水が入らない」という保証まで含めての話になってきます。球屋のワンオフヘッドライト加工には水漏れについては6ヶ月の保証を付けています。
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そこまで保証してくれるのは安心感ありますねぇ。
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しかし今回のケースのように、加工自体を球屋でやっていない以上、当然ながら防水性はウチで保証できることではなくなります。水が入る要因はいろいろな場所にあるわけですから
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そっか、上手く殻閉じだけすればいいというほど単純ではないのか。
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もちろんです。たとえばイカリングの配線を通す穴にしたって、処理の仕方によっては水が入る原因になるわけですよ。
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なるほど。たとえ球屋で殻割り・殻閉じしてもらっても、間の加工内容によって水が入る可能性がある。でもそれなら、防水の保証無しで閉じる作業だけやってくれればいいのでは?
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でも、工賃を払ったのに水が入った……ではユーザーさんも納得できないでしょう。そういう難しい問題があるので、殻閉じは受けていないのです。
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なるほどね〜。
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というわけで、そういう事情を全部踏まえて考えると、「殻割りだけプロに頼む」では全体としてはあまりリスク回避になっていないわけです。
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実に考えさせられる重たい話でした。
DIY Laboアドバイザー:森田広樹
LED加工専門店・球屋代表。アクリルづかいを筆頭に、最先端のライト加工技の探求者。実際にお客さんの10台中9台はアクリル加工をする、というほどのエキスパートだ。派手さよりも「完成度と質感」を重視。デザイン性の高さでも全国屈指。
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