中古のリアアクスルを活用すれば、安くJ-LINEアクスルが買える
リアアクスル交換と言えばJ-LINE。高い溶接技術で、1本1本加工されるアイテムだ。しかし材料となる純正アクスルが高価なため、値段が高いのがネック。そんなJ-LINEリアアクスルを、中古を活用して安く手に入れる手段がある。
J-LINEリアアクスル「標準キット」と「現物加工」の違い
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今日は、少しでも安くリアアクスルキットを入手したいと考える人向けに、中古リアアクスルベースの加工について解説していきたいと思います。
●レポーター:イルミちゃん
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通常だと、J-LINEリアアクスルキットは新品の純正アクスルをベースに加工して作ります。
●アドバイザー:J-LINE 氏家研究員
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価格表の「標準キット」が、それに相当するんですね。
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「標準キット」は、もともとのリアアクスルとしての部品代も含まれている。
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そうですね。部品と加工がセットになった商品です。で、もう少し予算を抑えたい、という人向けに「現物加工」という方法もあります。
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それって、J-LINEリアアクスルを、安く手に入れる手段があるということ!?
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ハイ。純正アクスル自体をJ-LINEに送ってもらって、それを加工して、送り返すメニューです。
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つまり加工だけの費用になる!
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例えば30プリウスの場合。「標準キット」は15万5000円(税別)なのですが、「現物加工」だと8万4000円(税別)まで下がります。
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ホホウ。
ずいぶんと値段が違う! -
もともとリアアクスル自体が安い部品ではないので、けっこう差が出ます。車種によって差は変わりますけど。
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なるほど。
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ただ、現物を加工する……ということは、現車からリアアクスルを外して送る、ということになりますよね?
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ということは、リアアクスルを外した状態で、車を浮かせたまま放置するということになりますよね。
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走行不能どころから車を降ろせない。
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それができる環境っていうのは、お店でもなかなかないわけですよ。
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個人ユーザーなら言うまでもなく現実味がない……か。
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そうなんですよ。しばらく車をウマに載せたままガレージに置いておける、という環境のある人はごく少数です。
リアアクスルキット価格表は、JラインHPのリアアクスルキット解説ページで車種ごとに掲載されている。
アクスルはリアの車軸なので…
中古アクスルを落札してJ-LINE直送という手も
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そこで最近、多くなってきたのが、「中古リアアクスル」をベースにした「現物加工」というパターンなんです。
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第三のJ-LINEリアアクスルキット、的な。
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ネットにはリサイクル業者、解体屋が出した中古アクスルがたくさん出回っています。
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なるほど、なるほど。
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ネットオークション等で、中古アクスルを購入。そして送り先をJ-LINEにして、直送してくる人が増えたのです。
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このとき、ネットで買ったアクスルを一回自分の手元に送ってもらうと、それをまたJ-LINEに送るための送料がかさみますよね。
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アクスルは大きいから、送料も高そう。
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そうですね。目安ですけど、5000円位かかったりします(※サイズや業者にもよる)
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だからみんな、落札したアクスルをJ-LINEに直送するわけか!
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まあ、送料まで込みで考えても、新品ベースの標準キットよりはずいぶん安くなるケースが多いので。
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これはいい話を聞いたぞ。
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中古部品の相場は、だいたい新品の半値程度が目安なので、数万円単位で安くなる可能性は高いです。
こんな風に中古アクスルが送られてくる
✔ ひとくちメモ
中古部品の値段は需要と供給のバランスで変わるので、人気車種のアクスルなどは意外と高かったりもする。中古リアアクスル購入にはリスクもある
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ただし!
中古リアアクスルにはリスクもあります。 -
ムムム。
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けっきょく、中古で出回っているリアアクスルの大部分は、解体モノなわけですよ。
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あー、なるほど。
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車にリアアクスルが付いていても生かせないから、バラして部品として売られている。
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つまり当然、事故車なども多い。
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となると、事故状況によっては、リアアクスルもダメージを受けている場合も当然あるわけですよ。
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ウッ。
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ハッキリ曲がっていれば解体業者も売りに出さないでしょうけれど、誰も気づいていないレベルで曲がっている、というケースがある。
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加工しようとして、J-LINEがはじめて気づく……。
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そうです。アクスル加工をするための治具(※「じぐ」は加工を厳密に行うための位置決めの器具)に収まらない。治具は精度が高いから、そこで発覚するんです。
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J-LINEで加工して、直してもらえませんかねぇ?
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それが出来るケースと出来ないケースがあるんです。
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ダメな場合は?
どうなるんだろう?? -
「代替え品を送るから処分してほしい」……みたいな話になるケースが多いですね。
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でも、中古リアアクスルを買う時に、確認のしようがないですよねぇ。
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ネットオークションだと「ノークレーム」みたいな売り方が多いですからね〜。そういう意味ではリスクをともないます。
一見すると普通のリアアクスルに見えても……
中古リアアクスルをJ-LINEに送る上での注意点
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解体業者が車から外して流したリアアクスルは、だいたいがこういう状況(↓)です。
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ブレーキ周りなども付いている状態。バラすのも手間なので、車体から外したまま売られることが多いんです。
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なるほど。
だからいろいろ付いているのか。 -
で、J-LINEでアクスル加工する前に、いっしょに付いていたブレーキ周りなどは、基本的には再利用しない前提でバラします。
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まあ、普通はいらないですもんね。
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でも、もしもブレーキ周りなども欲しい、という場合は、それらを外した状態でアクスル単品を送ってもらう必要があります。
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つまり直送は不可能になるってことですね〜。
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そうですね。中古アクスルでの現物加工は、この点も注意してください。
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……というわけで、リスクもある。けれど、うまくいけばかなり安くJ-LINEリアアクスルキットを入手可能な方法とは言えそうです。
DIY Laboアドバイザー:氏家淳哉
リアアクスルキットで有名なJ-LINE(Jライン)。足まわり加工に長けたプロショップでもあるので、直接クルマを持ち込めば様々なワンオフ加工も依頼できる。深い知識・高い溶接技術は比類ない。●J-LINE TEL 022-367-7534 住所:宮城県多賀城市町前1-1-13
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