アンビエントライトが後付け加工できる車種と、そうでない車種の違い(後編)
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内装LEDカスタム・アンビエントライトの後付けが向いていない車種は、何が問題なのか。後付けできる・できないの判断はどこでするのか。LED加工専門店・球屋(ジャッジ厳しめ)で聞く。いまどきの車のドア内張り構造についても勉強になる。
アンビエントライトが後付け加工ができない車種・向いていない構造とは?
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「アンビエントライトが後付け加工できる車種と、そうでない車種の違い」の続き。
●アドバイザー:球屋 森田研究員
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純正でアンビエントライトがないレクサスRC後期に付けられた、ということは、純正では付いていない他車種でもできるのかどうか、気になるところです。
●DIYラボ:イルミちゃん
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球屋としても、デモカーを導入した車種には全部やりたいぐらいの気持ちではあります。
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ふむ。
実際のところは? -
できる車種・できない車種について、私の判断基準が少々厳しめなので、採用できない場合が圧倒的に多いです。
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やっぱりか。
それで、その判断基準とは? -
まず球屋では、お客さんの車を預かって施工しますので、車の預かり期間を考慮して「1~2日の施工時間で作れる」ものでないと、加工のメニュー化ができません。
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ふむ。
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さらに「数万円の費用で作れる」「後付け感がないように作れる(アクリルやLEDが見えない・加工痕が見えないなど)」といった点も、条件になってきます。
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確かに、工賃何十万円という世界だったら、できたとしても現実味がない。
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後付け感なく作れるウンヌンは、シーケンシャルウインカー加工でよく言っている「向いていない形状なら、やめたほうがいい(効果的ではない)」と同じですね。
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では、アンビエントライトの後付け加工に向いていない車種ってどんな車種?
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具体例を挙げると、50プリウスです。以前にデモカーでチャレンジはしたものの、けっきょく加工メニューにアンビエントライトを採用しませんでした。
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フムフム。
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それから最新の例を挙げると、現在デモカーを製作しているハイラックスも、アンビエントライトは断念しました。
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ハイラックスは内装がマックラ(↑)だから、アンビエントライトを後付けしたいところだと思われますが……NGなのか。
アンビエントライトの後付けに向かない、ドア内張り構造の問題
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アンビエントライトができない車種は、なにが問題点なのでしょうか?
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最近はドア内張りのパーツの組み方が、ビス留めではなく溶着になってきてるんですよ。
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溶着というのは……つまり、溶かしてくっつけてあるんですね。
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イメージ的には、ハンダで押しつぶしたような接着方法。これ(↓)はハイラックスのドア内張りです。
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本当だ。
無数に溶着された痕がありますね。 -
ドア内張りを分解するなら、これを外すことになります。でも溶着を外すと、付け直したときに強度不足になるのが問題なのです。
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しかし、テールランプだって分解して再溶着できるのが球屋ですけど?
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ドア内張りに使われているPPやPE素材は、接着自体が難しいんですよ。
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この場合は、元通り、あるいは元通りに近い強度を保てると思えないのです。
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むーん。
そうなのかぁ。 -
再溶着とか、ビスを付けるとか、いろいろなパターンを試しましたが、一時的には問題ないとしても、車の部品は走行中に振動を受け続けます。
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ふむ。
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さらには、アンビエントライトはドアに付けるので、ドア開閉のたびに負荷がかかります。なおさら強度面を意識したほうがいいのかなと思います。
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あ~、ドアは衝撃を受けますねぇ。
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バックドアにランプを仕込むときにも同じことが言えますが、運転席&助手席ドアは開閉頻度がバックドアの比じゃないですからね(;・∀・)
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考えてみると、内装でいちばんシビアな場所とも言えますね。
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ヘタに溶着を外して付け直すと、いずれはカタカタ異音が出る、という結果が目に見えている。
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……そういうことか。
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長期的には強度が期待できない以上は、精神衛生上もよろしくない、という結論です。こういう内部構造的な面も、できる車種・できない車種の判断材料になります。
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レクサスRC後期は、その点はどうだったのでしょう? それを言ったら、これ(↓)も新しい車種なんですけどね。
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レクサスRC後期の場合、アンビエントで光らせたい場所がビス留めでした。つまり、構造条件的にもOKだったんです。
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そうなんだ。
新型車にもいろいろパターンがあるのか。 -
なおかつ、加工しても(アクリルLEDが)見えないようにできそうだから、やってみたんです。
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なるほどね。
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ちなみに今回のレクサスRC後期の施工は、店のデモカーではなく、お客さんの車での初挑戦だったんですよ。
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ホー。
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今、お話したようなネガティブ要素もすべて事前にお客さんにお伝えしたところ、「それでも出来そうならやってほしい」とご要望をいただいたので、今回の成功事例にたどり着けたのです。
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お客さんのチャレンジ精神に助けられましたね。
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まさにそうなんです。前例のない車種については、今回のように理解あるお客さんがいなければできません。
DIY Laboアドバイザー:森田広樹
LED加工専門店・球屋代表。最先端かつデザイン性の高いライト加工技の探求者にして、アクリルづかいの若き老練者。純正風で分かりにくいまでにさり気ない、内装LEDイルミも精力的に提案。派手さより「完成度と質感」を重視する。
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