車種によって違うLEDリフレクター加工事情。ヤリスクロスは不利な例
LEDリフレクター加工とは、反射板のリフレクターにLEDを仕込んで光らせる技のこと。人気の高いメニューだが、リフレクター加工に不利な車種もある。その理由を、ヤリスクロスを例に解説する。
リフレクターの厚みは車種によりけりだが、ヤリスクロスは超薄型
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リアバンパーに付いているリフレクター(反射板)をLED加工して光らせる技が、いわゆるLEDリフレクター加工。
●DIYラボ:イルミちゃん
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球屋でも定番のLED加工メニューのひとつです。
●アドバイザー:球屋 森田研究員
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どんな車種でもできる、っていうのもいいですよね。
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そうなんですが、実際の加工事情は車種によっていろいろでして……
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ふむ。
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例を挙げると、現在、球屋で手がけているデモカーのヤリスクロスを例にすると、この位が限界かな、という印象
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その言い方だと、森田研究員的には納得いっていないみたいですが、何が問題なの?
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光量が出せないのです。ヤリスクロスの場合は。
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ほう。……今まで見てきた他車種のLEDリフレクター加工とは事情が違うと?
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そうですね。
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光量が出せない理由はなんなのでしょうか?
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リフレクター本体が薄いんです。ヤリスクロスのリフレクターってペラペラレベルの薄さなんですよ。
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ペラペラといっても、1センチ位の厚みはあるのでは?
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いやいやいや、そんなにありません。内部の空間は3ミリ前後ほど……そういうレベルの薄さなんです(測ったわけではないけど)。
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そんなに薄いところに、LEDを入れたのかッ!
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そうなんです。だけど、一般的なLED加工に使われる3528みたいなサイズのチップでは、全然入りませんよ。
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なるほど。
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もっと小さい……内装で使うような極小チップLEDしか入りません。
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だから光量が稼げない、ということか。
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光量が出せない、ということは、上方にあるテールランプの明るさに比べると、けっこう差が生じてしまいます。
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あー、そういうことになってきますね。
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リアバンパー側までくりぬいていいなら、何とでも加工できますけど、リフレクター単体で加工するという制限の中では、スペース的にかなり厳しい車種です。
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リフレクターの向こう側にも隙間はないものなんですね。
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そうですね。奥はリアバンパーの壁です。その壁まで切って、奥行きを確保してLED加工するなら、上方にあるテールランプ部と同じくらいの光量だって出せますけど。
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フムフム。
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しかし、そういう加工をしてしまったら、純正のリフレクターに戻せなくなります。
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ふむ。
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となると、そこまでの大加工を望む人って少ないと思うんですよ。
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……確かに。
✔ LEDチップのサイズはいろいろ。「チップLEDの種類と選び方」参照。
LEDリフレクター加工がオススメと言えるかどうかは車種による
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同じLEDリフレクター加工でも、少し前に手がけた80ハリアーではまったく事情が異なりました。
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どう違うんでしたっけ?
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80ハリアーではスペース的に余裕があったので、明るい3チップLEDを使って、アクリルまで仕込んで、面発光させることができました。
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こういうのは、奥行きスペースがある車種だから出来ていたんだ。
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そうそう。こういう加工をするなら、せめてリフレクターに1センチ位の厚みは欲しいのです。
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1センチって、そんなに贅沢な希望ではないように思えますが……それすら無い車種も多い?
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リフレクターの厚みは、車種によってバラバラですね。トヨタ車は汎用の場合も多くて、同じリフレクターがいろいろな車種で採用されていたりしますけど……ヤリスクロスは汎用ではなく、専用設計になっています。
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では、結論としてヤリスクロスのような超薄型LEDリフレクター加工は、あまり推しメニューとは言えない?
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う~ん。まあ、少なくとも今までの車種と同じトーンでは推せないとは思っています。
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正直な森田研究員ですからねぇ。
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できるかできないかで言われたら、できますけどね。……このへんのトーンの伝え方が難しくて、いつも苦労します。
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しかし暗くてもいいから、光らせたい、っていう人だっているでしょうから難しい。
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最終的にどのようにメニュー化して公開するかは、検討しているところです。
詳細は、球屋公式サイトの「ヤリスクロス・メニュー」で近々公開予定。
DIY Laboアドバイザー:森田広樹
LED加工専門店・球屋代表。最先端かつデザイン性の高いライト加工技の探求者にして、アクリルづかいの若き老練者。純正風で分かりにくいまでにさり気ない、内装LEDイルミも精力的に提案。派手さより「完成度と質感」を重視する。
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