電装DIYの知識
細線用電工ペンチは、普通の電工ペンチとどう違う?
細線用電工ペンチとは、その名の通り細線に端子をかしめる専用アイテム。一般的な電装DIYで使用頻度の高いギボシ端子、クワ型端子はかしめられないが、細線用のカプラー用端子などを扱う人には必要な工具。
細線をかしめる専用アイテムが細線用電工ペンチ
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電工ペンチというと、電装系をいじる人は下のような工具をイメージすると思いますが……
●レポーター:イルミちゃん
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実は、電工ペンチには「細線用電工ペンチ」というのも、あるんです。
●アドバイザー:エーモン 中塚研究員
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定番のエーモン製にも、普通の電工ペンチと、細線用の両方があるので、違いについて聞いてみました。
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細線用電工ペンチは、その名の通り細線用。スケアでいうと、0.3スケア以下の配線作業に特化しています。
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スケアとは、配線コードの太さのことですね。
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定番のギボシ端子などは0.5スケア以上の太さの配線が必要なので、通常の大きいタイプの電工ペンチを使います。
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「細線用電工ペンチ」は、ギボシ端子はかしめられない?
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できません。ボディアースによく使うクワ型端子や、丸型端子も同様に不可です。
※端子については「端子の種類と選び方」参照。
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ギボシ・クワ型・丸型にも使えない? では、細線用電工ペンチの出番はいったい……
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細線用のカプラー端子などを、かしめるのに使います。
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「28-22」と書かれたかしめ用の穴と、その隣の穴で、細線専用のカプラー用端子などをかしめることができます。
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「24-16」は、ほぼ圧着端子用の穴です。
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なるほど〜。
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それと先端のカッター部で、細線の被覆むきができるようになっています。
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0.1スケア(AWG26)、0.2スケア(AWG24)、0.3スケア(AWG22)にそれぞれ対応したカッターが付いています。
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被覆をむくカッターも、端子かしめも、完全に細線だけに特化しているんですね〜。
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ですから普通の電工ペンチと違って、必ずしも必須ではありません。
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けれど……細線には、普通の電工ペンチじゃダメなんでしょう?
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そうなんですが、例えば「接続コネクター」などを使えば、0.2スケアの細線が扱えますし、それならプライヤーで付けられます。
普通の電工ペンチ(エーモン製)
こんなのもある!
エーモンのエーモン細線用電工ペンチ(1431)
通常の電工ペンチは、0.5スケア以上の場面で使用
カプラーに使われている、細線用端子に使う
細線用端子かしめの穴
細線の被覆むき用カッター
細線をプライヤーでつなぐことは可能
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接続コネクターを使えば、そもそも電工ペンチを使わずに細線同士をつなげる。
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そのほうが、カンタンですしね。
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しかも接続コネクターは、0.5スケア線でも使えるんですよね。
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ハイ。両者が混在していてもつなげるから、便利なんですよ。
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ハッ!……では、もう大きい方の普通の電工ペンチもいらないのでは? 全部「接続コネクター」を使うことにして。
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いや、電装系をやるなら、普通の電工ペンチは必須ですよ。
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ムムム。……電工ペンチが売れなくなると困るから、そう言っているのでは?
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ギボシ端子は、まだまだ多くのパーツで使われています(※ヒューズ電源など)。それにクワ型端子のかしめには、普通の電工ペンチが必須ですので。
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では結論としては……普通には大きい電工ペンチを買えば十分。カプラー用端子などを扱う人が、追加で細線用電工ペンチを買えばいい?
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そういうことになりますね。
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ギボシ端子を付ける目的で、間違って「細線用電工ペンチ」を買わないように注意しましょう。
DIY Laboアドバイザー:中塚雅彦
カーDIY用品メーカー・エーモン広報担当で、エーモンの顔と言える人物。端子や配線コードの仕様など細かいところまで深い知識を持っているので、DIYラボでは「電装DIYのきほん」に関する記事を担当。中塚ハカセ、とも呼ばれている。
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