バッテリーのQ&A
インバーターを車のメインバッテリーと直結するときのリレー配線について
インバーターの直結先は、サブバッテリーが定番。しかしメインバッテリーを使いたい・さらにエンジン停止時には、バッテリーからの電気を遮断したい……という場合の配線方法。この用途でリレーが使えるが、注意点もある。
インバーターを(サブではなく)メインバッテリーと直結したい
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インバーターをメインバッテリーと直結したいという、読者の方からの質問です。
●レポーター:イルミちゃん
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まず、おさらい。インバーターとはAC100Vの家電製品を、車のDC12V電源で使えるようにする変換器です。
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通常ですと、サブバッテリーなどに直結して使いますね。
●アドバイザー:エーモン 中塚研究員
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ふむ。
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メインバッテリーに直結で使っているうちに、バッテリーが上がったら、帰れなくなるから……。
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しかし、ニコ カワイイさんがやりたいのは、メインバッテリーとインバーターの直結です。
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あくまでもエンジンオンの状態のときだけ、メインバッテリーに接続したインバーターを使えるようにしたいわけですね。
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エンジンオフのときには、回路を遮断するために4極リレー(1a接点リレー)を以下のように使いたい、とのこと。
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この場合は、ヒューズから取ったACC電源が流れると、メインバッテリーとインバーターの配線がつながり……
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エンジンオフで、リレーの接点が離れるので、回路が遮断されます。リレーの使い方・考え方としては、質問者の方の配線図で合ってますよ。
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へ-、こういう用途でリレーを使うのもアリなんだ。
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……ただし、問題があります。
■ 質問
インバーターの直結で、この施工が正しいのか教えてください。
定格500W╱瞬間最大1000Wのインバーターを、メインバッテリーに直接接続したいと考えています。サブバッテリーは使用しません。サブを使わない理由は、重量があり、常時搭載はしたくないためです。
(ポータブルバッテリーは別途使用します)
メインバッテリーに直結するにあたり、エンジン停止の際には、車のバッテリーからの電気を遮断(電源OFF)するシステムがほしいです。
(車のバッテリー上がりを防止するため)
4極リレーを使用すればできると思いますが、このような配線(↓)で、良いでしょうか?
質問者の方が書いて送ってくれた配線図
また、インバーターのマイナス線(アース)はボディアース接続すればよいでしょうか? それとも車のバッテリーのマイナス端子に接続するのでしょうか?
質問者╱ニコ カワイイさん
インバーターの消費電流は大きいので、リレーの容量が足りない!?
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問題?
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リレーに流れる電流量(アンペア数)が問題なのです。
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ニコ カワイイさんが使っているインバーターだと、定格500W╱最大1000Wって書いてあります。
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それをアンペアに換算すると、41アンペアもの電流が流れますね。最大出力はさらにその倍ですが。
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ちなみに、エーモンのリレーの最大使用可能電流って、何アンペアでしたっけ?
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容量の大きいタイプを使っても、30アンペアなんです。
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ぐは。
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30アンペアは、消費電力でいうと360W(12V時)までっていうことです。
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インバーターで使うには……足りない。
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インバーターの消費電力は一般的に、1000Wとかありますからね。付属配線も8スケアとか、かなり太いものが使われています。
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それをそのままリレーにつなぐのは、無理がある……。
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ハイ。
エーモンとしても想定外の使い方ですね。 -
でも、これが仮に、インバーターの消費電流がリレーの許容範囲内であれば問題ないってこと?
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そうですね。エーモンのリレーは最大30アンペアなんですが、世の中にはもっと大容量のリレーもあると思いますので。
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そっか! 大容量の4極リレー(1a接点リレー)を探せばいいのか。
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そういうことですね。
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それでは、もうひとつの質問。インバーターのマイナス側の配線は、ボディアースでOKでしょうか?
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はい。ボディアースするのも、バッテリーマイナス端子に直結するのも、同じです。
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ナルホド。つまり回答は、「リレーの最大容量次第」ということです。
消費電力(500W)÷電圧(12V)=電流(41.6A)
エーモンの1a接点リレー(3236)は、最大30アンペアまで対応。
バッ直にはメリットだけでなくデメリット(リスク)もある。そのあたりはDIYラボ〈動画部〉がYouTubeで解説しているので、ぜひ見てね。
DIY Laboアドバイザー:中塚雅彦
カーDIY用品メーカー・エーモン広報担当で、エーモンの顔と言える人物。端子や配線コードの仕様など細かいところまで深い知識を持っているので、DIYラボでは「電装DIYのきほん」に関する記事を担当。中塚ハカセ、とも呼ばれている。
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