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ルーメンに踊らされるより、ルーメンパーワット(lm/W)を見るべき
LEDバルブ業界では、ポジションLEDバルブに限らずルーメン競争が過熱しているが、この競争はユーザーに利益をもたらしていない。消費電力が高いバルブが高ルーメンになるのは当たり前の話であり、その作りはむしろ熱リスクが大きい。高ルーメンでも「壊れる」「溶ける」バルブなど、誰も求めない。競うべきは「発光効率」であり、ルーメンより「ルーメンパーワット(lm/W)」だ。
300ルーメンのLEDポジションバルブは溶けるか、溶けないか?
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「LEDポジションランプ裏事情。歪んだルーメン競争でバルブが溶ける」の続きです。
●レポーター:イルミちゃん
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前回は、いたずらにルーメン(明るさ)だけを追い求めると、放熱しきれずにバルブ自体が溶けてしまう問題についてお話しました。
●アドバイザー:IPF 市川研究員
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しかし、そう言うIPFだって、最新モデルは300ルーメンもの明るいLEDポジションバルブを販売しています。
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300よりもルーメン値の低いクラスのLEDポジションでさえ、「溶けた」という声は上がっています。
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そうなんですよね。
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300ルーメンは、溶けるっしょ?
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ルーメンだけでなく、もうひとつ注目してほしいのが消費電力です。
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消費電力?
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何ワット(W)っていう数字をよく見ますよね。
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ルーメンの次はワット数自慢?
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……言っておきますが、消費電力が上がれば、それだけ〈熱〉が増えるってことです。
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ん? それならワット数自慢なんて意味ないじゃん!
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……ですから、ここで言いたいのは、消費電力の低さ(W数の小ささ)なんですよ。
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ホー。
IPFのLEDポジションバルブ504W
ルーメンが高いほうが明るいが、消費電力は小さいに越したことはない
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IPFの最新型のポジションLEDバルブは、300ルーメンだと言いましたが……
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市場には2.5W、3Wなどのハイパワーなものがたくさんありますが……
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消費電力が大きいということは、それだけ発生する熱が多い、ということです。
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消費電力は小さくしたい。
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しかし、それなりに暗くなってしまってはダメですよね?
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……それはちょっと。
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そこで、IPFが重視するのはルーメンパーワット(lm/W)という指標です。
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ルーメン・パー・ワット? なにソレ?
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ようするに、1Wあたりの消費電力で、どれだけのルーメンが出せているかという数値です。
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あ~、なるほど。
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「ルーメン」がバルブ全体の明るさだとすると……
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ルーメンパーワットは、バルブの発光効率を示す数値なんですよ。
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では、ルーメンパーワットが高いってことは……
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明るさに対しての熱は、少ないってことになります。
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IPFのLEDポジションバルブだと、ルーメンパーワットはいくつ?
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166.7(lm/W)です。
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1Wあたりで、166ルーメン出せている、という意味か。
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ハイ。積分球で測った実測の「ルーメン」と「消費電力」を元に計算しています。
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ルーメンパーワットって、どう計算するの?
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それはカンタン。ルーメンパーワットは、「ルーメン」を「消費電力」で割り算すれば出ます。
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なるほどね~。
発光効率を示す数値があるとは。 -
単に明るいLEDポジションバルブを作ろうと思えば、大電流を流せばいいだけですが……
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でも、そのアプローチだと「ルーメン」も「消費電力」もいっしょに増える。ルーメンパーワットは上がらずに。
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そうなんです。そして消費電力に比例して、熱が増えることになります。
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うーむ。
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その結果、小さなLEDポジションバルブでは放熱しきれずに、限界を超えます。
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それが世間で起こっている、LEDポジションバルブが溶ける事件の真相…。
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本当はいかに消費電力を抑えながら、明るく作るか、が重要なポイントなんです。
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それが数字で分かるのが、ルーメンパーワットってことね。
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市場ではどうしても「ルーメン」に目が行きがちですが、IPFとしては「ルーメンパーワット」のほうを重視しています。
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ルーメンに踊らされるより、ルーメンパーワットを見るべきですね。いいこと聞いた♪
ひとつ重要なポイントとして、消費電力はたったの1.8Wしかないんです
✔ ルーメンはバルブが発する光の量。ルーメンの基礎知識は「ルーメンの正体を知らないと、LEDバルブ選びで失敗する!?」参照。
ルーメンを測る積分球。
✔ IPFのLEDポジションバルブの場合は、300ルーメンで1.8Wなので…
300(lm)÷1.8(W)=166.7(lm/W)
※なお、この数値は、市場においては群を抜いて高い。
社外品のLEDヘッドライトバルブを選ぶときの重要な注意点についてはDIYラボ〈動画部〉がYouTubeでも解説しています。
DIY Laboアドバイザー:市川哲弘
LEDやHIDバルブでお馴染みのIPF企画開発部に所属し、バルブ博士と言ってもいいほど自動車の電球に詳しい。法規や車検についても明るく、アフターパーツマーケットにとって重要な話を語ってくれる。
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