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T10ウェッジ球 取り付け時の注意点。脱落を防ぐために、できること
T10ウェッジ球の取り付け時の注意点……というより、悲劇かもしれない話。ごく普通に正しい手順でLEDバルブ交換をしたつもりなのに、T10ウェッジ球の脱落事故は起こりうる。それは一体どういうことなのか。
抜き差しするだけのT10ウェッジ球取り付けで、なぜ注意が必要なのか?
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「ヘッドライトのH4バルブが外れない! コネクターの外し方は?」の続きとして、T10ウェッジ球の取り付け時の注意点についても触れておきます。
●アドバイザー:IPF 市川研究員
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T10ウェッジ球?
●レポーター:イルミちゃん
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ポジションランプ・ナンバー灯・ラゲッジランプ・カーテシランプの他、車種によってはルームランプにも使われる定番のバルブタイプですね。
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T10ウェッジ球の取り付けって、難しかったっけ?
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取り付け時は「電球をソケットから抜いて、LEDバルブを差し込み直す」。これだけなんで、カンタンですが……
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H4バルブみたいに、ツメロックで抜けないなんてことは起こらない。
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そうなんですけど……T10ウェッジ球だと、付けたバルブがゆるくてガタつくという問題が起こることがあります。
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まあ、固くて抜けないよりはマシ?
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いやいや、ゆるいってことは、脱落の危険があるってことですよ?
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ポジションLEDバルブが、ソケットから抜けたら……?
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ヘッドライトのレンズ内に落ちてしまうので、大惨事なんですよ。
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あわわ。
なんでそんなことに…… -
この問題、T10ウェッジ球の取り付けではよくある話なので、要注意なんです。
T10ウェッジ球の脱落事故。よくある原因が「端子の開き」
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抜き差しするだけで脱着がカンタンなのはいいけど、抜けるのは困る。
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原因としては、ソケット側の端子が開いてしまっているケースがよくあります。
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T10ウェッジ球は、バルブ側の端子をソケット側の端子に差し込んでいるだけなので、端子圧が弱ければ抜ける可能性がある。
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ロック機構がないから……か。
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問題は「なぜ、ソケット側の端子が開いたか」です。
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……?
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本来、端子というのはものすごい精度が求められる部品なんですよね。
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ふむ。
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コンマ5ミリの精度の差によって、固かったり、ゆるかったりするんです。
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それで?
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だからちょっとでも品質が悪いものが使われると、それによって問題が起こりやすい部分ではあります。
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では、ソケット側の端子が開いてしまった理由とは?
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バルブ側の端子の精度に問題があったケースが、多々あります。
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電球クンが悪いのか。
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というか、直前まで付けていたLEDウェッジ球に原因があることが多いです。
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原因はIPFかッ!!
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話は最後まで聞きましょうね。
外れないように分厚い基板が使われることで、かえって脱落事故が起こる、負のスパイラル現象
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脱落問題がなぜT10ウェッジ球で起こりやすいのか?
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そもそもの原因は、端子部分が純正よりかなり厚くなっているLEDのウェッジ球が多く出回っているためなんです。
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……端子のところが分厚い?
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特にソケットベース無しで、基板そのものがムキ出しになっていて、それを直接ソケットに差し込むタイプに多い話です。
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なんのこと?
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LEDのT10ウェッジ球には、ソケット付きのものと、基板ムキ出しタイプのものがあるのです。
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IPFの場合はほとんどソケット付きですが、基板ムキ出しタイプもあります。
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ふむふむ。
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ここで基板の厚みが分厚すぎると、それをムリヤリ差し込むことで、ソケット側の端子が開いてしまう、という問題が起こります。
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なんで! 厚い基板を使うんだ。
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単に基板を差すだけだと、抜けてしまう可能性があるわけですよ。
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……はあ。
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そのため「抜けない」を重視して、基板に厚みを持たせ、それを強くハメ込むことで保持していたりするんです。
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……強引な手法ですね。
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しかし、いつの日か、そのLEDバルブが切れて、別のLEDバルブを買い直したとしましょう。
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……。
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次のLEDバルブを差し込むときには、ソケット側の端子がブカブカになっていて、脱落や接触不良が起こる、という図式です。
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なんだ、このLEDバルブ、ブカブカじゃないか!
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ところがその原因は、その前に差していたバルブにある。これ、よくある話です。
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えん罪につながりかねない問題だなァ。真犯人は別にいるっていう。
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そうなんですよ。
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しかし、そう言うわりにはIPFだって、一部モデルは基板ムキ出しタイプなんでしょ?
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基板ムキ出しでも、端子圧が適正なら問題はないんです。IPFでは脱落防止のために基板を厚くするというようなことはしてません。
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挙げ足を取るようですが……それはつまり、抜けやすいって話になりませんか?
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ソケットに対して適正に合わせるためのゴムのリングを作って、そこで保持しているから大丈夫です。
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基板ムキ出しタイプがダメ、っていう単純な話ではないんですね。
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もちろんそうです。逆に言うと、ソケット付きLEDバルブであっても、ソケット部分や端子部の品質が悪ければ同じことが起こります。
ソケット付きのT10
ソケットにささるベース部分が樹脂で形作られている。
基板ムキ出しのT10
IPFのCOB LEDルームランプの105Rや107Rが、基板ムキ出しタイプのT10ウェッジ球
前に使っていた基板が厚いLEDバルブ
普通に装着できたように思われていたが、ソケット端子を広げていた | 真犯人 |
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その後、正常サイズのバルブに交換
装着しようとしたら、ブカブカ! | えん罪 |
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T10ウェッジ球取り付け時の「端子調整」ってなんのこと?
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解決策があるの?
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そういうときは、開いた端子を起こして、元のように戻せばいいんですよ。
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どうやって?
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マイナスドライバーの細いもの、精密ドライバーみたいなものを突っ込んで起こすんです。
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ただし、この作業をするときは必ずバッテリーのマイナス端子は外した状態で行います。
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バッテリーがつながった状態で、ソケットの端子をいじると、ショートさせる危険が大です。
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ショート対策としては、バッテリーのマイナス端子を外しておくしかない。
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なお、「端子が開いているときは端子の調整をしてください」というのは説明書にも書いてあったりします。
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それだけ、よくあることなんですね。つまり。
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ですね。端子が開いている状態でT10ウェッジ球を取り付けると、走行しているうちに振動でLEDバルブが外れる(ライト内に落下する)可能性があるし……
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それはイヤだ。
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あるいは、脱落しなくても、接触したり接触しなかったりをバチバチと繰り返し、それによってバルブが溶けたりすることもあります。
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そもそもの間違いは、分厚くて固いLEDバルブを無理矢理取り付けたところから始まっています。今日は悲しい話でしたね。
ここからは対応策。ソケット側の端子がブカブカになってしまったら、どうすればいいか
マイナスドライバーなどを介して、プラス端子とマイナス端子の両方に触れた瞬間に、ショートする。
社外品のLEDヘッドライトバルブを選ぶときの重要な注意点についてはDIYラボ〈動画部〉がYouTubeでも解説しています。
DIY Laboアドバイザー:市川哲弘
LEDやHIDバルブでお馴染みのIPF企画開発部に所属し、バルブ博士と言ってもいいほど自動車の電球に詳しい。法規や車検についても明るく、アフターパーツマーケットにとって重要な話を語ってくれる。
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