熱では殻割りできないヘッドライト・テールランプの開け方【第1回】
超音波カッターの使い方を解説。コツをつかめばキレイに殻割りができます!
超音波カッターで殻割りするコツ
超音波カッターで切り始める前の心得
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障害物もなくなったし、いよいよレンズとハウジングの境界が切れますね。
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ちなみに今回はヘッドライトですが、テールランプなどで、もしも切るラインが表から見えるラインだったとしたら、途中で刃を止めないことが重要です。
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……は、はい?
途中で休まないとか、M過ぎませんか? -
刃を止めると、それが痕として残るからですよ。 Mだから休まない、という話ではありませんよ。
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イヤ〜なプレッシャーかけてくるなァ。
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切り始めるポイントは、カド付近から、がオススメ。
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それはなぜですか?
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カドの部分は、どこから切っていたとしても超音波カッターの刃を止めないといけない場所なので。
カド付近から切りはじめ
切断面が汚くならない切り方
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森田研究員! いま切っているラインは、ヘッドライトの下側ですよね。
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そうです。車に付けたときにはバンパーがカブって、完全に見えなくなるラインです。
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ホッ。
それなら途中で止まっても、ダメではないんですね。 -
まあ、そうですね。ただ、極力止まらずに切るほうが、再接着はしやすい。何回も刃を入れると、段差ができますからね。そういう意味では、刃を止める回数は極力少ないほうがいいですね。
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あくまでもM路線をつらぬくわけですね。
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刃の振動で樹脂を溶かしながら切るので、切り口が白っぽく濁るのが分かりますか?
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ホントだ。
切ったところが分かりますね。 -
これは溶かし切っている以上は仕方ないんですが、びゅーっと1回で切れば、ガタガタができず、切り口がキレイに見えます。
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止まらずに切れば、濁りが均一になるわけだ。
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そういうことですね。休み休みやると、そのたびに痕が付いたり、段差が出来たりするのです。
刃を止めずに切り進む
止まらずに切るほうがキレイ
一定速度で切ると切断面が美しい
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超音波カッターで切っていくときは、早すぎても遅すぎてもダメ。遅すぎると切ったラインが熱でもう一度くっついてしまいます。
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速すぎると?
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レンズが割れてしまいます。切るというより、刃で割きに行くような力が加わってしまうためです。
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力で切るんではなく、あくまでも振動で自然に切っていくんだ。
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そういうことです。
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さっき実際にやっているところを見ていたら、スピードは1秒で4〜5センチ進んでいるぐらいの感覚でしたが。
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それは場所によっても変わります。ハウジング越しに切る場面では、ゆっくりめにしか切れないし。
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最適な速度といっても、基準があるわけではないのか。
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そうですね。最適なスピードは、刃の太さとか状況によっても変わるので……、
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実践で身につけるしかないですね。
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あとは、一定のスピードで切ることも大切。超音波カッターは切るスピードが変化すると、切断面がモヤっとした痕で残ってしまいます。
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一定の速度で、止まらずに切るのが理想。そうすると均一な乳白色の断面に。キレイに切れます♫
スーっと一定速度で切ると超キレイ
刃の深さを一定に保って切る
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レンズを切るときは、刃をどこまで入れればいいんですか?
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1〜2ミリ、刃が向こう側に出るくらいで切ってます。入れすぎたら余計なところに当たるので注意。
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それ、恐い。
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刃の深さを一定に保つためには、小指をあててガイドにするとか、そういう切り方もあります。どういう風にやるかは、各自のやりやすさでしょうけれど。
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なるほど。
こんなやり方で深さをコントロールしていたのか!
この指をガイドにしていたもよう
途中で刃を止めるときのコツ
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それにしても途中で刃を止めないとか、速度は一定とか、プレッシャーが大きすぎてキンチョーするなぁ。トイレ行きたくなったらどうしよう。
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まあ、そこは、なるべくってことで、絶対ではないです。止めるなら止めるで、コツがありますヨ。
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それを先に言ってくださいよ、もう!
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超音波カッターを止めるときは、切り進みながら刃を抜く。これがコツ。
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止めてから刃を抜く、ではダメなんだ。
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止めて抜くと段差ができます。
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ムム。
なるほど。 -
で、再開するときはちょっと手前ぐらいから、振動させながら刃を入れていきます。
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こういう止め方╱入り方をすれば、刃を止めた痕が残りにくくなります。
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これが分かっていれば安心です〜!
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中に刃を入れたまま止めない。超音波カッターはそこが重要です。
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なんか超音波カッターの使い方が分かってきた! やれそうな気がする。
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それは良かった。
切りながら刃を浮かせてくる
すでに切ってあるところから刃を入れはじめ…
自然に新規ゾーンへ合流していく