殻割りが変わる!? レクサスUXヘッドライトに見る最新事情
ヘッドライト殻割りの近未来をうらなう最新レポート。殻割りが日常業務であるライト加工専門店〈球屋〉が、直近で殻割りしたのがレクサスUX。そこには、今までのヘッドライトには見受けられなかった、とある違いが見いだされた。
レクサスUXのヘッドライトを殻割りして分かったこと
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「レクサスUXのヘッドライトを加工者目線でレビュー」の続きです。
DIYラボ レポーター:イルミちゃん
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今日はヘッドライトの殻割りに関する、新しい報告があります。
●アドバイザー:球屋 森田研究員
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もしかして、レクサスUXから殻割りの難易度が急上昇したとか。……重たい話が始まる気配?
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いやいや。
ヘッドライト自体は、普通に熱で開くタイプなんです。 -
ふむ。
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というか、難易度なら「今までの熱分解ヘッドライトより簡単に開く」といってもいいかも知れません。
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ホー。
なにが違うんでしょう? -
一般的にヘッドライトの殻割りは、「段ボールにヘッドライトを入れて」「ドライヤーの熱をかけて」ってやるじゃないですか。
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段ボールは定番ですね。
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しかし、そこまで熱をかけなくても開くんですよ。
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ホホウ。
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以前のヘッドライトのような、熱で伸びるネバネバのシーリングではなくなっているのです。
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これよりもっとゴムっぽい(※)。言ってみれば、パッキンに近いものが使われているんです。
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へー。
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これはレクサスUXに限らずで、レクサスNXもそうだし、最近では22系の新型クラウンも同じでした。
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そういうヘッドライトは、どうやって開けるの?
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熱を加えるという点は同じなんですが、境界線をヒートガンなどで温めながらの作業で十分開けられます。
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そのゴムのシールは、閉じるときに再利用もできる。シーリング剤を付け足す、という作業も不要です。
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確かC-HRは熱では開かずに、超音波カッターで切るしかなったけど……。
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そうですね。C-HRやハリアーは切るパターンでしたけど、それに比べたらはるかに開けやすい。
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それなら、単に良いニュースでは?
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問題は、ヘッドライトを殻割りしたあと、なんですよ。
一般的な殻割りのイメージ例
以前のシーリングはこんな感じ
ネバ〜
※ 再利用できないタイプのゴムシーリングもあるが、それとも違う。
✔ そもそも球屋では、殻割りに段ボールは使わない。ヒートガンで開ける方法については、「ヘッドライトの殻割り方法」で解説している。
レクサスUXは、レンズとインナーが溶着されている初めてのケースか!?
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殻割りはやりやすい。しかし、レンズとインナーは溶着されているんです。
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へ?
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いままではネジで外せたところが、溶着になっているんです。これは初めて見るパターンですね。
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ということは、どういうこと?
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この溶着を外さないと、どのパーツも取れません。一番最後に大きいカバーをばんっとはめて溶着した、みたいな作りなんで。
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フタされた、みたいな感じか。
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なんで???って感じですよね。正直……意図を感じるレベルです。
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その数本のネジの分だけ、軽量化したかったのかな。
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それはさすがにないでしょう。それを言うなら、最近のヘッドライトはアクリル等を多用していることで、むしろ重くなっています。
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確かに最近のヘッドライトは重い……。
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実はレクサスUXは、この点に限らず、内装も全体的にバラしづらくなっています。
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いじるのなんて、やめておきなよ。
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……っていう意図を本当に感じるレベルですね。
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しかしですねぇ、森田研究員。仮にそうだとしても、そもそもヘッドライトのレンズを殻割りするような人が、ここで諦めて引き返しますかね?
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引き返しませんよね。
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どうすれば、レンズとインナーを分離できるんですか?
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溶着ポイントを削ぐ、という作業が必要になります。
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それ、どこのことなんでしょう?
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下の写真は、ハウジングと分離した直後のレンズをオモテから見たところです。
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殻割りはされているけど、デイライトやウインカー等(インナー)はレンズ側にくっついてますね。
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これを裏側から見ると……
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ところどころに、溶着されているポイントがあります。
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今までだったら、ネジで留まっていた部分です。
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ウーム。
この部分は切るしかないか。 -
しかし、溶着ポイントをニッパーでパチンって切ったりすると、最悪の場合、レンズ側にパキってヒビがいきそうな気もするのでリスキーです。
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……レンズとくっついていますからね。
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リスク回避の意味では、超音波カッターでちょっとずつ削いでいくほうが確実ですね。
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以下、実際に削いでいるシーンです。
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こうやって、溶着ポイント自体をそぎ落としていく作業が必要です。
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それをやれば、結局レンズとインナーは分離できるんですよね。
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そうですね。
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もしかすると、今後は、こういうヘッドライトが増えるのかも知れません。
もうレンズは開けてしまった後だし
拡大して見ると…
DIY Laboアドバイザー:森田広樹
LED加工専門店・球屋代表。アクリルづかいを筆頭に、最先端のライト加工技の探求者。実際にお客さんの10台中9台はアクリル加工をする、というほどのエキスパートだ。派手さよりも「完成度と質感」を重視。デザイン性の高さでも全国屈指。
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