ローダウン車のオートレベライザー調整方法(ロッドをアジャストする仕組み)
オートレベライザー付きの車で起こる、光軸ズレを足回り側で調整する方法は2つ。リンクロッドを短くする(アジャスターロッド)か、またはブラケット側を変えて、固定位置をスライドさせる。どう違うのか、センサーの仕組みを理解すれば分かる。
オートレベライザーのロッドをアジャスト(調整)するってどういうこと?
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「ダウンサスや車高調を付けたら光軸調整が必要か?」の続きです。
●レポーター:イルミちゃん
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今日は、「足回りに付いている、ハイトセンサー(車高傾き検知)を純正状態に戻す」とはどういうことかを解説します。
●アドバイザー:J-LINE 氏家研究員
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そもそも、そのハイトセンサーはどこに付いているでしょうか?
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リアの足回りの、アームに付いています。ここでのモデル車はC-HRですが、どの車種でも似たようなものです。
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コレ(↓)がリア車高を検知しているセンサーです。
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このJ-LINEのC-HRには、すでにロッドアジャスト用のブラケットが付いているので、上の状態はローダウン対策済みの状態ですが……
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これがもしノーマルだとすると……
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ノーマルのブラケットは、こんな形状です(↓)
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純正の方は、真っ直ぐの形なんですね。
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形状は車種によっていろいろなんですが、C-HRの場合は真っ直ぐですね。
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仮にセンサー周りの部品はノーマルで、低車高にしたとすると……
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ブラケットもリンクロッドもノーマルだとすると、ブラケットはこういう角度になります。
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ウ〜ム。
だいぶ角度が変わってしまっている。 -
車高を落とすと、車体側(センサー本体)とアーム側(リンクロッド)の距離が近づくので、こうなるのです。
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なるほど。
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で、このブラケットの振り角度によって、車が自動的に光軸を下向きに調整しているんですね。
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つまり、この横棒の振り角を戻せばいいんですね。
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そういうことですね。J-LINEのアジャスターの場合は、リンクロッドの固定位置をスライドさせることで、それができます。
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リンクロッドの固定位置が上にスライドすれば、ブラケットの振り角が水平方向に戻せます。
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C-HRの例でいうと、上のような位置関係で、ほぼノーマルと同じような光軸状態に戻ります。
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な〜るほど。
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この補正を、リンクロッド側を短くすることでやるのか、または固定位置をスライドさせて行うのか。2つのやり方があるのです。
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リンクロッド側を短くするのが、いわゆる「オートレベライザーのアジャスターロッド」と呼ばれるパーツですね。
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ハイ。そして後者が、J-LINEの「ヘッドライトレベルアジャスター」ということです。
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話が分かってきました。
C-HRのリアのロアアーム
ブラケットの比較
こういう車高にすると…
こういう角度になる
写真はJ-LINE製が付いているが、ノーマルと同じポジションに戻した。
固定のネジをゆるめてスライドさせる
J-LINE製ヘッドライトレベルアジャスターのメリット
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ブラケット側で調整する利点は、今回のテストでやったように、純正位置に戻せることです。
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J-LINE製のブラケットは長穴になっていますが、C-HRでいうと一番下で固定したときにノーマルになるよう設計しているんです。
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そっか〜。
だからノーマル状態を再現できたんだ。 -
つまり、足回りをノーマルに戻すときは、純正位置で固定すれば、光軸もノーマル状態に戻ります。
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なるほどね!
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ブラケットの形状は車種によっていろいろなので、車種ごとに開発しているんですよ。
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確かに形状は、車種ごとにバラバラなんですね。
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形状も違うし、センサー側に付けるのか、アーム側に付けるのかも車種によって違うんです。
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え?
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今回のC-HR用でいうと、センサーにつながる棒(ブラケット)を交換しています。
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フムフム。
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例えば30アルファード用などはこういう形(↓)をしていて……
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30アルファードは、センサー側ではなくアーム側に付けるタイプになっています。
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どう違うんでしょう?
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やっていることは、結局同じです。ただ、どっちの方式を採用したほうが調整の作業性が良いか、という点を考えて設計しています。
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なるほど。そのへんも車種別専用設計ならでは、と言えそうですね。
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というわけで、リンクロッド交換とブラケット交換の違いを解説してきました。
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いずれにしても、極端に車高を下げるなら対策必須です。
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極端に車高を下げない人は、やらないでいいの?
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う〜ん、でも厳密に言うなら、ダウンサスレベルでもやったほうがいいですよ。
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ローダウン量に応じて、それなりズレている……というのがポイントですね。
✔ 車種の構造によっては、上にした時にノーマルポジションとなる場合もある。
✔ ラインナップはJ-LINEのヘッドライトレベルアジャスター解説ページ参照。
30アルファード用
✔ センサー側に付けるタイプをSS(センサーステー)タイプ、アーム側に付けるタイプをAS(アームステー)タイプと呼んで分類しているが、買う時に選ぶわけではなく、車種ごとにベストな方式をJ-LINE側で決めている。
DIY Laboアドバイザー:氏家淳哉
リアアクスルキットで有名なJ-LINE(Jライン)。足まわり加工に長けたプロショップでもあるので、直接クルマを持ち込めば様々なワンオフ加工も依頼できる。深い知識・高い溶接技術は比類ない。●J-LINE TEL 022-367-7534 住所:宮城県多賀城市町前1-1-13
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