ドレスアップの気になる話題
ハロゲンハイビームをLED化するときの注意点
純正LED&HIDヘッドライト仕様車が増えてきた。しかしLEDやHIDはロービームのみで、ハイビームはハロゲンバルブがいまだ主流だ。そこでハイビームだけ社外品でLED化するニーズがあるが、注意するべき点もある。
ハイビームはいまだハロゲンバルブが主流
-
最近のヘッドライトは純正でLEDだったりHIDだったりするケースが増えましたが、ハイビームは以前としてハロゲンが主流です。
●レポーター:イルミちゃん
-
四灯式ヘッドライトだと、ロービームがLEDまたはHID仕様、ハイビームがハロゲンバルブという組み合わせが多いですよね。
●アドバイザー:IPF 市川研究員
-
その場合は、ハイビームのほうだけ社外品でLED化することはできるのでしょうか?
-
もちろんできます。
-
ということは、以前に教わったハイビームのLED化方法が使えるんですね。
-
そうなんですが、(ロービームが)純正HID仕様車の場合は、注意点があります。
-
む?
-
バルブタイプとしては、上の記事で紹介したようにハイビームはHB3型が主流なんですが、HID仕様車はバルブ後部にカバーが付いているケースが多いんですよ。
-
ようは、バルブがヘッドライトの筐体内部に付くような格好になっているんです。
-
カバーを開けて交換すればいいのでは?
-
しかし、LEDヘッドライトバルブは後部にヒートシンク(放熱器)が付くので、ハロゲンバルブより後部が長くなります。そのせいで干渉してしまうんですよ。
-
カバーが……閉まらない!!
-
そうなんです。HB3に適合するLEDヘッドライトバルブなら必ず付く、とは限らない点に注意しましょう。
-
つまり、純正ハロゲンバルブがHB3だったとして、同じHB3タイプを選んだから付くはず、と思ったら装着不可ってことか。
-
実際のところ、IPFでも既存モデルのHB3・4型LEDヘッドライトバルブは、この理由で装着できない車種が多かったのです。
-
これはハイビームLED化の要注意点ですね。
-
そうなんです。ロービームがHID仕様の車については、全体的に言えることです。
カバー付きハロゲンハイビームをLED化する方法
-
IPFのLEDヘッドライトバルブの最新型モデル、X2シリーズの場合はどうなんでしょう?
-
X2シリーズもHB3/4タイプをラインナップしていますが、カバー付き車の場合は適合しないケースが多いです。
※IPFの適合表で確認。
-
それって純正HID仕様車のハイビームは、実質、LED化できないってこと?
-
……いや、この問題を解決するために作ったのが、後から追加したコンパクトタイプのLEDヘッドライトバルブなんですよ。
-
これはLEDを駆動するためのドライバーユニットを分離することでバルブ後部を小型化しています。
-
ということは、HID仕様車のカバー付きハイビームでも……
-
付けられる車種が増えました。
-
なるほど、そのためのコンパクトモデルか。
-
そうです。カバーに干渉しないLEDヘッドライトバルブにするには、小さくするしかないです。
-
しかし、そうするとデメリットも出てきそうですが…?
-
ハイ。普通に考えて、放熱面では不利になります。壊れないように安全性を持たせようとすると、出力を抑えた暗いLEDバルブしか作れません。
-
カバー付き→小さいバルブ→暗い、っていう図式?
-
逆に明るさを優先し、放熱性を考慮せず出力の高いバルブを作れば、早い段階で壊れてしまいます。
-
つまり、明るさを取るか、寿命を取るか。……どっちも欲しいんですけど。
-
そうなんですよ。IPFとしても、作るからにはどっちも譲れない。
-
フムフム。それで?
-
両方の問題をクリアするために、まずドライバーユニットを分離してヒートシンクを小型化しました。
-
さらに小型ヒートシンクに冷却ファンも内蔵し、小さいながらも放熱性を向上させています。
-
それなら、出力を出せる?
-
そうです。その結果が、左右合計4600ルーメンの明るさなのです。
-
カバー付きハイビームで、明るさと長寿命を両立できるようになった、ということですね。
-
その代わり、別体構造にしたドライバーユニットは、カバー内に設置場所はないので、ヘッドライトの外に設置するしかありません。
-
その線を通すために、カバーには穴開け加工が必要です。
-
そういえば別体ということは、そうなるか。
-
ちなみに、カバー付き車の場合はHID化する場合も穴開け加工は必要なので、それと同じ事情ですね。
-
とはいっても、HIDのような取り付けの手間はありませんよね?
-
そうですね、穴を開けて線を通して、ドライバーユニットをどこかに固定するだけです。
-
カバー無し車に比べると一手間あるとはいえ、十分DIYでできるレベルと言えそうです。
-
強いてデメリット(?)を挙げれば、純正HID車のハイビームをLED化する場合は、そもそもHIDとLEDでは光の波長形成が違うので、同じ色温度で揃えても色がピッタリ揃うわけではない、というあたりでしょうか。
-
ロービームがHIDで、ハイビームがLED、という組み合わせになる以上は、仕方ない問題ですね。
HIDに匹敵する明るさの、LEDヘッドライトバルブ・X2シリーズ
X2シリーズのコンパクトモデル
✔ ひとくちメモ
通常版のX2シリーズは左右合計で5000ルーメンなので、明るさとしては片側で200ルーメン減に留まっている。
下部にドライバーユニットが2つ見えるが、1個はフォグLEDバルブ用。
社外品のLEDヘッドライトバルブを選ぶときの重要な注意点についてはDIYラボ〈動画部〉がYouTubeでも解説しています。
DIY Laboアドバイザー:市川哲弘
LEDやHIDバルブでお馴染みのIPF企画開発部に所属し、バルブ博士と言ってもいいほど自動車の電球に詳しい。法規や車検についても明るく、アフターパーツマーケットにとって重要な話を語ってくれる。
関連記事