アースを疑え! 第6章
アーシングの注意点
純正アースケーブルの強化はDIYで簡単にできるが、重要な注意点もある。ここではアーシングをやる前に、知っておくべきポイントをまとめた。また、そもそも「アーシングは必要か?」と迷う人にも、一読をオススメ。
プラス線っぽい色を使う場合は、他人がショートさせる可能性に注意!
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アーシングのやり方は前回教わりました。今日はその補足として、注意点を教わります。
●DIYラボ レポーター:イルミちゃん
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今回紹介したアーシングは、メンテナンス的なニュアンスのものでしたが……
●アドバイザー:DIYライフ 藤本研究員
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なんか地味でしたよね。
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一般的には、エンジンルームのドレスアップという視点も兼ねて、もっと派手な色のコードを使ったりもするんですけどね。
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ほお。
なるほど。 -
ただし、たとえば整備に出すときなど、自分以外の人間が愛車をさわるときには注意が必要なんです。
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と言いますと?
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アーシングは、あくまでもマイナス線なんですね。
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マイナス線の強化、ですよね。
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アーシングの配線の色に黄色や赤を使っている場合は、アーシングのことを知らない人が見たら、プラス線と誤認する可能性があります。この点は注意が必要です。
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あー。
いったん外したときの話ですね。 -
そうなんです。
バッテリーを交換する、とかね。 -
フム。
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配線を、外す前の状態と同じようにはつないでくれれば問題ないけど、もしプラスターミナルにつないだら、ショートさせることになってしまいますね。
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赤だから、プラスだよね的な誤解……。
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そうなんです。
この点は注意しましょう。 -
メンテナンスに出すときにしっかり伝えておくか、そもそもプラス線と紛らわしい色は避けるか、どちらかってことですね。
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だからDIYライフの純正アース強化ケーブルは、一般的にマイナス線として見てもらえる黒にしているのです。
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なるほど、どうりで地味だったわけだ! 地味さにもコダワリがあったとは。地味に深いですね〜。
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……地味地味、言うな。
「一回、配線を外しますよ〜」という日がくるかも!?
熱の影響を受けると、導体抵抗が上がって電流が流れにくくなる。これは本末転倒
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あとは注意すべき点は、取り回しですね。ラジエーターファンやファンベルトに巻き込まれないように、というのは前回の取り付け記事でも説明しました。そして、エンジンルームには熱源もあります。
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ケーブルは、熱の影響を受けると導体抵抗が上がって、電流も流れにくくなってしまいます。ココは注意ですね。
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アース線の効率を上げるためにやっているのに、意味ナシになってしまう。
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そう。取り付けで性能を落とすことになったら、意味がありません。同じ理由で、そもそも「熱の影響も考慮した、導体抵抗を抑えたケーブル」を使うようにしましょう。
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黒くて太い配線ならなんでもいい、ということではないんですね。
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当然ですね。
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ところで藤本コーチ。電気が流れやすくなった結果、電装品が想定していた以上の電気が流れて、壊れたりはしませんか?
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電装品のスペック(消費電力)以上の電気が流れるわけではないので、それはありません。
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電装品のスペック以上の電流は、流れない?
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電球に例えてみましょう。50Wの電球があったとして、マイナス線をどう強化したところで、100Wの電球にはならないのです。
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そっか。……と言うことはつまり、明るくなるわけではない!?
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ハイ。「純正アース強化」は、古くなって電源周りが弱った車のメンテナンスと考えたほうがいいです。性能アップではなく、本来よりダウンした分を回復させるためにやることです。
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暗くなった古い電球の明るさがちょっと回復する、みたいなイメージですね。
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そうですね。だから、「新車でやっても効果は薄い、体感しにくい」と言うのはソコなんですよ。
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なるほど、なるほど。
過剰な期待は禁物です。 -
それと、昔アーシングが大流行したときに比べると、現代の車の純正アースケーブルは、かなりしっかりしたものが付いている車種が増えました。
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そうなんだ。
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そういう意味でも、新しい車では効果を体感しにくくなっています。でも古くて電源周りが弱い車などでは、効果が出やすい。劣化していたり、細かったりするなら、やってみる価値はあります。
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というわけで、アーシングを考える前に、愛車の純正アースケーブルがどんな状態なのか見てみましょう。
DIYライフの純正アース強化ケーブルは当然の耐熱被覆で熱にも強い。内部の銅線のコダワリは「アーシングの第一歩は、純正アースケーブルの強化」参照。
DIY Laboアドバイザー:藤本壮啓
某カー用品メーカーに長年勤務し、車業界にDIYを広めた伝説の広報マン。現在は独立して、DIY用品を扱うセレクトショップ「DIYライフ」を設立。単なる製品の宣伝トークではない、DIYユーザー側に立ったアドバイスが持ち味。通称「フジモン」。
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