ウインカーポジションキットを取り付ける前に
ウインカーポジションキットはどれを選んでも同じ、ではない
ウインカーポジション(ウイポジ)は、常に移り変わるドレスアップ技の中では、非常に息の長い人気の仕様だ。北米意識だったり、光る部分を拡張したかったり……と動機はさまざま。キットが多数あり、どれを選んでいいのかわかりにくいので、ここでウイポジの方式や機能差について解説。
ウインカーポジションはどれを選んでも同じ、ではない
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ウインカーポジションとは、ウインカーをポジション点灯(夜間常時点灯)させる技のこと、ですよね?
●レポーター:イルミちゃん
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そうですね。
それが基本ではあるんですが……、●アドバイザー:CEP 服部研究員
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……と言うことは、正直なところ「どの製品を選んでも差はない」と考えてヨイのでしょうか?
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それは違いますね。一言でウインカーポジションといっても、機能差があります。どれを選んでも同じ、ではありませんよ。
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機能差……?
それって、ちょっと不思議な気もしますね。 -
そうですか?
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だって! ウインカーをポジション点灯させるだけなのに、どうやって差が出るっていうのか。
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例えばですね、「ウインカーを出している時に、反対側のウインカーの点灯状態をどうするか?」を、設定で選べるモノもあります。
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ウインカーを出していない方をどうするか、とは?
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ウインカーの反対側は、点灯させたままにしておくか、消灯させるのか、という違いです。
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え? ウインカーが点滅している間は、消灯しているのが普通では?
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いや、車検に通るようにするには、反対側は点灯させたままにしておく必要があります。
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そうなんだ! 反対側が消灯したほうが、ウインカーとしては分かりやすい気もしますけどねぇ。
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そういう意見もありますが、ポジション点灯時はあくまでもポジションなので、車幅灯のルールが適応される。だから常時点灯していないといけません。
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そういうことか〜。ウインカーというより、ポジションのルールね。
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通常「反対側は点灯しっぱなし」が基本ではある。でも「反対側は消灯しているほうが自然だし、そのほうが安全だから、消したい」という人も多い。そのためCEP(コムエンタープライズ)のウインカーポジションも、設定で選べるようにしています。
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なるほど〜。
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でも、こういう制御はどのウインカーポジションでもできるわけではないんです。
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そうなんだ!
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CEPのウインカーポジションはCPU搭載で、制御ができるようになっていますが、そういう制御が入ったタイプでないと、「反対側を消す」などのアクションはできないんですよ。
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コムエンタープライズは、制御マニアですからね〜。
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ただ、コンピューター制御が入るタイプのウインカーポジションのほうが、取り付けの手間は少し増えますけどね。
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そういうことか。ウインカーポジションの取り付け方法は連載の後半で詳しく解説予定ですが、つまり付け方は製品によって違うんですね。
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一番取り付けが簡単なのは、「フラッシャーリレー(ウインカーリレー)交換タイプ」です。これは純正ウインカーリレーを外して付け替えるだけなので、本当にカンタン。
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へぇ〜。
それは簡単そう! -
ただし、この方式はできることが限られてしまうのがデメリットなんです。
CEPウインカーポジションキットは、制御ユニット追加タイプ
CEP(コムエンタープライズ)の「ウインカーポジションキット」
フロントのみウインカーポジション化したいなら…
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ウインカーポジション化したい人は、まず、どこまでしたいのか考えてみましょう。
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え?
どこまで……とは? -
フロントウインカーだけポジション化したいのか、サイドウインカーまでしたいのか、あるいはリアまでフルでしたいのか、という話です。
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あー、そういう意味ですね。改めて聞かれると……ドレがいいんだろ?
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一般的には「フロントのみ」光らせるのが定石です。それが一番カッコいい、と感じる人が多い。
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確かに。フロントのみ常時点灯させる(↑)のが、ウイポジのイメージですね。
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そして、やりたい人はフロントとサイドまで、という感じですね。中にはサイドだけという人もいます。
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ほう。
サイドのみのウインカーポジション? -
ウインカーミラーの部分だけ常時点灯させたい、というような使い方ですね。
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なるほど、そういうドレスアップ手法もあるんだ。
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ちなみに、リアはやらない人が多い。法規的にも、リアにアンバー色が常時点灯するのはNGですしね。
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なるほど、なるほど。
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しかし、こういう部分でも「キットの方式の差」が出てきます。
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ウインカーポジション化できるキットは、どれを選んでも同じではない……という話ですね。
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例えば、「フラッシャーリレー(ウインカーリレー)交換型」の場合……、
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えっと……。それって、取り付けが一番カンタンだというタイプですね。
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ハイ。「フラッシャーリレー(ウインカーリレー)交換型」は、おおもとから全てのウインカーに電気を流すので、リアも含めて全点灯してしまう。それと根元から電気を流す仕組み上、メーターのインジケーターまで、うっすら点灯するんですよ。
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ムムム。
フロントだけ点灯させたい人は、注意ですね〜。 -
制御ユニットを追加するタイプは、純正配線の途中につなぎます。つなぎ方によって、どのウインカーをポジション化したいかを選べるのです。
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独立制御のための、配線作業が必要になってくる、というわけですね。
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あと最近の車はそもそもフラッシャーリレーが付いていなくて、コンピューターやメーターから出力する構造も多い。こういう車種は、リレー交換方式ではできません。
フロントウインカーのみのポジション点灯
純正配線につなぐタイプは、手間はかかるが自由度が高い
各ウインカーに配線を割り込ませるので、独立して制御できる。
フロント、サイド、リアまでウインカーポジション化する場合の注意点
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さっきとは逆の話になりますが、フロント・サイド・リアの全ウインカーをポジション点灯させたいとすれば、別の注意点もあります。
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フムフム。
なんでしょう? -
ユニットタイプの場合は、容量に注意しましょう。
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容量って?
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消費電力が大きくなりますから、それにユニット側が対応している必要があります。
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あ〜、そっか。6個もウインカーを点灯しっぱなしにするわけだから……、
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一般的にウインカー球の消費電力はフロントとリアが21W、サイドが5Wですから、合計すると片側で47Wにもなります。
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つまり全点灯で両側分とすると、合計6個で……
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94Wの消費電力です。
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普通のポジションランプとは、比較にならない消費電力ですね。
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だからCEPのユニットも、片側50W、両側で100Wまで対応させています。
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ナルホド〜。ところで、もしも対応していないと……どうなるんだろ?
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当然壊れやすくなりますし、ユニットの制限を超えた電気を流すのは危険ですよ。
前後ウインカーは明るさ重視なので1個で21Wもある
キットの方式により取り付け方法や手間も異なる
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というわけで、細かく見ていくといろいろな仕様の違いがあるのが、ウインカーポジションキットなのです。
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どれを選んでも同じというのは、大きな誤解ですね。
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そうなんですよ。結果として、取り付け性(取り付け難易度)も変わってきます。
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……つまり、CEPみたいな電装系メーカーのタイプは、ユニット制御で多機能だけど、配線の手間がある!
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まあ、そういうことですね。
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それがどの位の手間なのか!? 「ウインカーポジション取り付け方法/作業の流れと配線図」に続きます。
DIY Laboアドバイザー:服部有亨
キーレス、オートライトをはじめとする車の電装カスタマイズで有名なコムエンタープライズ(CEP)で製品開発を担当。車の電装、プログラミングの双方に長けている勉強家。●コムエンタープライズ TEL 079-230-2323 住所:兵庫県姫路市大津区天神町2-78
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