板金塗装をもっと身近に
塗装済み中古バンパーの再塗装は、プロでも大変な作業
塗装してある中古バンパーの再塗装を頼む前に、わかっておきたい注意点。板金塗装のプロが行うバンパーの再塗装は、単に上から塗り直しをしているのではない。塗装の前の下地作りにかなり手間がかかった、実例をもとに解説する。
バンパーの再塗装は、単に上から塗り直す、という話ではない
-
●レポーター:イルミちゃん
-
これまたバンパー修理の話題なんですが、今回は「割れ」がひどいのではなく「再塗装」で苦労するパターンです。
●アドバイザー:ほんだ塗装 本多研究員
-
中古の塗装済みパーツをベースに再塗装するのは、そもそも避けたほうがいいっていう話でしたよね?
-
そうですね。特に自家塗装されたものなどは避けたほうがいいです。ただ、そうはいっても避けられないパターンもありますよね。
-
と言うと…?
-
あまり出回っていなくて、手に入りにくいエアロパーツとか。
-
あー、希少性のモンダイか。
-
例えばこちらの、S15シルビアのエアロパーツ一式(↓)あまり出回っていないもので、珍しくネットオークションで出ていたから買ったそうです。
-
ただ、塗装がボロボロの状態。そこで補修したうえで改めて白×黒で塗り分け塗装してほしい、というリクエストでした。
-
塗り分け塗装は、ほんだ塗装の得意とするところですが……そこまでいくのが大変そう。
-
カンタンに流れをいうと、まずは荒いペーパーで全体を削ります。
-
それから、ネジ穴がバンバン開けられていて「いらないネジ穴を埋めてほしい」っていうリクエストがあったので、穴埋めもしていきます。
-
そういうのも補修のひとつなのね。
-
今回のエアロパーツで苦戦したのが、下地の状態が良くなかったこと。面も出ていない(※平らではない、という意味)ので、膨らんでいるところは削っているうちにゲルごと剥がれたりとか……
-
ゲルは、ゲルコートのことですね。剥がれたりするんだ…。
-
下地の塗装もおそらく自家塗装だろうと思われ、いろいろな意味で警戒モードで、1回目のサフェーサーはポリサフを入れました。
-
ポリサフって、普通のサフェーサーではない?
-
そうですね。ポリサフェーサーは、普通のウレタンサフェーサーとは違います。
-
例えばエアロパーツの型をおこす、職人さんとかが使うようなものです。
-
ふーん。
どう違うんでしょう? -
ポリサフは粘度が高くてネバネバした感じなので、ちょっとした傷とか巣穴なら埋まりやすい。
-
ホー。つまりパテみたいな効果があるんだ。
-
それだけに普通のガンでは塗れませんけどね。口径の大きいガンでないと吹けないサフェーサーです。
-
普通のガンだと詰まるのか…。
-
だから扱いは難しいけど、今回のような再塗装のパターンではベースとして重宝します。ポリサフを吹いたら、またそれを削ります。
-
削ると白くなりました。
-
しかし、ここまでやっても万全とは言えません。
-
まだ塗装できないってこと?
-
この状態から今度は普通のサフェーサーを入れます。
-
ここからまた足付けします。
-
つまりサフェーサーを2回吹いたんだ。
-
ハイ。普通の塗り方では、下地の影響を受けてしまいそうな場合は、こういうやり方をします。
-
2回目のサフェーサーが、塗装のための下地処理になる。
-
……そのつもりだったんですが、今回は2回サフェーサーを入れても、塗装の縮みが発生しました。
-
これが塗装の縮み…。
-
面がしっかり出ていなくてボコボコした箇所もあるせいで、サフェーサーを削った段階で下地が出てしまう。そこからシンナーが入り込むので、縮む現象が発生しているんです。
-
手ごわい…。
-
今回は塗装だけでなく、根本的にゲルコートの状態も良くなかった気がしますね。
-
ここまできて、どうすればいいのでしょう?
-
さらにもう1回サフェーサーを入れました。今度は部分的に、です。
-
ただ、この場面でのサフェーサーの吹き方にはちょっとコツがいりますけどね。
-
コツとは?
-
遠めから、フワっとミストをかけるイメージで塗ります。そして、そのサフェーサーを削るときには、下地を出さないように削るのが重要です。
-
そうやってフタをするわけですね。
-
そうですね。これ以降は問題なく塗装できました。
-
リクエスト通りに白×黒に塗り分けて、完成しました。
-
ようするに、もともと塗装がしてあるエアロパーツはやっぱり難易度が高いね。
-
今回はもともとの下地の状態も悪かったので、例外的な面もありますが……いずれにしてもキレイに再塗装するのは、普通の塗装よりはるかに大変です。
-
やはり「中古の塗装済みエアロ」には、それなりにリスクがありそうです。
-
でも、こだわりのエアロパーツで仕方なく塗装済みを買う……などのケースであれば、ご相談ください。
硬化剤と促進剤を混ぜる3液型のポリサフェーサー。
ほんだ塗装で、DIYラボ連動キャンペーン実施中…!
電話でもメール相談でも、最初に、「DIYラボを見た」と言えば、「塗装代」や「取り付け工賃」が10%オフになる。「パーツの持ち込み塗装」の料金交渉も柔軟に応じてくれる。
DIY
Laboアドバイザー:本多 順
ワンオフ加工と塗装のスペシャリスト。エアロパーツ取り付けも仕上がりにとことんこだわるタイプ。超がつくキレイ好きでもあり、安心して車を預けられる。●ほんだ塗装 TEL:0564-58-5808 住所:愛知県岡崎市坂左右町堤上101-3 営業時間10:00~21:00 水曜定休 メールはこちら
関連記事
- バンパー修理をプロに頼むときの注意点
- FRPバンパーの修理はどのレベルまでなら可能なのか?
- バンパーの持ち込み塗装料金はいくら? 修理費用が必要なケースだと…
- 修理しないほうがいい(?)FRPバンパーもある
- ABS樹脂バンパー(エアロ)を切ったり穴を開けたりするときの処理方法
- 中古の純正部品を買って、塗装(色替え)を依頼する人が多い理由
- 中古パーツを買って塗装をプロに頼もう、という計画の注意点
- フロント&リアバンパーの脱着をDIYで行うときの注意点
- エアロやバンパー塗装の色合わせについての、よくある誤解
- エアロパーツの塗装料金(費用)を、ネットで調べる前に知っておくべきこと
- エアロパーツは未塗装品を買ったほうがいい、という話は半分正解で、半分不正解!?
- カーボン調エアロパーツにクリア塗装が必要なことを、知らない人はまだまだ多い
- パーツ(部品)の持ち込み塗装は、宅配便で送ってもいいのか?