エアバッグ付きピラー(内張り)の外し方 Ver.2

エアバッグが付いたピラーの外し方は、過去記事で紹介しているが、そのやり方では外れない例が出てきた。ピラー内張りを固定するクリップの外し方(抜き方)を知らなければ、外すのは困難だ。
これまでの「エアバッグ付きピラーの外し方」が通用しない新方式がある
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以前に「エアバッグ付きピラー(内張り)の外し方」をやりましたが、この方法では外せない、新方式ピラーと遭遇しました。
●レポーター:イルミちゃん
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カローラスポーツの、エアバッグ付きピラーの例です。
(↓)●アドバイザー:CEP 服部研究員
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カローラスポーツは、細部の作りが今までのトヨタ車とはいろいろ違うっていう話でしたが……
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まさかピラー内張りの外し方まで、変わっていたとは思いませんでしたね。
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今後、この新方式のエアバッグ付きピラーが増える可能性もあるので、外し方を押さえておきましょう。
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途中までは、今までと同じです。まず防水ゴム(ウェザーストリッパー)を、手で引っ張って外します。
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次に内張りはがしを使って、ピラー内張りを浮かせます。
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ここで、エアバッグ付きピラーは途中までしか外れないんですよね。
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そうです。その点は、今回の新方式ピラーも同じで、途中までしか外れません。
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今までと違うのは、ここからです。
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これまでのエアバッグ付きピラーの場合は、クリップに引っ掛けるように固定されていて、そのクリップを90度回転させると外れました。
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つまり、ピラー内張りと、クリップを分離する仕組みでした。だから外れたあとには、クリップは鉄板側に残ります(↑)
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新方式はどう違う?
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クリップとピラー内張りは、どうやっても外れません。クリップの根元を鉄板から外す(抜く)のが正解なんです。
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先に外れた状態を見ると、こういうことです(↓)
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今までのやり方を知っている人にとっては非常に紛らわしいですが、ココが外れそうで外れない。
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このポイントで外そうとしている限り、どんどん深みにはまる。
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そもそも、知っている人ほど根元から抜けるという発想がないだけに、ハマる可能性が高いと言えます。
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それでは!
正しい外し方の手順を紹介しておきましょう。



ここで止まる




ピラー内張りを固定しているクリップの外し方(抜き方)
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このクリップの抜き方なんですが、ただ引っ張るだけでは抜けません。
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ふむ。エアバッグが開く衝撃で飛ばないように、ロックされているのは同じですね。
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クリップの左右にボタンのような出っ張りがあって、それを押しながら、クリップ全体を引っ張る必要があります。
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では、左右から挟むように、押しながら引っ張ればいいんだ。
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理屈はそうなんですけど、実際にはそれは難しい話です。
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なんで?
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実際の作業では、ピラーが少ししか倒れていない状態なので、手が入りません。
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……それもそうだ。数センチしか隙間がないのに、クリップを押すポイントは奥のほうにある。
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なので、内張りはがしなどを隙間から差し込んで、片側のボタンを押しながら引っ張って、片側ずつフリーにするやり方が現実的かと思います。
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片側ずつ攻めても、外すことはできるんだ。
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ですね。まずはこのように先の細い内張りはがしで、下側(ピラー正面から見て左側)のボタンを押します。
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このとき、ただボタンを押すのではなく、クリップを引っ張りながら押します。
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手が入らないんですけど?
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そうですよね。だからピラー内張りを手前方向に引っ張って、クリップにテンションをかけた状態で押すことになりますね。
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なるほど。
そうやって引っ張る力を加えればいいのか。 -
ここまでで、まずはクリップの下側(左側)はフリーにできます。
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あとは上側(ピラー正面から見て右側)から、ボタンを押せばいい。
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そうなんですが、上側は天井がジャマになるので、同じように押すのは無理です。
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う~ん……確かに上方向から工具をかけるのは、無理っぽいか。
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先端の曲がっている工具……例えば金属の内張りはがしなどを下からかけて、下に向けて押すしかないですね。
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このように押しながら、クリップに引っ張る力を加えれば外れます。
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やっと取れた~!
……しかし、やっかいな新方式だなァ。 -
クリップがピラー内張りに付いたまま根元から外れるので、鉄板側にはなにも残りません。
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分かっていれば外せると思いますが、外し方の情報を知らずに外すのは困難だと思います。
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ドラレコの配線通しなどでもピラー内張りは外しますから、作業者にとっては必須の基礎知識と言えそうです。
クリップが抜けた状態



クリップが根元から抜ける



DIY Laboアドバイザー:服部有亨
キーレス、オートライトをはじめとする車の電装カスタマイズで有名なコムエンタープライズ(CEP)で製品開発を担当。車の電装、プログラミングの双方に長けている。配線図大好き。●コムエンタープライズ TEL 079-230-2323 住所:兵庫県姫路市大津区天神町2-78
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