低車高C-HRのインナーライナー加工。その中身に迫る
インナーライナー加工なしには、低車高は実現不可能。大径ホイールを履き、さらに衝撃の低車高を実現したJ-LINEのデモカー・C-HRのタイヤハウス内の加工を取材した。
C-HRの20インチ低車高スタイルに、それほど加工は必要ない!?
-
前回はJ-LINEの低車高C-HRのホイールマッチング(※)を紹介しましたが、今日はその続き。
(※)「C-HRを例に、プロショップ流ホイールマッチングを学ぶ」参照。
●レポーター:イルミちゃん
-
加工部分について解説しておきます。
●アドバイザー:J-LINE 氏家研究員
-
C-HRで20インチ低車高を実現するにあたって、インナー加工はしているのでしょうか?
-
インナーライナーカバーは加工していますが、それ以上のことはしていませんね。
-
カバーの加工であって、鉄板にメスを入れているわけではないんですね。
-
切った貼ったは最小限です。でないと、20インチ低車高を実現した、っていう説得力もないので。
-
……なるほど。
確かに。 -
J-LINEがタイヤハウス天井を切り上げたりするのは、そもそもスペースがない軽自動車カスタム限定の話です。
-
そうなんだ。
-
アルファードでもC-HRでもプリウスでも、そんなことをしなくても低車高にはできます。
-
ホホウ。
-
特にC-HRは、車高が下げやすい車でしたね。タイヤハウスもけっこう深いですし。
-
タイヤハウスが深い……というのは?
-
オモテから見えるフェンダーアーチに対して、実際のタイヤハウスの天井までが深い、ということです。
-
こういう車は、フェンダーをカブせるほどの低車高にしても、内部的には余力を残しやすい。
-
空間的にマージンがある。
-
ただし、インナーライナーカバーだけは加工が必要です。
-
そのあたり、何をどう加工しているのかチェックしてみましょう。
✔ インナーライナーとは柔らかい樹脂製のカバーのこと。タイヤハウスの天井(鉄板)に対してもっと低い位置に付いているので、タイヤが当たりやすい。
C-HRフロントのインナーライナーカバー加工
-
インナーライナーカバー加工を具体的に言うと、純正より高い位置にカバーを移設しています。
-
まずは、フロントタイヤハウスを覗いてみましょう。
-
フロントに関しては、真ん中あたりを切って開いて、もっと高い位置でカバーを新設しています。
-
純正カバーを凹ませるだけでは、足りなかったということですね。
-
そうですね。シャコタンにとって、インナーライナー加工は長年の課題です。我々もいろいろな加工方法を試してきました。
-
はい。
-
切るところから始まって、ヒートガンであぶってトロトロにして平らにしたりとか……。
-
でも凹ませるだけでは限界がある。たいして稼げない。
-
まあ、今回のように大径ホイールで低車高となると……ね。
-
そこで、今回のC-HR。まず切って真ん中を取っ払い、開いた前後に対して、新たにフラットなシートを足しているんです。
-
部分的な取っ払い→部分的にカバー新設という流れなんですね〜。
-
純正状態だと、今よりは、2〜3センチほどは天井が低いです。
-
それがそのまま車高の差になると考えたら……大きい数字です。
-
なお、こういうインナーライナー加工をDIYでもできるようにJ-LINEではキット化を考え中です。
-
なんと。インナー加工もキット化の時代へ。……スゴイですねぇ。
純正側のカバーも凹凸をつぶしてフラット化している。
リアは純正インナーライナーをそのまま上方スライド
-
続いて、リアのインナーライナー加工をチェック。
-
リアは袋状になっている。切ったりすると見た目が悪くなるので、ライナー自体は純正のままです。
-
ただし、位置上げはやっています。もともと天井(鉄板)とライナーの間には隙間があるから、上方にスライドさせる余地がある。
-
どうやって位置を上げるんですか?
-
ライナーカバー側に開いている取り付け穴をズラして、留め直しているんですよ。
-
こうすると、車体側の穴は純正を流用しつつ、インナーライナーだけを上に上げられます。
-
な〜るほど。
-
このやり方だと、純正っぽく仕上げることができますね。
-
これって何センチ位、スライドしているんでしょう?
-
1センチ位です。しかしタイヤが当たる・当たらないの攻防の中の1センチは、大きな差を生みます。
-
最小限のインナー加工でできる対策だ。コレはいいですね〜。
-
位置上げしたときに、固定できる穴がなければ穴開けが必要になることもありますが、リアフェンダーの場合は、穴開けすると室内に抜けてしまうので、やりたくないっていうか、やらないですね。
-
なるほど、なるほど。
-
穴を開けていいところと、ダメなところがあるのです。
カバー側のネジ穴が、純正位置より1センチほどズレている。
DIY Laboアドバイザー:氏家淳哉
リアアクスルキットで有名なJ-LINE(Jライン)。足まわり加工に長けたプロショップでもあるので、直接クルマを持ち込めば様々なワンオフ加工も依頼できる。深い知識・高い溶接技術は比類ない。●J-LINE TEL 022-367-7534 住所:宮城県多賀城市町前1-1-13
関連記事