プロセッサー導入ガイド③

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プロセッサーの「クロスオーバー調整」とか「タイムアライメント調整」とはなにか？

プロセッサーとは何なのか。できることは複数あるが、中でも重要度が高いのは「クロスオーバー調整」と「タイムアライメント調整」。まずはこの2つに絞って学ぶのが、プロセッサーを理解する近道。

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  「iPhoneなどのスマホをプロセッサーにつなぐカーオーディオも今風」の続き。本題はここからです。

  ●レポーター：イルミちゃん

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  プロセッサー（DSP）の役割は、ナビ（デッキ）からスピーカーに流れる音楽信号を調整することにあると言いましたが、今日はもう少し具体的に解説していきます。

  ●アドバイザー：カーデン 佐伯研究員

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  調整って言われても、なにをどう調整しているんだ？ という気がしますよね。

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  プロセッサーの調整の中で、特に重要なのが「クロスオーバー調整」と「タイムアライメント」です。

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  聞いたことあるような、ないような言葉が並びます。

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  「クロスオーバー調整」は、ツイーター・ミッドレンジ・サブウーファーなどのスピーカー類が出す「それぞれの音の周波数帯を決める調整」のことです。

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  ツイーターは高音・ミッドレンジは中音・サブウーファーは低音、というところまでは知ってますけど……

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  もっと細かく、ツイーターは何ヘルツ以上の音を出してね、ミッドレンジはここからここまでの幅を鳴らしてね、などと「ゾーン」を決めるんです。

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  ええっと、それって前に出てきたパッシブネットワークの役割と似ているような…？

 >>「パッシブネットワークとは？」参照。

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  パッシブネットワークは、あらかじめ何キロヘルツ以下はツイーターに信号が流れないように区切っているだけで、いわば「固定式」です。

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  そっか。

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  プロセッサーを導入する場合には、パッシブネットワークは基本的に使わず、各スピーカーが鳴らす音の帯域幅を、プロセッサーで直接コントロールします。



プロセッサーのクロスオーバー調整画面。

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  それによって、今まで使っていたスピーカーでも音質が変わるのかな？

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  大きく変わりますよ。クロスオーバー調整で各スピーカーの出す周波数帯を変えると、音色にも影響してきます。

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  へえぇ。では安いスピーカーでも音質が良くなるかも。

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  ただ「そのスピーカーが、どの程度の帯域幅まで鳴らせるか」という点では、スピーカー自体の性能も問われます。この連載で最初に言っているように、まずはスピーカー交換をオススメすることに変わりはありませんけどね。

 >>「カーオーディオの順番。どこから手を付けるのがよいか？」参照。

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  スピーカーの性能を出し切る、みたいな話なんだ。

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  なぜプロセッサーによる調整が必要なのかと言うと、まずスピーカーの位置関係に問題があるんですよ。これはカーオーディオの根本的な問題なのですが。

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  と言うと…？

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  車のスピーカーは、基本的にドアに付いていますよね。ツイーターはダッシュボードの上か、ピラーに付けたりもしますが。

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  そうですね。

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  家庭用のオーディオだったら、左右スピーカーの真ん中あたりに人間がいる、という位置関係で聴くのが普通だと思いますが、車の場合はそうはいきませんよね？

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  ムムム……運転者だったら右スピーカーが近い。

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  すると、どうしても右スピーカーの音が耳をつきやすい。

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  左右の条件が違うってことか。

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  高さ的にもドアスピーカーは足元にあって、ツイーターは耳の近くにあったりで、方向も角度もバラバラです。

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  考えてみると、車内のスピーカーの位置関係はかなり無理がありますね。

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  そういう車内の悪条件を、プロセッサーによる調整で補正していきます。

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  そんなことできるの？

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  例えば、各スピーカーまでの距離の違いを埋める機能に「タイムアライメント調整」があります。



プロセッサーのタイムアライメント調整画面。

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  これは各スピーカーが音を出すタイミングをズラして、耳に音が届くタイミングを合わせます。

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  ふおぉ。つまり、左スピーカーより右スピーカーから音が出るタイミングを遅らせるんだ。

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  そうすることで、左右スピーカーの真ん中で聴いているのと同じような状況を擬似的に作り出せます。「良い音で音楽を聴けるポジションを動かす」発想ですね。

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  タイムアライメントめっちゃスゴイ！

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  タイムアライメントは運転席に合わせて調整するのが基本でしょうけど、助手席に合わせた調整もできます。

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  ホホウ。

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  助手席に乗る人が、一番イイ音で音楽を聴けるように調整することもできるわけですよ。

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  ナルホド。でもその場合、運転席で聴く音は微妙なカンジになる？

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  まあ、そうですね。ですので、それぞれの調整をメモリー（記憶）しておいて切り替える……なんていうこともできますので。

※メモリーしておく機能は「コントローラー」などの性能に依存するので、そのあたりは連載で後述する。

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  プロセッサーの調整って、そういうことをするのかぁ。

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  ただし調整を間違うと、音がメチャクチャにもなりますけどね。

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  ……。プロセッサーによる音の調整がDIYでできるのか、という点などは、今後教わっていくことにしよう。