プロセッサー導入ガイド⑤
フロント3way(スリーウェイ)スピーカーとはなにか?
フロント3way(スリーウェイ)を、イラスト図解付きでわかりやすく解説。フロント2way(ツーウェイ)との違いは? フロント3wayにするならプロセッサーが必要なのか?
フロント3wayとは?
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「プロセッサーのチャンネル数選び。マルチで鳴らすとは?」の続き。
●レポーター:イルミちゃん
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プロセッサ-を買うなら、8チャンネル以上がオススメという話をしましたが、その理由を解説します。
●アドバイザー:カーデン 佐伯研究員
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フロントスピーカー(ツイーター・ドアスピーカー)とサブウーファーを全部「マルチで鳴らす」としても、6チャンネルで足りる計算なんですけどね?
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それはやはり、せっかくプロセッサーを入れるのであれば、フロント3way(スリーウェイ)スピーカーにも対応できるようにしておいたほうがいいと思うからですよ。
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フロント・スリーウェイ?
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一般的なフロントスピーカーは、ツイーターとドアスピーカー(ミッドバス)に分かれていますよね。これはフロント2way(ツーウェイ)と呼ばれます。
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2種類のスピーカーの組み合わせだから2way…なんだ。
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それに対してフロントだけで3種類のスピーカーを組み合わせるのが、フロント3wayです。
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スピーカーの種類が増えたぞ。
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フロント2wayの場合は、ツイーターが高音域を鳴らし、ドアスピーカー(ミッドバス)が中~低音を鳴らします。そしてもっと低い低音域を、サブウーファーが担当します。
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しかしこの状態は、ドアスピーカー(ミッドバス)の担当するエリアが広すぎるんですよ。
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そっか。高音域だけ鳴らすツイーターや超低音域だけ鳴らすサブウーファーに比べると、守備範囲が広いな。
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それにドアスピーカーは、ある程度の低域も鳴らせる構造(サイズも大きめ)なだけに、中高音域をキレイに鳴らすのは難しかったりします。
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ミッドくんが、不満の声をあげています。一番大きいウーファーくんの守備範囲が一番狭いのね。
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「真ん中の中音がもう少しほしい」と、感じる人は感じるでしょうね。
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なるほど、なるほど。
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そこで中音域を鳴らすのに特化した専用スピーカー・ミッドレンジ(スコーカー)を追加します。
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これがフロントスピーカーが3種類に分かれるフロント3wayですね。
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サブウーファーも入れると、四段階に音を分けて再生するんだ。
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それぞれの帯域が得意な、専用スピーカーが担当します。
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贅沢なシステムだけど、知ればやりたくなる感じだ。
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さらにもっと細かく分けるフロント4way以上のシステムもありますが……
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おぉ。4way(フォーウェイ)は、さらに上を行くのか!
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いや、そう単純な話でもないんです。スピーカーの数が増えるほど、どんどん調整が難しくなるので……。
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ムムム…。
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現状では、フロント3wayがバランスがいいと思います。ただその3wayだって、2wayに比べたら調整は難しいですけどね。
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調整ができていない3wayになるぐらいなら、2wayでしっかり調整できているほうがよい?
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そりゃそうですね。そして2wayのほうが調整はしやすい、というメリットがありますね。
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なるほどね~。
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フロント3wayは、きちんと調整ができてハマれば、すごくイイ音が鳴らせるスピーカーシステムと言えます。
フロント2way
フロント3way
サブウーファーは「way」の数には含まないのがカーオーディオ業界の慣例。フロントスピーカーの種類だけを指して「フロント○way」という言い方をする。
フロント3wayにするならプロセッサーが必要…?
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話をプロセッサーに戻します。カーオーディオの世界では「フロント3way」と「プロセッサー」が、ある程度セットになっている側面があります。
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フムフム。
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「フロント2wayでプロセッサーを組む」手も、もちろんアリ。けれども逆に、プロセッサー無しでフロント3wayを組む、というのはあまりやりません。
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フロント3wayスピーカーにするなら、プロセッサーが必須なのかな?
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事実上はそんな感じですね。というのも、フロント3wayスピーカー専用のパッシブネットワークってあまり無いからなんですよ。
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ああ、そうか。プロセッサー無しだとすると、パッシブネットワークで3つに音を分けないといけないんだ。
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そうなんです。しかしそういうパッシブネットワークは特殊ですので、一部のメーカーにはあるけど少ないのです。
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だとすると、プロセッサーがいるよねってことか。
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というわけでフロント3wayスピーカーにするなら、プロセッサーを組んで、マルチで鳴らす……というのが一般的なやり方になっています。
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話の流れが分かってきました。
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フロント3wayスピーカーをマルチで鳴らす……ということはフロントだけで6スピーカー分の6チャンネルが必要になります。
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さらにサブウーファー用のチャンネルも加えると……
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8チャンネルプロセッサーが必要になりますよね。
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それが、8チャンネルプロセッサーがオススメと言っている理由なんだ。
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そうなんです。ただまぁ「私はゼッタイにフロント3wayはやらない!」って言うならべつに最低チャンネル数を選べばいいんですけどね。
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ふむ。しかし、そこまで頑固に決めつける必要もなさそう。
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ですよね。プロセッサーはどのみち安い買い物ではありません。今後のステップアップの手を残しておく、という意味では、フロント3wayに対応できるプロセッサーにしておくほうがいいと思います。
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確かに。
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実際のところ、8チャンネルのプロセッサーは主流なので選択肢も多いです。
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ちなみに、フロントステージ重視のオーディオではリアスピーカーは鳴らさない、と教わりましたけど、後席にも人を乗せる機会が多い人もいますよね。
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そうですね。
そこは人による話だと思うので。 -
その場合、フロント3way+リアスピーカー+サブウーファーって考えると、8チャンネルでも足りませんね?
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それらを全てプロセッサー経由で鳴らしたい、ということなら10チャンネルのプロセッサーが必要になります。
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プロセッサーのチャンネル数は、そうやって選べばいいのね。チャンネルの選び方が分かってきたよー。
中にはパッシブネットワークも付属したフロント3wayスピーカーのセットもあるが、選択肢が限られるし、調整ができるわけではない。
DIY Laboアドバイザー:佐伯武彦
コワモテだけど優しく謙虚な佐伯(さえき)研究員。オーディオイベントでは数々の賞を取っている、腕利きインストーラーだ。●カーデン TEL:0561-35-5015 住所:愛知県みよし市黒笹町西新田1205-1 営業時間9:00-18:00 火曜・水曜定休
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