ランプのQ&A
H11ヘッドライト用LEDバルブを、H11フォグに流用できるか?
読者の方から頂いた、LEDバルブの流用に関する質問に答えていきたいと思います
■ 質問
LEDバルブについて質問です。H11ヘッドライト用のLEDバルブを、同じH11のフォグランプに流用することは可能ですか? フォグランプ用のH8/11/16よりもルーメン値が高いので、ヘッドライト用を入れれば通常のLEDフォグより明るくなるんじゃないかと思ったのですが、どうなんでしょう?
質問╱デリリウムさん
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という質問を頂きました。確かにH11バルブは、ヘッドライトにもフォグランプにも採用されていますね。
●レポーター:イルミちゃん
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そうですね。純正の電球だけ比べたら同じものですよね。
●アドバイザー:IPF 市川研究員
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ということは、この流用はいい手なのかなと思いますが……どうなんでしょうか?
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実際のところ、これは時々聞かれる質問ですね。IPFのLEDバルブにも、H11ヘッドライト用とH11フォグ用の両方があるので。
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やっぱりみんな考えるんですねぇ。
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しかしながらIPFの公式見解としては、NGということに……
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付くことは付くんですよねッ!?
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ええ、そうですね。付く付かないだけで言えば、付きますね。
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やっぱりね!
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ただ、ヘッドライト用のLEDバルブのほうが後部のヒートシンクが大きい。そこが干渉して、付かない車種は増えると思います。
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フォグランプ用のLEDバルブは、フォグ裏スペースが狭いことを考慮して小型化するためにドライバーも別体になっているのです。
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なるほど〜。では、フォグランプ裏の後方スペースが確保できればOKなんですね?
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いや。あの、だからIPFの公式見解としてはNGということに………
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なぜジャマをするんですか? 付くのにッ!!
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付くといってもH11のフォグとH11のヘッドライトでは口金が微妙に違い、ヘッドライト用をフォグに取り付けるとガタが起こる場合がありますよ。
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えっ……。
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それとIPFではフォグ用はフォグ用に、ヘッドライト用はヘッドライト用にLEDの配置ポイントを最適化しているんですよ。
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またヘッドライト用は明るさを出している分、発熱も多いので冷却ファンを使っています。
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そうか。この中に、ファンが入っているんですね。
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しかしフォグランプの位置で使うとなると、泥水がかかったりしますよね。
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フォグランプの位置だと、地面に近いからか〜。
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そうなんです。特にドレスアップカーは車高を下げたり(あるいは上げたり)するじゃないですか。
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しますね。
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そうすると厳密にはアンダーガードも機能しなくなって、泥水などがかかりやすくなるんですよ。
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要するに、ファンの動作に支障が出るかも。
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それと最近の車はバンパーが薄くなっているので、フォグにファン付きバルブを付けると重量でバンパーが破損する恐れもあります。
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ウ〜ム。純正フォグとバンパーが軽量化されているからか……。
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だからIPF製のフォグ用バルブは極力軽量化して作っているんですよ。
H11型の純正ハロゲンバルブ
H11のLEDヘッドライトバルブ
H8/11/16対応のLEDフォグバルブ
同じH11でも、LEDの配置ポイントを微妙に変えている
ヘッドライト用LEDバルブのヒートシンク部
フォグがヘッドライト並に明るいと照射バランスは悪化
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冷却ファンの問題の他にも、オススメできない理由があります。
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それは何ですか?
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ヘッドライト用のLEDバルブを流用する目的は「より明るく」を求めているからですよね。
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ですよね。質問者の方の言う通り、ヘッドライト用のほうが明るく作られていますもんね。
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そうなんですけど、ヘッドライトとフォグランプに同じ明るさのLEDバルブを投入した場合は、路面照射のバランスが悪くなりますヨ。
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え!?
明るくなるハズでは? -
フォグランプのほうが近い路面を照らしますから、両方とも同じ明るさのバルブだとすれば、近い場所のほうが明るくなります。
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明るくなるならいいような……
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しかし近くのほうが明るいと、相対的に遠くが暗く見えてしまう。
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ムムム……。
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IPFのヘッドライト用やフォグ用LEDバルブは、カットライン直下が一番明るくなるように配光を整えています。
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こうする理由は、カットライン下が「一番遠い路面を照らすための光」だからです。このようにして、奥から手前まで均一な明るさで照らせる設計にするわけですね。
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ふむ。
そうやって配光を作っているんだ。 -
そこにヘッドライトと同じ明るさのフォグLEDバルブを入れると、フォグはヘッドライトより手前を照らすので、手前ばかりが明るく見えてきます。
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そうなりますね。
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その配光では、人間の目にはかえって遠くが暗く見えてしまいます。
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ムムム……。
より明るくするつもりが、逆に暗く見えるのか。 -
けっきょく路面の見やすさの観点からは「ヘッドライトが明るいほうがバランスが取れていて見やすい」ということなんです。
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なるほどォ〜。物理的には付く(かもしれない)けれど、デメリットが多いという結論になりそうですね。
壁に光を当てると、カットライン下が最も明るいのが分かる
フォグランプをLED化するときの注意点についてはDIYラボ〈動画部〉がYouTubeでも解説しています。
DIY Laboアドバイザー:市川哲弘
LEDやHIDバルブでお馴染みのIPF企画開発部に所属し、バルブ博士と言ってもいいほど自動車の電球に詳しい。法規や車検についても明るく、アフターパーツマーケットにとって重要な話を語ってくれる。
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