電装DIYの知識
車の待機電流の測定方法。バッテリー上がり対策にも有効
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エンジンオフの状態でも、車の待機電流は消費され続けていて、普段あまり乗っていない車だと、バッテリー上がりが心配になってくる。電装品を後付けしていればなおさら。「車全体の待機電流」「電装品の待機電流」、それぞれの測定方法を知っておこう。
待機電流はクランプメーターでカンタンに測れる
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「車の待機電流とは? 電装品を後付けすると増えるのか?」の続きです。
●レポーター:イルミちゃん
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今回は、待機電流の測定方法を解説します。電装品をいろいろ付けて、バッテリー上がりが心配な人は、待機電流を測ってみましょう。
●アドバイザー:CEP 服部研究員
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どうやって測るんですか?
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それは、「車全体の待機電流を測るのか」「電装品の待機電流を測るのか」でちょっと違います。
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純正装備も含めてトータルで知りたいなら、車全体の待機電流を測る?
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ハイ。
その場合は、バッテリー周辺で調べますが…… -
フムフム。
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ここで普通のサーキットテスターでやろうとすると、配線を外したりする手間もかかるし、リスキー(※作業ミスによるショートが恐い)なので、クランプメーターを使うのがオススメ。
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クランプメーター?
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そういうツールがあるんです。参考までに、私が愛用しているのはこのモデルです(↓)
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なんか、また新たなマニアックツールが登場です。普通のテスターと、何が違うの?
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これは電流しか測れないので、いわゆるサーキットテスターとは別モノです。
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クランプメーターで測れるのは電流だけですが、配線の途中に挟むだけで測れるのが特長なんです。
KAISE(カイセ)の暗電流クランプメーターSK-7831
✔ サーキットテスターは電流、電圧、抵抗値などが測定できる。
車の待機電流の測定方法
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それでは実際に、クランプメーターで待機電流を測ってみましょう。
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当然ですが、エンジンオフの状態にします。前回お話したとおり、今どきの車はエンジン停止直後は、多めの電流が流れています。
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トヨタ車だと、20分後くらいにオフになるという話でしたね〜。
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そうなんです。
待機電流を測るのは、そのあとにしましょう。 -
停止直後に測ると、多めの結果が出てビックリすることになります。
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なお、測定はバッテリーのプラス端子につながるプラス線、あるいはマイナス線のどちらでもいいです。
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え。
プラス線でなくてもいいの? -
出て行く電気を測るのも、戻ってくる電気を測るのも量は同じですので。
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そっか。
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で、クランプメーターの先端で配線コードを挟みます。
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ようするに、クランプメーター先端の輪っかに通しているだけですね。
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そうですね。
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カンタンです♪
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ただし、このときに配線に対して垂直に測ります。ナナメに測ったりすると正確に測定できません。
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測る時のポイントですね。
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それと、バッテリーのプラス端子(あるいはマイナス端子)から2本の配線が出ている場合は、2本とも測定して合計したものがトータルの待機電流です。
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なるほど。
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今回のモデル車でも、赤いプラス端子から2本線が出ていて、1本は下に伸びていってすぐ見えなくなり、もう1本はヒューズボックスに向かっています。
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こういう場合は、1本ずつ待機電流を測定して、合計しましょう。
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というわけで、下に伸びる1本も忘れずにチェック。
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我々が待機電流を測るときは、このように測っています。
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参考までに今回の結果は100ミリアンペア超。車全体のぶんなので、どの電装品の電流が多いかは不明ですが。
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しかし、電装品を付ける前と、付けた後で測定すれば、アップ分も分かるわけですよ。
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ナルホド……しかし隊長が愛用するカイセのSK-7831は、Amazonでも32000円以上はしますねぇ(※記事執筆時点での相場)
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まあ、もっと安いクランプメーターもありますよ。数千円とか……ただし、どのくらいの精度が出ているか、まではわかりませんが。
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一般的なテスターでも、測れるといいんだけど……
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しかし、最初に言った通り、サーキットテスターで測るのは出来ないわけではないけどやりにくいし、オススメしません。バッテリーのプラス端子付近で、ヘタにショートさせると危ないですから。
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そういうのは、DIYラボとしても紹介しにくい。
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ただ、「後付けした電装品の待機電流を測る」ことなら、サーキットテスターでもできますよ。
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おお♪ そういえば、車全体の待機電流だけでなく、「電装品ごとの待機電流も測る方法がある」って言ってましたね!
後付けした電装品の待機電流を測るには?
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電装品ごとの待機電流なら、一般的なサーキットテスターで測れます。
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どうやって測りますか?
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後付け電装品の電源線(常時電源)には、だいたいヒューズが付いていることが多いので、ヒューズホルダーのところで測るのがカンタンですね。
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まずはエンジンオフにしておいて……
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ヒューズを抜きます。
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ヒューズを抜くと、ヒューズホルダー内には左右に端子があるので、ここにテスターの針を当てるんです。
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これで、その電装品が、どのくらいの待機電流を消費しているか分かります。
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なるほど〜。ちなみに予約ロックキットで試してみたら6ミリアンペア。
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ココで測るなら、配線を切ったりする必要もありません。
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もしもヒューズが付いていなかったら?
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そのときは、電源線と車両側(電源)をつなぐところの間にテスターを当てて(割り込ませて)調べます。
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シガーソケットから電源を取る電装品は、この方法では無理ですが、電源に直接配線するような付け方をしている電装品であれば、すぐ調べられますね。
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あのぉ、隊長。
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なんでしょうか?
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検電テスターでもできますか?
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無理ですよねッ!!
絶対。 -
やっぱりね。
いちおう聞いてみただけじゃん。 -
電流値を測定するのですから、サーキットテスターが必要です。
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でも、サーキットテスターというのを、持っていない人も多いと思うんですよね?
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う〜ん。でも、DIYでいろいろ電装品取り付けをするのであれば、サーキットテスターは持っておくのがオススメですよ。
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なんか小難しいイメージがあって……。
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いやいや、テスターの扱い方そのものはカンタンです。
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そお?
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電装品取り付けのいろいろな場面で重宝しますから、「サーキットテスター導入ガイド」で解説しましょう。
スポ!
✔ ようするにテスターを介して、電装品と電源がつながる状況にする
DIY Laboアドバイザー:服部有亨
キーレス、オートライトをはじめとする車の電装カスタマイズで有名なコムエンタープライズ(CEP)で製品開発を担当。車の電装、プログラミングの双方に長けている。配線図大好き。●コムエンタープライズ TEL 079-230-2323 住所:兵庫県姫路市大津区天神町2-78
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