インタビュー
ドライブレコーダーを付けるなら、ASUS(エイスース)は気になる存在。
世界第1位のマザーボードメーカー・ASUS(エイスース)。PC自作界における超有名ブランドだ。最近では日本の「禅」からネーミングされたスマートフォン・ZenFoneも、注目を集めている。そのASUSが、ドライブレコーダーで自動車用品業界に参入。もともと高い技術力を持ったブランドだけに、ASUSは気になる存在。
車のカスタマイズの世界では知らない人も多いかも知れないが、台湾のASUSといえば、PC(パソコン)自作の世界では知らない人はいない超有名ブランド。特にマザーボードは有名で、安定性の高いPCを自作するなら、インテル製のCPUにASUSのマザーボードを組み合わせるのが、昔から定石だ。
……余談ながらDIYラボ編集部のPCも、WindowsPCに関してはマザーボードはすべてASUSで統一。理由はもちろん安定性。
前置きが長くなったが、実はそのASUSが、ドライブレコーダーで自動車用品業界にも参入していることをご存じだろうか?
昨年、第一弾モデルとなる「RECO Classic(レコクラシック)」が登場し、今年の8月には第2作目の「RECO Sync(レコシンク)」も投入。
今後はPCだけでなく、自動車の分野でもASUSが本格参入してくるのか? 車だけでなくPCも含めて、自作好きな人なら気になるASUSの動向について、DIYLabo単独インタビューを行った。
ASUSが自動車用品を作るイメージは全くありませんでしたが、なぜドラレコを発売したのでしょうか?
ASUSの名前で自動車用品を発売するのはドライブレコーダーが初めてなんですけど、実は車業界への参入はこれが初めてというわけではないんです。
ASUSグループ企業の中に、本社のある台湾だけで展開している「Unimax(ユニマックス)」という関連会社がありまして、そこではもともと自動車関連の部品を作っているのです。
ASUS JAPAN
プロダクトマネージメント部アカウントマネージャー:Peter Chen氏
ASUSはPCからスタートしたメーカーですが、最近ではタブレットやスマホ(ZenFone)などのデバイス作りを広く展開しています。その技術を生かして、自動車用のタブレット脱着方式のナビシステムを作っていたりもするんですよ。
取り外せばタブレット、装着状態では自動車のナビやオーディオとして使えるシステム。Toyota Taiwan(トヨタ台湾)と共同開発している。
手を空中にかざすジェスチャーアクションで、音楽の早送りができたりする。画面を直接タッチせずに操作できる技術。
Unimaxは、日本では展開していないので名前も知られてないんですが、ASUSグループとしては、Unimaxのような関連企業を通して車にも関わり、ノウハウを積んでいます。
そのうえで、ASUSとして全世界で自動車用品の展開も始めた、という流れです。
自動車用品にもいろいろある中で、なぜドラレコだったんでしょう?
将来を考えたとき、車に必ず付けるモノは何かというと、カメラなんです。これは自動運転化されていく動きとも関わりがあります。
そこで、まずはカメラに関連する自動車用品として「ドライブレコーダーを開発しよう」ということになりました。市場でも伸びていますし。
それに車業界でユーザーの方に〈ASUS〉を認識してもらう意味でも、ドライブレコーダーは最適でした。
と、言いますと?
自動車用の電装品の中でも、ドライブレコーダーなら買ってすぐ自分で付けられる、というのありますから。
ドラレコの開発で、ASUSの強みが生かせる部分はありましたか?
スマホ(ZenFone)などでもやっていることですが、写真をキレイに撮るための画像処理技術などはドライブレコーダーでも当然生きています。
それと、ドライブレコーダーは小さい箱の中に、いろいろな部品を搭載しないといけない製品です。そこでは、ASUSのボード(基板)作りの技術が生かせます。
PC用のマザーボードやビデオカードの技術も、関係があるんですね。
そうですね。どれだけ電波の干渉などを減らせるか、配線をどれだけキレイに取り回せるか。そういうところは、ASUSの技術の強みです。
RECO Classic(レコクラシック)と
RECO Sync(レコシンク)の違い
RECO Classic Car Cam
ASUS╱第1作目のドラレコ「RECO Classic(レコクラシック)」。画像がキレイで、夜でもクッキリ映すというのがコンセプト。
※ASUS 「RECO Classic Car Cam」
夜間や逆光時もキレイに録画できる、HDR(ハイダイナミックレンジ)機能を搭載。画質はフルHD(1080P)。
ドラレコとしては、ずいぶんと画質にこだわっているようですが。
かなり重要視しています。単なる記録ではなくキレイに映す。それがASUSのドライブレコーダーなんです。
そしてそこからもう一歩進めて、アクションカメラとしても使えるようにしたのが、「レコシンク」なんですよ。
RECO Sync Car and Portable Cam
今年発売された、第2作目のドラレコが「RECO Sync(レコシンク)」。持ち運び自由なので、車から外してカメラとしても使える。
※ASUS 「RECO Sync Car and Portable Cam」
RECO Syncの方は、見た目もドラレコというより……カメラっぽい。
そうなんです。あくまでも基本はドライブレコーダーではあるんですけど、アクションカメラでもある。1台2役のデバイスです。
アクションカメラとしての使い勝手をあげるために、スマートフォンとも連携します。そのためにアプリも開発しました。
持ち運び自由。汎用ステーを使って自転車に取り付ければ、サイクリングレコーダーにもなる!
ASUS JAPAN
OPプロダクトマーケティング シニアマーケティングスペシャリスト:April Chen氏
どういう用途を想定しているのでしょう?
例えば高速道路を走っていて、家族が富士山だー!って言い出しても、運転しているお父さんは見られませんよね。そんなときにアクションカメラとしてドラレコで撮れば、キレイな画像で残せる。ドラレコで撮ったものをスマホに転送もできるし、そのままLINEで送ることもできます。
下側は普通のカメラの三脚に接続可能(1/4インチ三脚ネジ穴)。自撮り棒に装着することもできる!
ドラレコ自体が、アクセスポイントになっています。なので映像をWi-Fiで飛ばして、スマホでストリーミング再生することもできます。その中から必要なものだけ、高画質な映像をスマホ側に取り込んでシェアしたり。
PC用のマザーボードでも、タブレットとWi-Fiでつなぐ機能を持つ時代ですから、ドラレコも他デバイスとつなぐ……というコンセプトでレコシンクを開発したんです。
それで見た目も、ドラレコというよりカメラ型なんですね。
これ、実は内部の基板も円形基板になっています。正方形だとブラつく可能性もありますから。こういった基板の開発も、ボード屋としての技術が生きていますよ。
もしかして、ASUSのマザーボードとも連携する?
……それはさすがにしません(笑)。マザーボードは車に持ち込まないモノなので、もう少しスマートなデバイス、スマホと連携させています。
「事故の時のための記録」という枠に収まらないASUSのドライブレコーダー。車趣味に限らず、スマホやタブレットなどのデバイス好きなら、ドライブレコーダーの本命になり得るのではないだろうか?
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